キリストの哀悼 (ヴァン・ダイク)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/03 13:08 UTC 版)
スペイン語: Lamentación sobre Cristo muerto 英語: Lamentation over the Dead Christ |
|
![]() |
|
作者 | アンソニー・ヴァン・ダイク |
---|---|
製作年 | 1627-1632年ごろ |
種類 | キャンヴァスに油彩 |
寸法 | 156.5 cm × 256.7 cm (61.6 in × 101.1 in) |
所蔵 | ビルバオ美術館、ビルバオ |
『キリストの哀悼』(キリストのあいとう、西: Lamentación sobre Cristo muerto、英: Lamentation over the Dead Christ)は、17世紀フランドル・バロック期の巨匠アンソニー・ヴァン・ダイクが1627-1632年ごろにキャンバス上に油彩で制作した絵画で、画家が制作した何点かの同主題作の1つである。1985年以来、スペインのビルバオ美術館に所蔵されている[1][2]。かつて、第7代ニューキャッスル公爵ヘンリー・ぺラム=クリントンに所有されていた作品で、後にバルデス・イサギッレ (Valdes Izaguirre) のコレクションに入った[1]。
作品
ヴァン・ダイクは、本作でイエス・キリストの一連の受難の中で最も感動的な場面を描いている。画面全体は日没の薄れゆく光の中に配置されているが、画家は聖母マリアの顔に光を当てる一方、キリストの顔を陰の中に置くことで劇的な効果を上げている。白い布でわずかに覆われた見事なキリストの裸体像は、光を発しているように見える[2]。
この絵画は、ヴァン・ダイクがチャールズ1世 (イングランド王) のために絵画を制作していたロンドン滞在時の末期に描かれた[2]。優美な人物像、均整の取れた構図、柔かな色彩などの点で、王の望んだ理想美に完璧に合致している。画家は2つの人物群からなる構図を採用しており、右側にはマグダラのマリア、キリスト、聖母が、左側には大人の天使が2人いる。人物群はひたすら泣いている子供の天使によって結びつけられている。左右両端の人物は、中央に向かって屈むことで構図をまとめている[2]。
キリストの身体は死の際の理想美を表している[1]。その胴体は古代彫刻の『テベレ川の彫像とロムルスとレムス』 (ルーヴル美術館、パリ) と『ナイル川の寓意』 (メトロポリタン美術館、ニューヨーク) を想起させるが、ヴァン・ダイクはフランドルの美術コレクション中にそれらの複製を見たのかもしれない。また、陰の中のキリストの顔は『瀕死のガリア人』 (カピトリーノ美術館、ローマ) を思わせる[1]。
本作はミュンヘンのアルテ・ピナコテーク蔵の同主題作と類似しており、天使は同じであるが、キリストの脚の位置は変えられている。また、聖母の顔は、フィッツウィリアム美術館 (ケンブリッジ) などにある複製に見られるものと同じである[1]。
ギャラリー
-
『ナイル川の寓意』メトロポリタン美術館、ニューヨーク
脚注
- ^ a b c d e “The Lamentation of Christ”. ビルバオ美術館公式サイト (英語). 2025年10月2日閲覧。
- ^ a b c d “Obras comentadas | Museo de Bellas Artes de Bilbao”. museobilbao.com. 2015年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月25日閲覧。
外部リンク
- キリストの哀悼_(ヴァンダイク)のページへのリンク