クレスト・オブ・ア・ネイヴ
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| 『クレスト・オブ・ア・ネイヴ』 | ||||
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| ジェスロ・タル の スタジオ・アルバム | ||||
| リリース | ||||
| ジャンル | プログレッシブ・ロック | |||
| 時間 | ||||
| レーベル | クリサリス・レコード | |||
| プロデュース | イアン・アンダーソン | |||
| 専門評論家によるレビュー | ||||
| チャート最高順位 | ||||
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| ジェスロ・タル アルバム 年表 | ||||
 
      
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『クレスト・オブ・ア・ネイヴ』(Crest of a Knave)は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンドであるジェスロ・タルが1987年に発表した16作目のスタジオ・アルバム。
第31回グラミー賞の最優秀ハードロック/メタル・パフォーマンス賞を受賞し、ジェスロ・タルに初のグラミー賞をもたらした[7]。
背景
ジェスロ・タルは前作『アンダー・ラップス』(1984年)の発表の後、中心メンバーのイアン・アンダーソンが喉の病気を抱えていたためにしばらく活動を停止しており、本作は結果的に3年ぶりの新作となった[8]。
収録曲のうち「スティール・モンキー」、「ドッグス・イン・ザ・ミッドウィンター」、「レイジング・スティーム」はドラマー不在の編成でレコーディングされ、アンダーソンがドラム・プログラミングも兼任した[9]。
反響
全英アルバムチャートでは10週トップ100入りし、最高19位を記録した[3]。また、全英シングルチャートでは本作からの「スティール・モンキー」[10]が84位、「シー・ワズ・ア・ダンサー」[11]が55位に達した[12]。
アメリカでは28週Billboard 200入りし、1987年12月12日には32位に達した[5]。オーストリアのアルバム・チャートでは初登場19位となり、『ザ・ブロードスウォード・アンド・ザ・ビースト』(1982年)以来約5年ぶりに、同国におけるチャート入りを果たした[4]。
評価
Bruce Ederはオールミュージックにおいて5点満点中2.5点を付け「イアン・アンダーソンと仲間達は、このレコードでジェスロ・タルのサウンドをアップデートさせようと意識的に努力したように思える」「全体的に見れば、かなりの成功作であり、間違いなく1978年以降の彼らが発表したアルバムとしては最高傑作である」と評している[13]。
グラミー賞受賞
一般的な認識ではジェスロ・タルはヘヴィメタル・バンドとみなされておらず、本作が最優秀ハードロック/メタル・パフォーマンス賞を受賞したことは、2015年2月8日付の『ガーディアン』紙の記事「ミリ・ヴァニリからスティーリー・ダンまで、最も不可解な5つのグラミー賞」でも言及された[14]。アンダーソンは2012年、本作の同賞受賞について次のように語っている[15]。
ジェスロ・タルが受賞した時には、信じられなかった人々のブーイング、野次、絶句が続いたもので、私はナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンスの6千人が、ジェスロ・タルをヘヴィロック・バンドやヘヴィメタル・バンドとみなして投票したとは思いたくない。連中は私達が「良い奴らなのにグラミー賞を受賞したことがない」ってことで受賞させたんだろう。悲しいことに、それからも『片足立ちのフルート奏者賞』は創設されていない。それなら毎年受賞できるのに。
授賞式でプレゼンターを務めたアリス・クーパーは2016年、「誰もが受賞者はメタリカだと思っていた」「受賞者はジェスロ・タルと発表したら、会場は2分ぐらい沈黙して、それから皆が爆笑した。俺がジョークを言ったと思ったんだよ」と振り返っている[16]。
収録曲
全曲ともイアン・アンダーソン作。下記リストは再発CDに準拠しており、#5[注釈 1]と#8[注釈 2]はオリジナルLPには収録されていない[8]。
- スティール・モンキー "Steel Monkey" – 3:37
 - ファーム・オン・ザ・フリーウェイ "Farm on the Freeway" – 6:31
 - ジャンプ・スタート "Jump Start" – 4:55
 - シー・ワズ・ア・ダンサー "Said She Was a Dancer" – 3:41
 - ドッグス・イン・ザ・ミッドウィンター "Dogs in the Midwinter" – 4:29
 - ブダペスト "Budapest" – 10:05
 - マウンテン・メン "Mountain Men" – 6:21
 - ウェイキング・エッジ "The Waking Edge" – 4:47
 - レイジング・スティーム "Raising Steam" – 4:12
 
2005年リマスターCDボーナス・トラック
- パート・オブ・ザ・マシーン "Part of the Machine" – 6:54
 
参加ミュージシャン
- イアン・アンダーソン Ian Anderson – ボーカル、フルート、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、パーカッション、キーボード、シンクラヴィア、ドラム・プログラミング
 - マーティン・バー[注釈 3] Martin Barre – リードギター
 - デイヴ・ペグ Dave Pegg – ベース、アコースティック・ベース
 
アディショナル・ミュージシャン
- ドーン・ペリー Doane Perry – ドラムス(#2、#7)
 - ジェリー・コンウェイ Gerry Conway – ドラムス(#3、#4、#6、#8)
 - リック・サンダース Ric Sanders – ヴァイオリン(#6、#8)
 
脚注
注釈
出典
- ^ Jethro Tull - Crest Of A Knave - hitparade.ch
 - ^ Offizielle Deutsche Charts
 - ^ a b JETHRO TULL | full Official Chart History | Official Charts Company - 「ALBUMS」をクリックすれば表示される。
 - ^ a b Jethro Tull - Crest Of A Knave - austriancharts.at
 - ^ a b “Jethro Tull Crest Of A Knave Chart History - Billboard 200”. Billboard. 2019年11月24日閲覧。
 - ^ swedishcharts.com - Jethro Tull - Crest Of A Knave
 - ^ “Jethro Tull - Artist”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2019年11月24日閲覧。
 - ^ a b “Crest of a Knave”. jethrotull.com. 2019年11月24日閲覧。
 - ^ Jethro Tull - Crest Of A Knave (2005, CD) | Discogs
 - ^ “Discogs”. 2025年10月3日閲覧。
 - ^ “Discogs”. 2025年10月3日閲覧。
 - ^ JETHRO TULL | full Official Chart History | Official Charts Company
 - ^ Eder, Bruce. “Crest of a Knave - Jethro Tull”. AllMusic. 2019年11月24日閲覧。
 - ^ Nelson, Brad (2015年2月8日). “Five of the Grammys most mystifying awards, from Milli Vanilli to Steely Dan”. The Guardian. Guardian News and Media. 2019年11月24日閲覧。
 - ^ “Jethro Tull's Ian Anderson Reflects On His 'Metal' Grammy Win”. Blabbermouth.net (2012年2月11日). 2019年11月24日閲覧。
 - ^ Kielty, Martin (2019年2月22日). “30 Years Ago: Metallica Lose Grammy to Jethro Tull”. Ultimate Classic Rock. Loudwire Network. 2019年11月24日閲覧。
 - ^ “マーティン・バー、ジェスロ・タルのデビュー50周年を祝うライヴ作を発表【前編】”. 2021年3月31日閲覧。
 
外部リンク
- クレスト・オブ・ア・ネイヴ - Discogs (発売一覧)
 
- クレスト・オブ・ア・ネイヴのページへのリンク