スピノール表示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 05:04 UTC 版)
スピンを考慮した波動関数ψの成分表示(B1)を別の角度から解釈する。スピンを考慮した波動関数ψに対し、ψ'(x,y,z)を ψ ′ ( x , y , z ) := ∑ j ϕ j ( x , y , z ) ⋅ σ j ∈ V s {\displaystyle \psi '(x,y,z):=\sum _{j}\phi _{j}(x,y,z)\cdot \sigma _{j}\in V_{s}} と定義する事ができる。なお上式で「・」はベクトルσjの ϕ j ( x , y , z ) {\displaystyle \phi _{j}(x,y,z)} によるスカラー倍である。スピンを考慮しない通常の波動関数が1次元複素計量ベクトル空間Cに値を取るのに対し、ψ'(x,y,z)は2s+1次元複素計量ベクトル空間Vsに値を取る波動関数であるとみなせる。スピンを考慮した波動関数ψを、Vsに値を取る波動関数とみなしたものを、ψのスピノール表示という。 多くの物理の教科書では、Vsの元を成分表示した形で紹介している。e−s, e−(s − 1), …, es − 1, es をVsの基底とするとき、ψ'(x,y,z)は必ず ψ ′ ( x , y , z ) := ∑ j ϕ j ′ ( x , y , z ) ⋅ e j ∈ V s {\displaystyle \psi '(x,y,z):=\sum _{j}\phi '_{j}(x,y,z)\cdot e_{j}\in V_{s}} の形で表記できるので、ψ'(x,y,z)はベクトル ( ϕ − s ′ ( x , y , z ) ⋮ ϕ s ′ ( x , y , z ) ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}\phi '_{-s}(x,y,z)\\\vdots \\\phi '_{s}(x,y,z)\\\end{pmatrix}}} と成分表示できる。 なお基底 e−s, e−(s − 1), …, es − 1, es は通常、(何らかの軸に関する)スピン演算子に対応した固有ベクトルとする。
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