シモン・ボリバル交響楽団とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > シモン・ボリバル交響楽団の意味・解説 

シモン・ボリバル交響楽団

(シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/31 05:12 UTC 版)

シモン・ボリバル交響楽団
原語名 Orquesta Sinfónica Simón Bolívar de Venezuela
出身地 ベネズエラ カラカス
ジャンル クラシック音楽
活動期間 1975年 -
公式サイト Orquesta Sinfónica Simón Bolívar de Venezuela

シモン・ボリバル交響楽団スペイン語: Orquesta Sinfónica Simón Bolívar de Venezuela)は、ベネズエラカラカスを本拠地とするオーケストラである。

なお、名称の由来となる「シモン・ボリバル」とは、19世紀初頭にスペインの圧政から南米諸国を解放した革命思想家の名前で、ベネズエラ出身の英雄としての彼の業績を称えたものである。詳しくはリンク先を参照。

また、1998年から2010年頃までは、初代メンバーによる「Aオーケストラ」に対し、新たに加わった年少メンバーだけの「Bオーケストラ」を世界の人々が シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ として認識していた[注釈 1][注釈 2][3]

概要

1975年 元政治家で経済学者のホセ・アントニオ・アブレウ等の提唱した「エル・システマFESNOJIV (国立財団ベネズエラ児童青少年オーケストラ・システム[4]) により始められたユース・オーケストラを母体として、1978年にシモン・ボリバル交響楽団と名付けられた[4][5]

エル・システマ生徒の中には元ストリートチルドレン麻薬の密売や強盗を経験した者もいるが、こうした者を更生させたり、放課後に子どもたちを音楽に従事させることで犯罪から守る役割を果たしている。エル・システマのモットーは、"Tocar y Luchar"(奏でて戦う)である。

FESNOJIVは、現在ベネズエラに400もの青少年オーケストラを運営している。まず地区ニュー・クレオ(音楽教室とオーケストラ)に入り、14歳未満の子どもたちからなる児童オーケストラ、続いて国立青少年オーケストラなどを経て、頂点のシモン・ボリバル交響楽団の一員となる[4]

FESNOJIVの活動ぶりは早くから欧米に伝わり、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者や楽員の耳に入り、メンバーが無料指導したり、クラウディオ・アバドサイモン・ラトルといった歴代首席指揮者が実際に客演で指揮もするほどになっており、国外への演奏旅行もしばしば行われる[6]

オーケストラのメンバーと同様の教育を受けた新進気鋭の指揮者グスターボ・ドゥダメルが、1999年に18歳で音楽監督に就任[7]バンベルク交響楽団の国際指揮者コンクールに優勝もし、近年ヨーロッパの各種コンサート(2007年BBCプロムス、2008年ザルツブルク音楽祭など)に招かれ、大きな話題となった。

ドイツグラモフォン・レーベルと専属契約を結んだドゥダメルの指揮で、ベートーヴェン交響曲第5番7番マーラー交響曲第5番のレコーディングがある[6]

なお、ドゥダメルは2009年にロサンゼルス・フィルハーモニックに招聘され、フィンランド出身の先代エサ=ペッカ・サロネンの後を受け音楽監督として就任、その他の世界的なオーケストラへの客演も多くこなす。

脚注

注釈

  1. ^ 2010年の演奏旅行で「楽員たちは大人になりすぎて、『ユース・オーケストラ』とは言えない」など批判的な論評もあった[1]
  2. ^ 現在、「ユース」という名を掲げることはなくなった[2]

出典

  1. ^ 世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ 2013, p. 141, 第4章 踊るオーケストラ.
  2. ^ Orquestra "Simón Bolívar" da Venezuela” (ポルトガル語). RAFAEL FONSECA. 2025年3月31日閲覧。
  3. ^ 世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ 2013, p. 135, 第4章 踊るオーケストラ.
  4. ^ a b c 世界のオーケストラ(1) ~北米・中米・南米編~ 2015, p. 316-320「55.ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団」.
  5. ^ 最新 世界のオーケストラ名鑑387 2009, p. 189, 「シモン・ボリバル交響楽団」.
  6. ^ a b Orquesta Sinfónica Simón Bolívar de Venezuela” (スペイン語). EL SISTEMA. 2025年3月31日閲覧。
  7. ^ 世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ 2013, p. 41, 第1章 バーンスタインの再来.

参考文献

  • 『世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ エル・システマの奇跡』東洋経済新報社、2013年9月12日。ISBN 978-4-492-44399-6 
  • 『最新 世界のオーケストラ名鑑387』音楽之友社〈ONTOMO MOOK〉、2009年6月。 ISBN 978-4-276-96188-3 
  • 上地 隆裕著『世界のオーケストラ(1) ~北米・中米・南米編~』株式会社 芸術現代社、2015年。 ISBN 978-4-87463-203-1 

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  シモン・ボリバル交響楽団のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シモン・ボリバル交響楽団」の関連用語

シモン・ボリバル交響楽団のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シモン・ボリバル交響楽団のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシモン・ボリバル交響楽団 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS