ガーベッジ・プレートとは? わかりやすく解説

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ガーベッジ・プレート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/14 03:48 UTC 版)

ガーベッジ・プレート
Garbage Plate
ニック・タフー・ホッツで提供されるガーベッジ・プレート。
別名
  • ロチェスター・プレート
  • トラッシュ・プレート
  • プレート
発祥地 アメリカ合衆国
地域 ニューヨーク州ロチェスター
考案者 アレクサンダー・タフー
主な材料 ソーセージもしくはハンバーガーパティ、ホットミートソース、調味料、マカロニサラダホームフライ
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ガーベッジ・プレート: Garbage Plate(→生ごみプレート))とは米国料理の一種。ソーセージもしくはハンバーガーパティをマカロニサラダホームフライのような付け合わせの上に乗せ、ホットミートソース[注 1]、タマネギ、ケチャップマスタードなどで調味したもの。バターを塗ったパンとともに食べるのが一般的[1]

ニューヨーク州ロチェスターにあるレストラン、ニック・タフー・ホッツ英語版で1918年に作り出された料理で、同店の名物として知られる。現在ではロチェスターを代表する料理として多くの飲食店で提供されているが、料理名はロチェスター・プレート、トラッシュ・プレート、単なるプレートなど幅がある[1][2][3]

歴史

ガーベッジ・プレートを生み出したのはレストラン経営者のアレクサンダー・タフーである。タフーはギリシャ系移民で、1918年にニューヨーク州ロチェスターでウェスト・メイン・テキサス・ホッツというレストランを開いた[3]。ガーベッジ・プレートの原型は、「ホット」と呼ばれるソーセージホットドッグ用の標準的なタイプ、もしくは「ホワイトホット英語版」と呼ばれるロチェスター風の白いソーセージ)にジャガイモとコールドビーン、イタリア風パンとバターを添えたメニューだった[2][4]

アレクサンダーの息子ニックが1940年に店を相続してニック・タフー・ホッツと改名すると、このプレート料理の内容も変化していった[2][4]。やがて「ホット」の代わりにハンバーガーパティも使われ始め、トッピングにはマカロニサラダなどが追加され、チリに似た自家製ホットミートソースがかけられるようになった。ソースのレシピはアレクサンダーの友人だったメキシコ人の家庭で食べられていたもので、このメニューに欠かせない存在となった[5]

この料理が「ガーベッジ・プレート」として知られるようになったのは1980年代のことで、同店に通う大学生が注文時に「あの残飯全部盛りのプレート」と呼ぶようになってからである[3]。当初、ニック・タフーとその家族は食べ物の呼び名にふさわしくないと主張していたが[2]、1991年には「ガーベッジ・プレート」の名を米国商標に出願し、他店が同じ名前を使えないようにした[6]

バリエーション

ロチェスターのザ・レッド・ファーンによるヴィーガン版「コンポスト・プレート」。レンズマメハンバーグ、マカロニサラダプラントベースのミートソース、バルサミコ酢のサラダからなる[7]
ロチェスターのドッグタウンによる「ジャンクヤード・プレート」。マカロニサラダとホームフライを敷いた上にスライスしたソーセージを乗せ、ミートソース、タマネギ、マスタードをトッピングしている。

ニック・タフー・ホッツが持つ商標権の侵害英語版を避けるため、ロチェスター周辺の飲食店の多くはガーベッジ・プレートに似た料理を別の名前で提供している。メニュー名の例にはロチェスター・プレート、ジャンクヤード・プレート(→ごみ捨て場プレート)、トラッシュ・プレート(→ごみプレート)、ホット・プレート、ラビッシュ・プレート(→がらくたプレート)、スロッピー・プレート(→べしゃべしゃプレート)、メッシー・プレート(→ぐちゃぐちゃプレート)などがある[6][8][7]。メニューの内容は店によってさまざまで、プラカップに層を成すように詰めたものをトラッシュカン(→ごみ箱)と称して提供する店がある。スシを用いるものや、ソーセージや多様な野菜をバターとワインのソースに浸したものもある[7]。ロチェスターの飲食店ザ・レッド・ファーンは、ヴィーガン版のガーベッジ・プレートにコンポスト・プレート(→堆肥プレート)の名を付けた[3][8][7]

ガーベッジ・プレートに類似したメニューを出す店はロチェスター都市圏英語版を超えてニューヨーク市、ピッツバーグローリーデンバーなどにも広がっている[9][10][11]

受容・影響

ガーベッジ・プレートは地元の名物と見なされており、メディアによってロチェスターのシンボルとされることがある。ジム・メモットはデモクラット・アンド・クロニクル英語版紙でこの料理が「ロチェスターの代名詞」だと述べ、同市の老舗企業であるコダックよりも存在感が優るとした[2]。メガン・オディーはウェブメディア Eater英語版への寄稿で「ロチェスターのプレートは本質的にこの場所の一部」であって地域の食文化と切り離せないと書いた。また周辺地域の変化に富んだ地勢に触れて「ロチェスターそのものと同じく、ガーベッジ・プレートにはあらゆる要素が少しずつ入っている」とした[3]。そのほか、ガーベッジ・プレートは二日酔いに効く食品英語版としても広く信じられている[9][12]

2017年8月、ガーベッジ・プレート誕生100周年を記念して、マイナーリーグ球団のロチェスター・レッドウィングスが一試合限定で「ロチェスター・プレーツ」に改名し、球場フードとして、「ホーム・プレート(→本塁)」と名付けられたものなどガーベッジ・プレートのバリエーションを販売した[3]。同球団は2018年にも木曜日のホームゲーム限定で「ロチェスター・プレーツ」の名称を用いた。また翌年には、ガーベッジ・プレートにちなんでごみ収集缶に入ったマスコットキャラクターの「マック」をデビューさせた[13]

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ テキサス風のチリに似るが、豆を用いず、挽肉に対するトマトの比率が低い[1]

出典

  1. ^ a b c Blumberg (2023年8月21日). “'Garbage Plates': The story behind a favorite late-night dish of college students, plus how to make a version”. Fox News. 2024年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e Memmott (2020年1月23日). “How the Garbage Plate surpassed Kodak as Rochester's signature thing”. Democrat and Chronicle. 2024年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  3. ^ a b c d e f O'Dea (2017年10月2日). “How the Garbage Plate Became a Western New York Icon” (英語). Eater. 2024年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  4. ^ a b Beck (2018年7月4日). “Garbage plates: The great American dish” (英語). Mashable. 2024年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  5. ^ Song (2024年3月9日). “The Rochester Garbage Plate Is A Delicious Hot Mess”. Tasting Table. 2024年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  6. ^ a b Greenwood (2021年11月11日). “'Today' show segment escalates into nasty food fight between guest and Nick Tahou's. Here's what happened”. Democrat and Chronicle. 2024年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  7. ^ a b c d A Garbage Plate by another name: 19 plates around Rochester”. Democrat and Chronicle (2021年3月17日). 2024年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  8. ^ a b Process (2023年10月12日). “What Is a Rochester 'Garbage Plate'?”. Taste of Home. 2024年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  9. ^ a b Chao (2023年8月4日). “Got a hangover? Why this 'Garbage Plate' may be the cure” (英語). Scripps News. 2024年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月22日閲覧。
  10. ^ Graver (2024年2月12日). “A Pittsburgh Restaurant is Now Serving "Garbage-Plate"-style Dishes”. Pittsburgh Magazine. 2024年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  11. ^ Byard (2024年3月4日). “ShaWING Is Dishing Up Garbage Plates in Denver” (英語). Westword. 2024年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月22日閲覧。
  12. ^ Ward (2019年12月27日). “This is a Garbage Plate, and it might cure your hangover” (英語). USA Today. 2024年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
  13. ^ Cleveland (2019年3月29日). “Rochester Red Wings unveil new Garbage Plate-fueled mascot”. Democrat and Chronicle. 2024年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。



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