カンタータ_(ストラヴィンスキー)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > カンタータ_(ストラヴィンスキー)の意味・解説 

カンタータ (ストラヴィンスキー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/18 23:53 UTC 版)

Jump to navigation Jump to search

カンタータ』(Cantata)は、イーゴリ・ストラヴィンスキーが1952年に作曲した、独唱、合唱、および室内楽による英語声楽曲

1951年の英語のオペラ『放蕩児の遍歴』までの新古典主義音楽と、1953年の七重奏曲にはじまるセリー音楽の時代の中間に作曲された。

ストラヴィンスキーは『星の王』などカンタータをほかにも作曲しているが、単に「カンタータ」と呼んだ場合はこの曲を指す。

概要

『カンタータ』は1951年から翌年にかけて作曲され、1952年11月11日にロサンゼルス室内管弦楽団によって初演された[1]。ストラヴィンスキー本人の指揮により、『12楽器のためのコンチェルティーノ』(1920年の『弦楽四重奏のためのコンチェルティーノ』の編曲)も同日演奏された[2]

『放蕩児の遍歴』の台本作者であったW・H・オーデンが1950年に出版した15-16世紀の詩集『Poets of the English Language』の中の作者未詳の詩から歌詞が選ばれた[3]。内容はキリスト教的なものと世俗的なものの両方を含む。英語圏では比較的有名な詩が多く、「Lyke-Wake Dirge」はベンジャミン・ブリテン[4]、「Tomorrow shall be...」はグスターヴ・ホルスト[5]がストラヴィンスキー以前に作曲している。

1952年、13年ぶりにストラヴィンスキーがパリを訪れたとき、インタビューに答えて十二音音楽の作曲者を尊敬し、十二音音楽は純粋な音楽であると高く評価している[6]。初演時のストラヴィンスキーによる曲目解説では、リチェルカーレIIが十二音音楽ではないものの、11の音(同音重複あり)からなる音型とその反行・逆行・反行の逆行という手法で書かれていることを細かく説明している[1]。このリチェルカーレIIは全曲の中央に置かれ、全曲の半分近くの長さを占める。

構成

ソプラノテノール女声合唱と器楽五重奏による。五重奏はフルート2、オーボエ2(第2オーボエはコーラングレ持ちかえ)、チェロから構成される。演奏時間は約30分。

  1. 通夜の葬送歌 (A Lyke-Wake Dirge, Prelude) 合唱
  2. リチェルカーレI:乙女たちが来た (Ricercar I - 'The maidens came...') ソプラノ
  3. 通夜の葬送歌 (A Lyke-Wake Dirge, 1st Interlude) 合唱
  4. リチェルカーレII:明日は私の踊りの日 (Ricercar II - 'Tomorrow shall be...') テノール
  5. 通夜の葬送歌 (A Lyke-Wake Dirge, 2nd Interlude) 合唱
  6. 西風 (Westron Wind) ソプラノとテノール
  7. 通夜の葬送歌 (A Lyke-Wake Dirge, Postlude) 合唱

脚注

  1. ^ a b White (1984) p.470
  2. ^ ロバート・クラフト 『ストラヴィンスキー 友情の日々』 小藤隆志訳、青土社1998年、121頁。ISBN 4791756541
  3. ^ Taruskin (2009) pp.425-427
  4. ^ セレナード 作品31(1943年)の第5曲
  5. ^ (1916) This have I done for my true love Op.34 No.1, The Gustav Holst Website, http://www.gustavholst.info/compositions/listing.php?work=93 
  6. ^ Taruskin (2009) p.432

参考文献

  • Richard Taruskin (2009). The Danger of Music, and Other Anti-Utopian Essays. University of California Press. ISBN 9780520268050. 
  • Eric Walter White (1984) [1966]. Stravinsky: The Composer and His Works (2nd ed.). University of California Press. ISBN 0520039858. 

「カンタータ (ストラヴィンスキー)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カンタータ_(ストラヴィンスキー)」の関連用語

カンタータ_(ストラヴィンスキー)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カンタータ_(ストラヴィンスキー)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカンタータ (ストラヴィンスキー) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS