オールドスパイスとは? わかりやすく解説

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オールドスパイス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 18:58 UTC 版)

オールドスパイス
Old Spice
種類 男性用化粧品
所持会社 プロクター・アンド・ギャンブル
使用会社 プロクター・アンド・ギャンブル
使用開始国 アメリカ合衆国
主要使用国 ワールドワイド
使用開始 1937年
旧使用会社 シュルトン
ウェブサイト https://oldspice.com/
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オールドスパイスOld Spice)は、アフターシェーブデオドラント、制汗剤、シャンプー、ボディウォッシュ (Shower gelシェービングクリーム石鹸などの男性用グルーミング製品を提供するアメリカのブランド。プロクター・アンド・ギャンブル社が製造している。

オールドスパイスは、ウィリアム・ライトフット・シュルツ(William Lightfoot Schultz)が創業した石鹸・トイレタリー会社であるシュルトン社(Shulton Inc.)によって、1937年に「アーリーアメリカン・オールドスパイス」(Early American Old Spice)として発売された。当初は女性を対象としていたが、男性向けの製品が1937年末のクリスマス前に発売された[1]

シュルトン社は1971年にアメリカン・サイアナミッド英語版社に買収され、1990年にプロクター・アンド・ギャンブル社がアメリカン・サイアナミッド社からオールドスパイスの事業を買収した。

歴史

1944年のオールドスパイスの広告

オールドスパイスはもともと、1934年にウィリアム・ライトフット・シュルツによって設立されたシュルトン社によって販売された[2]

シュルツはロサンゼルスのBullock'sのバイヤーから、植民地時代のアメリカンスタイルの家具の人気が高まっていることを知らされた。このトレンドは、当時オープンしたばかりのコロニアル・ウィリアムズバーグによってさらに加速していた。シュルツは、初期のアメリカーナをテーマにした化粧品ラインも人気が出るかもしれないと考えた[3]

ニューヨークのメトロポリタン美術館にある初期アメリカのコレクションがパッケージデザインの発想の元となり、香水についてはシュルツの母親のポプリからインスピレーションを受け、1937年に発売された最初のオールドスパイス製品は「アーリーアメリカン・オールドスパイス」という女性用の香水となった。この製品は好評を博し、1938年に男性向けの「オールドスパイス」が発売された。[4]

男性用製品にはシェービングソープアフターシェーブローションがあり、航海をテーマに販売され、ブランドのパッケージには帆船が使用された。

1971年、シュルトン社はアメリカン・サイアナミッド英語版社に買収された[5]。1970年代にオールドスパイスは「オールドスパイスバーレー」(Old Spice Burley)のような特徴的な香りを導入し、シェービングブランドからフレグランスブランドへと転換した[6]

1992年4月発売のオリジナルボトル(150mL)

1990年6月、プロクター・アンド・ギャンブルはアメリカン・サイアナミッド社のシュルトン・グループからオールドスパイスとSanta Feの事業を3億ドルで買収した[7]

オールドスパイスのパッケージにデザインされていた帆船は1992年にヨットに変更された[8]オードトワレとアフターシェーブのガラス瓶にはプラスチック製のボタンがキャップとして付いていたが、1992年にその色がライトグレーから白に変更された。

2000年代を通して、プロクター・アンド・ギャンブルはオールドスパイスのブランド名で、様々な香りのデオドラント、ボディウォッシュ(en:Body wash)、ボディスプレー(en:Body spray)を多数発売した。

2008年初頭、オリジナルのオールドスパイスの香りは、アフターシェーブとコロン両方のバージョンで「クラシックセント」(Classic Scent)として再パッケージされた。ブイ型の白いガラス瓶はプラスチックに、灰色の栓は赤に変更された。オールドスパイスクラシックシャワージェルは、"The original. If your grandfather hadn't worn it, you wouldn't exist."というスローガンで販売された。

2014年、オールドスパイスはシャンプー、ツーインワンシャンプー&コンディショナー、スタイリング剤を発売し、男性用ヘアケア製品ラインを拡大した[9][10]

2021年には初の理髪店をオハイオ州コロンバスにオープンした[11][12]

広告

Old Spice Pure Sport High Endurance deodorant.

1980年代から90年代にかけてオールドスパイスのテレビCMでは、サーフボードに乗った男性の映像に、カール・オルフの「O Fortuna」(『カルミナ・ブラーナ』より)の音楽が流れ、ときどき女性の顔がカットインし、"Old Spice – the mark of a man"というキャッチフレーズが使われた[8]

2006年、プロクター&ギャンブルは、広告代理店をSaatchi & SaatchiStarcom MediaVest Groupから、ワイデン+ケネディ英語版に変更した[13]

2010年、広告代理店のワイデン+ケネディは「The Man Your Man Could Smell Like」(Smell Like a Man, Man)と題した広告キャンペーンにイザイア・ムスタファ英語版を起用して人気を博した[14]。このキャンペーンに続いて、オールドスパイスはオンライン広告キャンペーンでファビオ・ランツォーニ英語版を起用し、オールドスパイスガイの称号をかけてイザイア・ムスタファに挑戦させた[15][16]

2010年、オールドスパイスはNFLと提携し、レイ・ルイスグレッグ・ジェニングス英語版ウェス・ウェルカーといったフットボールスターをさまざまなテレビやデジタルのキャンペーンに起用した。2012年には、元NFL選手のテリー・クルーズが、同ブランドのバイラルヒット動画「Muscle Music」に出演した。このインタラクティブ動画では、クルーズの筋肉の動きに連動して楽器を鳴らし音楽を演奏した[17]

2014年の「Smellcome to Manhood」キャンペーンではコマーシャル「Momsong」が話題となった[18][19]

2016年初頭、オールドスパイスは Hardest Working Collection の発売に合わせて、「Rocket Car」と「Whale」という2つのテレビコマーシャルで、新しいブランドキャラクターである「the Legendary Man」を導入した[20]。また、カナダ人俳優スティーブン・オッグを起用したデジタルインフォマーシャルシリーズも展開した。2016年後半には、Red Zone product collection の広告キャンペーンに、俳優のトーマス・ボードワン(Thomas Beaudoin)とアルベルト・カルデナス(Alberto Cardenas)という2人のオールドスパイスキャラクターを追加した[21]

2019年、オールドスパイスは新商品の発売に合わせて、俳優でコメディアンで作家のデオン・コール英語版をグローバルブランドアンバサダーに任命した[22][23]

2020年1月、オールドスパイスは、2010年に話題となったキャンペーン「Smell Like a Man, Man」のオリジナルコマーシャル10周年を記念して、再びワイデン+ケネディと協力してリブートさせた[24]

スポンサー活動

オールドスパイスは2004年から2010年にかけてNASCARの世界で多くの車のスポンサーを務めてきた。彼らが初めてスポンサーとなったのは2004年のタラデガでのリッキー・クレイブン(en:Ricky Craven)で、その後ジョー・ギブス・レーシングとケビン・ハーヴィック・インコーポレイテッド(en:Kevin Harvick Incorporated)と共にブッシュレーストニー・スチュワートのスポンサーとなった。2009年、スチュワートが自身のチームを結成し、2009年と2010年に14番車でワトキンス・グレン(Watkins Glen)での優勝を果たした時もスポンサーは続いた。

オールドスパイスは、2006年のコメディ映画『タラデガ・ナイト』でジョン・C・ライリー演じるカル・ノートン・ジュニアのスポンサーとしても登場した。

オールドスパイスは2019年にNASCARに復帰し、Daytona 500で、コリー・ラジョイ英語版の運転するGo Fas Racingの32号車のスポンサーとなった[25]。この車はコリー・ラジョイの顔がボンネットにデザインされたユニークなデザインだった。チームはそのレースで18位に終わった[26]

2023年、一度だけモータースポーツ活動に復帰し、チェイス・ブリスコー(en:Chase Briscoe)とスチュワート・ハース・レーシングYellaWood 500に出場する14号車のスポンサーを務めた。

日本での展開

1963年にシュルトンの日本支社ができ、デパート、専門店を中心に展開した[27]

2025年6月中旬、P&Gジャパンh&sブランドから、オールドスパイスとの日本限定コラボシャンプーがオンラインで先行販売された[28]

脚注

  1. ^ John Biebel. “How Old Spice Has Always Remained New ~ Fragrance Reviews ~ Fragrantica” (英語). Fragrantica. 2016年8月2日閲覧。
  2. ^ How Your Favorite Brands Reinvented Themselves and Made Big Money” (英語). GOBankingRates (2021年4月27日). 2021年8月13日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ Shulton” (英語). Cosmetics and Skin. 2020年12月3日閲覧。
  4. ^ The Brand Your Brand Could Be Like: How Old Spice Went Viral” (英語). Fast Company (2014年12月18日). 2016年9月9日閲覧。
  5. ^ 平田満男『世界の香水と化粧品物語』パルファム、1982年9月10日、118頁、ISBN 4-924447-91-9
  6. ^ Hirschman, Elizabeth C. (2016-01-22) (英語). Branding Masculinity: Tracing the Cultural Foundations of Brand Meaning. Routledge. ISBN 9781317386056. https://books.google.com/books?id=L4FwCwAAQBAJ 
  7. ^ P&G buys Old Spice, Santa Fe lines for $300 million” (英語). UPI (1990年6月13日). 2025年6月21日閲覧。
  8. ^ a b Sayantani Kar (2015年3月20日). “40 years ago...And now- Old Spice: Long way to sail before dropping anchor” (英語). Business Standard. 2025年6月21日閲覧。
  9. ^ Newman, Andrew Adam (2014年2月17日). “In Shampoo Ads for Men, It's Not Just the Hair, It's What It Does for You” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2014/02/18/business/media/in-shampoo-ads-for-men-its-not-just-the-hair-its-what-it-does-for-you.html 2019年8月27日閲覧。 
  10. ^ Antoinette Alexander (2014年1月27日). “P&G's Old Spice expands into men's hair care” (英語). Drug Store News. 2025年6月21日閲覧。
  11. ^ EMMA SANDLER; 田崎亮子(翻訳) (2021年4月4日). 長田真(編集): “P&G「オールドスパイス」、初の理髪店をオハイオ州に開店”. DIGIDAY[日本版]. 2025年6月21日閲覧。
  12. ^ Joseph DeAcetis (2021年4月20日). “Old Spice Barbershop Launches With Celebrity Barbers And Content Studio” (英語). Forbes. 2025年6月21日閲覧。
  13. ^ Stuart Elliott / NY TIMES NEWS SERVICE (2007年1月18日). “Is Old Spice still the mark of a man?” (英語). Taipei Times. 2025年6月21日閲覧。
  14. ^ Old Spice Response Campaign Was More Popular Than Obama” (英語). Adweek (2010年8月5日). 2016年9月9日閲覧。
  15. ^ DAN SEWELL (2011年7月23日). “Fabio makes his pitch as 'new Old Spice Guy'” (英語). NBC NEWS. 2025年6月30日閲覧。
  16. ^ Fabio vs Mustafa: Battle Of The Old Spice Guys” (英語). The Knowledge Online (2011年7月26日). 2025年6月30日閲覧。
  17. ^ Terry Crews Makes Muscle Music With Old Spice (And Now It's Your Turn)” (英語) (2012年8月28日). 2025年6月22日閲覧。
  18. ^ Patrick Kevin Day (2014年1月6日). “Old Spice's 'Momsong' commercial is another viral hit” (英語). Los Angeles Times. 2016年9月9日閲覧。
  19. ^ Justin Lear (2014年1月7日). “Old Spice TV spot ‘Momsong’ gets online buzz with postive, negative reactions” (英語). CNN. 2025年6月30日閲覧。
  20. ^ Old Spice | The Hardest Working Collection” (英語). Wieden+Kennedy. 2016年9月9日閲覧。[リンク切れ]
  21. ^ 2 New Old Spice Guys Kick Off Hilariously Weird 'Smell 'Em Who's Boss' Campaign” (英語). Adweek (2016年6月27日). 2016年9月9日閲覧。
  22. ^ Old Spice Goes to Ends of Earth to Find New Old Spice Guy Deon Cole and the Freshest Ingredients Forged From Nature to Deliver the Real Freshness of the All-New Fresher Collection” (英語). news.pg.com. 2021年8月13日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ Old Spice unveils new Fresher collection, brand ambassador” (英語). Drug Store News. 2025年6月30日閲覧。
  24. ^ Megan Graham (2020年1月22日). “The Old Spice guy is back for the 10th anniversary of 'Smell Like a Man, Man' commercial” (英語). CNBC. 2020年10月9日閲覧。
  25. ^ Steven Taranto (2019年2月13日). “NASCAR's Corey LaJoie puts own face on front of Daytona 500 car” (英語). 247SPORTS. 2025年6月22日閲覧。
  26. ^ 2019 Daytona 500 Results” (英語). Racing-Reference. NASCAR Digital Media. 2019年2月17日閲覧。
  27. ^ 平田満男『男性フレグランス小事典』PARFUM編集局、1980年2月26日、92頁、 ISBN 4-924447-90-0
  28. ^ h&s [@hscareJapan]「12:00 PM · Jun 13, 2025のポスト」2025年6月13日。X(旧Twitter)より2025年6月30日閲覧。

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