ニコラオス・カヴァシラスとは? わかりやすく解説

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ニコラオス・カヴァシラス

(ニコラウス・カバシラス から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/09 22:35 UTC 版)

ニコラオス・カヴァシラス
ニコラオス・カヴァシラスのイコン
生誕 1319/23年
テッサロニキ
死没 1391年以後
崇敬する教派 正教会
記念日 6月20日
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ニコラオス・カヴァシラスギリシア語: Νικόλαος Καβάσιλας, 英語: Nicholas Cabasilas, 1319/23年テッサロニキ[1] - 1391年より後)はビザンティン帝国における神秘主義者であり神学著作家。「カヴァシラス」は現代ギリシャ語からの転写であり、古典ギリシャ語表記の再建音からはニコラオス・カバシラスと転写し得る。

カヴァシラスは正教会において聖人とされている。記憶日は6月20日[2][3]

生涯

テッサロニケ大主教だったネイロス・カバシラスの甥[4]。ニコラオスはこの叔父としばしば混同されたが[5]、ニコラオス自身は聖職者だったことはないと見られる[4]。彼が司祭修道士となったという記録はない[6]

カバシラスは東ローマ帝国皇帝ヨアンネス6世カンタクゼノス(在位1347-1354)の友人、そして外交官として働いた。同時代の証言と彼の書簡の分析から、カバシラスは、当時の社会革命の混乱時にあって社会倫理を追求し続けた人文主義者であり、テッサロニケにおける文化的・政治的そして霊的なビザンティン遺産の擁護者であったことが窺い知れる。1354年に皇帝ヨアンネスが退位して修道生活に入った後、カバシラス自身も政治外交の舞台から姿を消している[7]

ヘシュカズムを巡る議論においては、アトス山修道士側に立ち、グレゴリオス・パラマスの側に立った。

著作

主要な著作は、『ハリストス(キリスト)に在っての生命について』(ギリシア語: Περὶ τῆς ἐν Χριστῷ ζωῆς)であり[8]、この中でカヴァシラスは洗礼機密傅膏機密聖体機密という三つの重要な機密によって、ハリストスとの合一がもたらされるとする原則を述べている。彼はまた様々なテーマについての説教を書いており、その中には高利貸しに反対するものも含まれている。

他にカヴァシラスの主要な著作として『聖体礼儀の註解』がある。これらの著作は正教会機密的・奉神礼的生活についての深い理解を示しており、東方教会および西方教会両方におけるこんにちのキリスト教の礼拝に対して、理解しやすくかつ啓蒙的なものとなっている。

  • Cabasilas, N. Commentary on the Divine Liturgy. 14th Cent. Translated by J.M. Hussey and P.A. McNulty. St. Vladimir's Seminary Press, 1960. ISBN 0-913836-37-0
  • Cabasilas, N. The Life in Christ. St. Vladimir's Seminary Press, 1974. ISBN 0-913836-12-5

脚注

  1. ^ https://books.google.co.jp/books?id=iE45LzrfZuwC&pg=PA10&dq=Nicholas+Cabasilas&sig=_h6j3HmT5IXDM2n5WO3DJugxXZk&redir_esc=y&hl=ja
  2. ^ http://www.oca.org/FSLivesAllSaints.asp?SID=4&M=6&D=20
  3. ^ http://goarch.org/en/chapel/todaywecelebrate.asp?M=6&D=20&Y=2006
  4. ^ a b 森安達也カバシラス」『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、コトバンク。2025年1月4日閲覧。
  5. ^ "Cabasilas, St Nicholas", The Oxford Dictionary of the Christian Church, 3rd Edition, 1997. Revised, 2005. 2025年1月4日閲覧。
  6. ^ ニコラオス・カヴァシラス著 イオアン長屋房夫『聖体礼儀の注解』内の、イオアンニス・フンドゥリス教授(テッサロニキ大学)による説明文(PDF)
  7. ^ 中世思想原典集成第3巻後期ギリシャ教父・ビザンティン思想「ニコラオス・カバシラス聖体礼儀註解」市瀬英昭氏解説、p.900。
  8. ^ ed. pr. of the Greek text, with copious introduction, by W. Gass, 1849; new ed. by M. Heinze, 1899.

参考文献

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