ダンドラン球面とは? わかりやすく解説

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ダンドラン球面

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/03 08:44 UTC 版)

ダンドラン球面(水色の円錐と黄色く示された円錐断面に接する2つの球P1とP2)

ダンドラン球面もしくはダンドラン球とは、円錐面および円錐面と交わる1つの平面に接する1つもしくは2つのである。ただし、ここでいう円錐面とは線分ではなく直線の集合であり、1点(円錐の頂点)を挟んで2方向に限りなく広がる2葉1対の曲面である。円錐面と交わる平面を円錐断面、断面に現れる曲線を円錐曲線という。ダンドラン球面は円錐曲線の焦点で接する。そのため、ダンドラン球面は焦点球(focal spheres)とも呼ばれる[1]

ダンドラン球面は1822年に発見され[2]ベルギー数学者ジェルミナル・ピエール・ダンドランにちなんで名付けられた。アドルフ・ケトレーの名前がつくこともある[3][4][5]  。

円錐曲線の諸定理は古代ギリシアの数学者たちによって研究され証明されてきた。例えば「閉じた円錐曲線(楕円)は2つの点(焦点)からの距離の和が一定である軌跡である」は古代ギリシアの数学者、ペルガのアポロニウスらによって、「任意の円錐曲線において、焦点からの距離とある直線(準線)からの距離の比(離心率)が一定となる」はアレキサンドリアのパップスによって知られていたが、ダンドラン球面を用いることで後述の通り簡潔に証明することができる。

円錐曲線は焦点に対してそれぞれ1つの球を持つ。楕円は1葉の円錐内に2つのダンドラン球面を持ち、放物線は1葉の円錐内にただ1つのダンドラン球面を持ち、双曲線は頂点を挟んだ2葉の円錐内にそれぞれ1つのダンドラン球面を持つ。

閉じた円錐曲線が、2定点からの距離の和が一定である点の集合であることの証明

 直円錐を平面で切断して閉じた円錐曲線ができる場合を考える。いま、図のように頂点を

脚注

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  1. ^ Taylor, Charles.
  2. ^ Dandelin, G. (1822). “Mémoire sur quelques propriétés remarquables de la focale parabolique” (French). Nouveaux mémoires de l'Académie royale des sciences et belles-lettres de Bruxelles 2: 171–200. https://www.biodiversitylibrary.org/item/101263#page/349/mode/1up. 
  3. ^ Kendig, Keith.
  4. ^ Quetelet, Adolphe (1819) "Dissertatio mathematica inauguralis de quibusdam locis geometricis nec non de curva focali" (Inaugural mathematical dissertation on some geometric loci and also focal curves), doctoral thesis (University of Ghent ("Gand"), Belgium). (in Latin)
  5. ^ Godeaux, L. (1928). “Le mathématicien Adolphe Quetelet (1796-1874)” (French). Ciel et Terre 44: 60–64. http://adsbit.harvard.edu//full/1928C%26T....44...60G/0000060.000.html. 
  6. ^ Brannan, A. et al.
  7. ^ Heath, Thomas.
  8. ^ Morton, Pierce.
  9. ^ Morton, Pierce (1830). “On the focus of a conic section”. Transactions of the Cambridge Philosophical Society 3: 185-190. https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=nyp.33433004518340;view=1up;seq=223. 
  10. ^ Hamilton, Hugh (1758) (Latin). De Sectionibus Conicis. Tractatus Geometricus. In quo, ex Natura ipsius Coni, Sectionum Affectiones facillime deducuntur. Methodo nova. [On conic sections. A geometric treatise. In which, from the nature of the cone itself, relations of sections are most easily deduced. By a new method.]. London, England: William Johnston. pp. 122–125. https://archive.org/stream/desectionibusco01hamigoog#page/n154 
  11. ^ Hyman, Andrew.

外部リンク




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