ジェインズの解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 11:39 UTC 版)
1973年の論文 "The Well-Posed Problem" で、エドウィン・ジェインズはベルトランのパラドックスに対し、「最大無知 (maximum ignorance)」の原則(問題文に記されていないいかなる情報も用いるべきではない、という原則)に基づいた解を提案した。ジェインズはベルトランの問題は特定の位置や大きさを与えていないと指摘し、したがって確定した客観的な解は大きさと位置に「中立」でなければならない、すなわち、解は拡大縮小と平行移動に関して不変でなければならないと主張した。 具体的に述べれば以下の通りである。弦が直径2の円上に無作為に置かれる(たとえば、1本の藁を遠くから投げるなどの方法で)としよう。このとき、より直径の小さい円(たとえば、1.1)を大きい円の中に置く。このとき弦の分布は、元の円と同じでなければならない。もし小さい円を大きい円の中で動かしても、やはり確率は不変でなければならない。方式3において、この時違いが出ることは明らかである。下の図で、大きい円と、小さい赤い円における弦の分布は本質的に異なる。 同じことが(図から読み取るのは難しいが)方式1にも言える。拡大縮小と移動の両方に関して不変なのは唯一方式2である。3は拡大縮小に関してのみ不変で、1はどちらでもない。 しかしジェインズは不変性を、与えられた方法を受容するか棄却するかの判断のみに用いたわけではない。それでは未知の方法で、不変性の条件を満たすものがあるという可能性が残る。彼は不変性から直ちに確率分布を求めるような積分方程式を用いた。この問題において、この積分方程式には唯一の解があり、それはすなわち方式2として上に挙げた、「無作為な半径」方式である。
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