角のふくれ
- 万葉集(十六)児部女王の嗤る歌に美麗物何所不飽矣(うましものいづくあかじを)坂門等之角乃布久礼爾四具比相爾計六(さかとらしつののふくれにしびひあひにけむ)とある角乃布久礼を(契冲法師の説には牛の角鹿の角などのみな下のふくれたればさやうのいやしき貎つきしたらん男に云々。又真淵翁の説には獣の面のふくれみぐるしきを醜男にたとへたりとあるを)伊吹舎大人は男陰なりといはれたれど他(あたし)古書どもに見へたる事なければ定め難し、と松岡調の『陰名考』にあれども、男陰と解すること適当ならんか。上州の和学者新居守村の著にて明治十八年に公刊せる『気象考』には、此語を「ゑめる」(女陰)に対して男陰とせり。曰く「癪持の妻もちていたくさし込みたらば薬よ医者よのさわぎせず角のふくれをゑめるにあはせ抱き起しいだき居て背骨の左右を一二三四五六七八九十(ひふみよいむなやこと)と撫おろし見よ下ること妙なりとぞ」。
- 男陰の古語。つぬは角、ふくれは膨の意。「えめる」の対。「万葉集」十六巻児部女王の歌に「美麗物(うましもの)。何所不飽矣(いづくあかじを)。坂門等之角乃布久礼爾(さかとらしつののふくれに)。四具比相爾計六(しぐひあひにけむ)」とあり。明治十八年刊新居守村「気象考」に「癪持ちの妻持ちていたくさしこみたらば薬よ医者よの騒ぎせず角のふくれをえめるに合せ抱き起して背骨の左右を一二三四五六七八九十(ヒフミヨイムナマコト)と撒でおろし見よ、下ること妙なりとぞ」とあり。
- 橘守部の催馬楽入綾に男陰をいふと解説したり。
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