アイマーク人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/12 01:34 UTC 版)
| (191万8000[1]) | |
| 居住地域 | |
|---|---|
| 169万7000[1] | |
| 21万4,000[1] | |
| 7600[1] | |
| 言語 | |
| ペルシア語のアイマーク方言 | |
| 宗教 | |
| スンナ派 | |
| 関連する民族 | |
| ペルシア人、タジク人、ハザーラ人、イラン系 | |
アイマーク人(英語: Aimak または Aymaq、ペルシャ語: ایماق)は、ペルシア語を話す遊牧民・半遊牧民の集団ことである[2]。アフガニスタン西部のゴール州やイランのホラーサーン州に在住する[3]。主にイラン系だが、モンゴル系も居る。
由来
「アイマーク」という言葉はモンゴル語で「部族」や「放牧領域」[4]、遊牧地を共有する遊牧民の共同体[5]を意味している。言語的にも歴史的にも証拠は無いが、イランの古代伝説に登場する半神の王「イマ」(仏教で言う閻魔)やジャムシードと無理やり関連付ける説がある。
部族
アイマーク人はチャハール・アイマークとして知られている。チャハールとは「4」の意味で、タイマーニー族(ゴール州の主な住民)、フィールーズクーヒー族[6]、ジャムシーディー族[6]、タイムリ族を指す。別の説では4部族にアイマーク・ハザーリー族[6]が入ったり、タイムリ族がタヒリ族やズリ族、マレキ族、ミシュマスト族と共に「小アイマーク」[7]や 「その他のアイマーク」(Aimaq-e diga)と呼ばれることがある。
| 名称 | 出身 | 人口(3カ国) | 備考 |
|---|---|---|---|
| タイマーニー族 | イラン系 | 59万2000人[1] | ゴール州など。 |
| フィールーズクーヒー族 | イラン系 | 29万6000人[1] | |
| ジャムシーディー族 | イラン系 | 15万9000人[1] | |
| タイムリ族 | モンゴル系 | 33万4000人[1] | タヒリ族やズリ族、マレキ族、ミシュマスト族など。 |
| アイマーク・ハザーリー族 | モンゴル系 | 23万9000人[1] |
分類
アイマーク人は2種類に分けることが出来る。タイマーニー族やフィールーズクーヒー族、ジャムシーディー族はアフガニスタンでは伝統的な黒いテントに住んでいる。彼らはイラン人が起源であり、自分達をタジク人と呼んでいる。アフガニスタンのアイマーク族の大半はイラン系の3つの支族である。一方、タイムリ族やアイマーク・ハザーリー族はゲルに住んでいる[8]。物理的な外見や住居の形態から明らかなように[9]、彼らはモンゴル人が起源のアイマークである。
分布
アイマーク人の人口は調査によって異なり、25万~200万人である[4]。アイマーク人はタジク人やハザーラ人とある程度は近い関係にあるので、アフガニスタンの国勢調査ではタジク人に分類されている[4]。アイマーク人はアフガニスタンの西部や中央部に住んでおり、ゴール州では多数派を占めている。ヘラート州やバードギース州の西部にも沢山住んでいて、ファラー州やファーリヤーブ州、ジョウズジャーン州、サーレポル州にも幾らか住んでいる[4]。
言語
アイマーク人のペルシャ語はアイマーク方言であり、いくつかの下位方言に分かれる。なお南方のタイマーニー族[6]やイランのマレキに住むアイマーク人はパシュトー語を話す[10]。
宗教
ハザーラ人の大半がシーア派であるのとは対照的に、アイマーク人は殆どがスンナ派のムスリムである[4]。
脚注
- ^ a b c d e f g h i “Aimaq”. JoshuaProject (2009年8月11日). 2014年1月29日閲覧。
- ^ A bitter harvest: US foreign policy and Afghanistan. Ashgate Pub Ltd. (2003). p. 25. ISBN 9780754636151. ""The term Aimaq means "tribe" but the Aimaq people actually include several different ethnic groups. The classification has come to be used for a variety of nonaligned nomadic tribes""
- ^ Janata, A. "AYMĀQ". In Ehsan Yarshater (ed.). Encyclopædia Iranica (Online ed.). United States: コロンビア大学.
- ^ a b c d e “Aimak, Ghor province”. アメリカ海軍大学院 (2011年11月15日). 2014年1月28日閲覧。
- ^ 杉山正明/著「アイマク Aimakh」『世界大百科事典1』より(平凡社、1988年)ISBN 4-582-02200-6
- ^ a b c d 世界大百科事典 第2版. “チャハール・アイマーク”. kotobank. 2014年1月28日閲覧。
- ^ Willem Vogelsang (2002). The Afghans. Wiley-Blackwell. pp. 37–. ISBN 9780631198413 2011年4月1日閲覧。
- ^ Muhammad Owtadoiajam (2011年11月15日). “A SOCIOLOGICAL STUDY OF THE HAZARA TRIBE IN BALUCHISTAN (AN ANALYSIS OF SOCIO-CULTURAL CHANGE)”. Tribal Analysis Center. 2014年1月28日閲覧。
- ^ "Afghanistan". Encyclopædia Britannica. Ultimate Reference Suite. Chicago: Encyclopædia Britannica, 2008.
- ^ Vogelsang, Willem (2002). The Afghans. Wiley-Blackwell. p. 18. ISBN 0631198415 2012年1月23日閲覧。
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