エンリケ航海王子の肖像画を巡る謎
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「サン・ヴィセンテの祭壇画」の記事における「エンリケ航海王子の肖像画を巡る謎」の解説
この祭壇画を巡って最も議論の対象となったのが、パネルの人物特定である。特に対象となったのがエンリケ航海王子である。 一般に、エンリケ航海王子は左から3番目の聖ヴィセンテの右側に居る、口髭を生やし黒い鍔帽子を被った人物とされており、一般に抱かれるエンリケ航海王子の画像イメージもこれに従っている。このパネルが俗に、エンリケ航海王子のパネルと言われているのはそのためである。その根拠とされたのが、1837年に発見された『ギネー発見征服誌』である。同書には上記と全く同じ人物の画像が挿入されており、その下にエンリケの標語である“最善を尽くせ”が記されていたからである。 しかし、最近ではこの人物はむしろ兄ドゥアルテ1世で、エンリケ航海王子は向かって右から2番目の騎士のパネルの最前列で、両手を合わせてひざまずいている人物だというのが有力視されている。顔つき・体格が彫像や当時の記録と一致していること、身に着けている服装及び紋章が、エンリケが団長を務めていたキリスト騎士団の物であるというのがその理由である。 さらには、エンリケ航海王子は最初から描かれていないという説も出されており、祭壇画を巡る混迷はますます深まるばかりである。
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