トリー・キャニオン号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/14 01:49 UTC 版)

トリー・キャニオン号(Torrey Canyon)は、1967年3月18日に英国沖で油流出事故を起こした、リベリア船籍の大型タンカー(12万トンタンカー)である[1]。全長は約250メートル。大型タンカーの海難による船舶の油濁事件としては史上最大級とされており、世界的にも注目を集めた[2]。
トリー・キャニオン号事件
トリー・キャニオン号(118,285dwt)はクウェートで原油を満載し(原油117,000トンを積んでいた)、ペルシア湾から英国(ミルフォード・ヘブン港)に向けて航行中、1967年3月18日午前9時11分に、英国南西部のシリー島とランズエンドの間の浅瀬に座礁した[3](「七つ岩」の暗礁に乗り上げた)[4]。
貨物油は直ちに壊れたタンクから流れ出した。離礁作業が難航し、3月26日に2つに折損した。油の流出が続き、英国政府は船内に残った4万トンの原油を燃焼させるために船を爆破することを命じた。爆撃は3月30日まで続き、船は沈没した。流出した油は119,000トンに及び、英国の南西部とフランスの北部沿岸部を深刻な被害を及ぼした[3]。
事故の原因は、予定されたコースを変えて航行した船長にあるとされている。この事故を契機として、国際海事機関(IMO)において、タンカー事故時の油流出量の抑制策が検討され、1973年に海洋汚染防止条約(MARPOL)が締結された[3]。
脚注
- ^ 『トリー・キャニオン号事件』 - コトバンク
- ^ “環境白書”. www.env.go.jp. 環境省. 2023年3月6日閲覧。
- ^ a b c “主要なタンカー油流出事故について”. www.mlit.go.jp. 国土交通省(一部改変). 2023年3月5日閲覧。
- ^ トリー・キャニオン号の座礁事件について (PDF) - 依田啓二(CRID 1390001206051308160)
関連項目
外部リンク
- 『トリー・キャニオン号事件』 - コトバンク
- 『トリー・キャニオン号の座礁事件について』 - 依田啓二
- トリー・キャニオン号のページへのリンク