出っ歯
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/14 04:22 UTC 版)
出っ歯(でっぱ)は、反っ歯(そっぱ)とも言い、上顎の前歯の先端部、あるいは上顎の前歯全体が突出している状態、又はその人を指す。歯科医療では上顎前突症の症例の一つと見るが、形質人類学では歯槽[1] の前傾・前突による個人差もしくは人種差を示す形質とし、病的なものとはしない。
- ^ 顎骨のうち、歯根が埋まっている部分を歯槽と言う。
- ^ 上顎の切歯において、永久歯が歯槽骨内から成長して来た時、まだ乳歯が抜け落ちないため、永久歯が正常な位置に萌出できず、乳歯の前方に出て出っ歯状になる場合もある。
- ^ 人類学においては、現生人類(ホモ・サピエンス)で見られる突顎はすべて歯槽部だけが突出している状態であるので、「歯槽性突顎」と言う。ネアンデルタール人・北京原人その他古代人類及び類人猿その他サル類は上下の顎骨全体が突出しており、「顎性突顎」もしくは「真性突顎」と呼ぶ(埴原和郎 『骨を読む』 中公新書 1965年、鈴木尚 『日本人の骨』 岩波新書 1963年)。ただし、歯科医学では上顎前突症、下顎前突症により顎骨が前突した場合を「突顎」と呼ぶ(突顎)。
- ^ 顔面骨で、鼻に相当する空洞部分(梨状口)の最も深い点
- ^ 上顎の左右中切歯の間にある上顎骨の最前端部
- ^ 歯学では、上顎の歯列全体が下顎の歯列より前に出て、従って上下の臼歯の咬面もずれる病的な事例についても鋏状咬合と呼ぶが(鋏状咬合(はさみ状咬合)、シザーズバイト)、ここで言う鋏状咬合は切歯部のみが前進しているもので、正常な状態である(鈴木尚 『日本人の骨』 岩波新書 1963年)。
- ^ 鋏に似ているが、先端部が接合して組織を固定する医療器具。切開部の支持・固定などに用いる。
- ^ 明治後期から昭和初期にかけて日本の解剖学や古人類学の基礎を築いた小金井良精(こがねい よしきよ)によれば、上顎は顔面骨や脳頭骨と連結しているため簡単に縮小や拡大は出来ないが、下顎はそうではないので、環境の変化に応じての大きさや形態の変動が可能である(藤田恒太郎 『歯の話』 岩波新書 1965年)。
- ^ 鈴木尚 『日本人の骨』 岩波新書 1963年。研究者によってはこれより小さい角度を上げているものもあるが(大迫美穂, 佐々木佳世子, 金澤英作, 「近世から現代へかけての歯槽側面角の変化」『歯科基礎医学会雑誌』 41巻 5号 p.459, 1999-08-20, 歯科基礎医学会, NAID 110003165896)、計測した資料の数や偏りを考慮し、鈴木尚の挙げた値を取った。
- ^ 科学的な裏付けや統計調査に基づく事例ではなく、主観に基づく感想であるが、高齢者の中には、自分の若い頃には出っ歯の人が多かったが、最近はあまり見かけない、という認識を持つ者がある。
- ^ 日本臨床矯正歯科医会の歴史
- ^ 藤田恒太郎 『歯の話』 岩波新書 1965年
- ^ Wikipedia の上顎前突症の中にも、出っ歯の原因を上顎前突症とした上で、「アメリカなどでは外見、特に歯並びを重要視する立場から子供の成長期に矯正をさせる習慣が根付いている。」という記述があり、誤解を招きかねない書き方である。
- ^ 藤田恒太郎 『歯の話』 岩波新書 1965年、鈴木尚『骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと』 東京大学出版会 1985年、その他
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