タガチャル_(丞相)とは? わかりやすく解説

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タガチャル (丞相)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/01 07:21 UTC 版)

タガチャルモンゴル語: Taγačar、生没年不詳)は、13世紀後半にモンゴル帝国大元ウルス)に仕えた大臣の一人。

元史』などの漢文史料では塔察児(tǎcháér)と表記される。ほぼ同時代に活躍したオッチギン家タガチャル国王と同名で、混同されることも多いが別人である[1]

概要

タガチャルの列伝等は存在せず、『元史』などの漢文史料で部分的に言及されるに留まるため、どのような出自の人物か不明である[2]

『元史』世祖本紀によると、クビライアリクブケの間で起こった帝位継承戦争のさなか、クビライ派のタガチャルは中統2年(1261年)に軍士万人を率いて古北口より西方の行在所に赴くよう命じられている[3]。帝位継承戦争における勝利が決定的となった中統4年(1263年)6月、カルジンが中書右丞相に任じられ、同時にタガチャルが中書左丞相に任じられた[4][5]

至元5年(1268年)7月には御史台が新設され、タガチャルは御史台の長官である御史大夫に任じられ、張雄飛が侍御史に任じられた[6][7]。御史大夫の地位にあったころは、高鳴[8]耶律希亮[9]に関してクビライより下問を受けた記録が残っている。

至元7年(1270年)8月には御史大夫より同知枢密院事の地位に遷り、御史中丞であった帖只が御史大夫に昇格となったが、その後のタガチャルの動向については明らかでない[10]

脚注

  1. ^ 『中堂事記』においてオッチギン家のタガチャルが「諸王塔察児」、大臣であったタガチャルは「前平章政事塔察公」として明確に区別されている(高橋2007,p.24)
  2. ^ 高橋 2007, p. 24.
  3. ^ 『元史』巻4世祖本紀1,「[中統二年冬十月]丙辰、詔平章政事塔察児率軍士万人由古北口西便道赴行在所」
  4. ^ 池内 1984, p. 27.
  5. ^ 『元史』巻5世祖本紀2,「[中統四年六月]戊午、賜線真田戸六百。……癸酉、……以線真為中書右丞相、塔察児為中書左丞相」
  6. ^ 『元史』巻163列伝50張雄飛伝,「他日、与江孝卿同召見、帝曰『今任職者多非材、政事廃弛、譬之大廈将傾、非良工不能扶、卿輩能任此乎』。孝卿謝不敢当。帝顧雄飛、雄飛対曰『古有御史台、為天子耳目、凡政事得失、民間疾苦、皆得言。百官姦邪貪穢不職者、即糾劾之。如此、則紀綱挙・天下治矣』。帝曰『善』。乃立御史台、以前丞相塔察児為御史大夫、雄飛為侍御史、且戒之曰『卿等既為台官、職在直言、朕為汝君、苟所行未善、亦当極諌、況百官乎。汝宜知朕意。人雖嫉妬汝、朕能為汝地也』。雄飛益自感励、知無不言」
  7. ^ 『元史』巻6世祖本紀3,「[至元五年秋七月]癸丑、立御史台、以右丞相塔察児為御史大夫、詔諭之曰『台官職在直言、朕或有未当、其極言無隠、毋憚他人、朕当爾主』。仍以詔諭天下」
  8. ^ 『元史』巻160列伝47高鳴伝,「鳴毎以敢言被上知、嘗入内、値大風雪、帝謂御史大夫塔察児曰『高学士年老、後有大政、就問可也』。賜太官酒肉慰労之、其見敬礼如此」
  9. ^ 『元史』巻180列伝67耶律希亮伝,「十三年、太府監令史盧贄言于監官『各路所貢布長三丈、唯平陽加一丈、諸怯薛歹以故争取平陽布。苟截其長者、与他郡等、則無所争、而以其所截者、為髹漆宮殿器皿之用、甚便』。監官従之。適左右以其事聞、帝以詰監官、監官倉皇莫知所以対、帰罪于贄、帝命斬之。希亮遇諸途、贄以冤告。希亮命少緩、具以実入奏。有旨令董文用讞之。竟釈贄、而召御史大夫塔察児等譲之曰『此事、言官当言而不言、向微禿忽思、不誤誅此人耶』」
  10. ^ 『元史』巻7世祖本紀4,「[至七年八月]庚辰、以御史大夫塔察児同知枢密院事、御史中丞帖只為御史大夫」

参考文献




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