JR東日本連続放火事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/07 18:35 UTC 版)
逮捕
9月15日、警視庁は品川区にある変電所で敷地の一部が焼けた事件に関わったとして、威力業務妨害の疑いで、都内に住む自称ミュージシャンの42歳の男を逮捕した[17]。男は犯行の動機について「大量に電力を消費するJRが許せなかった」と供述しているという[18][19]。
逮捕までの推測
専修大学名誉教授(犯罪心理学)の森武夫は「JRに個人的な恨みがある人物が関与した可能性がある。住人らが騒ぐ様子などを見て楽しむ愉快犯的な側面も感じられる」と述べた[20]。
こころぎふ臨床心理センター代表で臨床心理士の長谷川博一は「このとき(18日に立川で発生した火災)の報道を見た犯人が、『こういうことが起きれば、もっと大きな騒ぎになる』と認識し、犯行をエスカレートさせたのではないか」と指摘し、「自分の境遇などに不満があり、発散する手段だったのかもしれない」と分析した[21]。
裁判
男は威力業務妨害罪で起訴され、12月16日の初公判で起訴内容を認めた上で、「国益がJRの越権行為によって危機に晒されている。損壊や妨害は正義の表現にとって極めて重要不可欠だ」と述べ、正当行為に当たるとして無罪を主張した。検察側は冒頭陳述で「JRが電力を浪費しているなどという独善的な憶測に基づき、今年春ごろから火炎瓶を使った妨害をするようになった。犯行で、5万人を超える乗客に影響した」などと指摘した[22][23]。
2016年3月25日、東京地方裁判所(安藤範樹裁判官)は、男に対して懲役4年(求刑・懲役7年)の実刑判決を言い渡した[24]。
2016年10月12日、最高裁判所は男の上告を棄却し、懲役4年の実刑判決が確定した[25]。
犯人について
犯人は著名な芸術家の息子で、母方の祖父は大使を務める外交官であった[1][26]。
犯人は福島第一原子力発電所事故後、原子力発電所に対して批判的な意見を持つようになり、反原発デモや国会議事堂前のデモにも参加していた[27]。
- ^ a b “JR放火魔は芸術家の息子だった…知人の評判は「面倒くさいヤツ」”. 東京スポーツ. (2015年9月18日)
- ^ “JR連続放火のミュージシャンは“筋金入り”のワル息子だった”. 日刊ゲンダイ. (2015年9月18日). オリジナルの2015年9月20日時点におけるアーカイブ。
- ^ “JRケーブル火災相次ぐ 警察が原因捜査”. NHK. (2015年8月29日5時4分)[リンク切れ]
- ^ “JR不審火相次ぐ 防犯カメラに不審な男も”. 読売テレビ. (2015年8月29日12時)[リンク切れ]
- ^ a b 品川変電所近くでぼや JR東日本敷地内で連続放火の可能性も(15/08/30)
- ^ “JR変電所火災 カメラに帽子かぶった人の姿”. NHK. (2015年8月29日18時45分)[リンク切れ]
- ^ “JR中央線の高架下で火災 停電、6路線に影響”. 朝日新聞. (2015年8月19日). オリジナルの2015年8月18日時点におけるアーカイブ。
- ^ “都内JRでまたケーブル火災…放火か自然発火か”. 読売新聞. (2015年8月27日). オリジナルの2015年8月29日時点におけるアーカイブ。
- ^ “ケーブルカバー焼け、中央線快速が一時運転見合わせ”. 朝日新聞. (2015年8月22日). オリジナルの2015年8月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ “JR連続不審火、現場近くに自転車の男 渋谷区の火災”. 朝日新聞. (2015年9月2日). オリジナルの2015年9月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ “JR変電所で不審火、連続放火か 焼けたペットボトル残る 30代?男の映像 警視庁捜査”. 産経新聞. (2015年8月29日)
- ^ “防犯カメラの男、自転車で逃走か JRの連続火災 未発覚の新たな被害も”. 産経新聞. (2015年8月30日)
- ^ 線路わきでケーブル火災 山手線などで運転見合わせ(15/08/27) ANNニュース公式YouTubeチャンネル 2015年8月27日
- ^ “山手線でまた不審火 架線支える滑車溶ける”. 朝日新聞. (2015年8月30日)
- ^ “【JR連続不審火】中央線脇でカバー焼ける 国分寺、現場にプラスチック片と針金 連続事件と関連捜査”. 産経新聞. (2015年9月5日)
- ^ “先月も線路火災 捜査本部設置”. NHK. (2015年8月31日11時57分) 2015年8月31日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “【JR連続不審火】42歳男を威力業務妨害容疑で逮捕 品川変電所被害に関与 一連の不審火との関連捜査”. 産経新聞. (2015年9月15日)
- ^ “【JR連続不審火】「大量に電力消費のJR許せない」 容疑者が複数の不審火への関与認める 自宅からアルコール入り容器を押収”. 産経新聞. (2015年9月16日)
- ^ “【JR連続不審火】自称ミュージシャンをケーブル放火容疑で再逮捕 「山手線廃線にするためにやった…」”. 産経新聞. (2015年10月6日)
- ^ “【JR連続不審火】JRに恨み?混乱楽しむ愉快犯? 週末に被害集中(1)”. 産経新聞. (2015年8月31日)
- ^ “【JR連続不審火】JRに恨み?混乱楽しむ愉快犯? 週末に被害集中(2)”. 産経新聞. (2015年8月31日)
- ^ “JR不審火 43歳男「正当な行為」 初公判で無罪主張”. 毎日新聞. (2015年12月16日)
- ^ “【衝撃事件の核心】「国民がJRの行為で危機に!」 JR不審火事件初公判 自称ミュージシャンが展開した無罪主張”. 産経新聞. (2015年12月16日)
- ^ “JR連続不審火、懲役4年の判決 東京地裁”. 朝日新聞. (2016年3月26日)
- ^ “JR連続不審火事件、実刑確定へ 最高裁、上告を棄却”. 朝日新聞. (2016年10月13日)
- ^ “【JR連続不審火】「四十路ミュージシャン」の素性 芸術家の父との確執、反原発デモ…”. 産経新聞. (2015年9月17日)
- ^ “【JR連続不審火】定職就かず、月20万仕送り受け…反原発、政治にも興味 父親「なぜこんなことに」”. 産経新聞. (2015年9月16日)
- ^ “耐火シートで応急対策 山手線ケーブル火災、JRが作業公開”. 日本経済新聞. (2015年8月28日)
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