8ミリビデオ 8ミリビデオの概要

8ミリビデオ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 03:50 UTC 版)

8ミリビデオ
8ミリビデオカセット
メディアの種類 テープ
記録容量 30分
60分
120分
読み込み速度 約14.5mm/s
読み取り方法 ヘリカルスキャン方式
書き込み方法 ヘリカルスキャン方式
策定 ソニーパナソニック日立製作所JVCケンウッドフィリップスなど127社
主な用途 映像等
大きさ 95×62.5×15mm
(テープ幅:8mm)
上位規格 Hi8、XR規格、Digital8
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8ミリビデオカセット裏

誤用であるが、前述のとおり一般用途としては据え置き型よりカムコーダー用が普及したため、「8ミリビデオ」という言葉はカムコーダーを示す言葉として使われていた。

概説

家庭用VTRとしてVHSベータが登場し、激しい規格争いが行われていた中、1980年以降、VTR一体型ビデオカメラ(カムコーダ)の試作品がソニーや松下電器(現在:パナソニック)、日立などから相次いで発表された[1]。これらにはVHSやベータではない、各社が独自に開発した小型のビデオテープが用いられていたが、先の規格争いから規格統一の必要性を痛感した各社により後に「8ミリビデオ懇話会」が設けられ、次世代のビデオ規格として検討が行われた結果、ビデオにおける初の世界127社による統一規格として誕生した。しかし後述のように、日本ビクターや松下電器などはVHS-C規格を製品化したため、結局のところ規格争いが再発することとなった。この携帯型ビデオカメラ用では8ミリビデオ陣営側の規格が普及した。

テープ幅が8ミリであり、規格名はそこから取られている。ビデオカセットはコンパクトカセットとほぼ同じ大きさで、VHSやベータと比較して大幅に小型化されている。テープはメタルテープ(塗布型または蒸着型)を採用し、高密度記録により、当初より標準モードで120分の長時間記録が可能だった。また、後に180分テープも発売された。

8ミリビデオをハイバンド化した上位互換の高画質フォーマットとしてHi8、テープ速度を2倍にしてデジタル記録(DV互換)を実現したDigital8がある。そのほかに、Hi8方式の高画質技術として、輝度信号の周波数帯域を拡張するXR規格(公称水平解像度440TV本)が存在する。

単に「8ミリ」、「8mm」と呼ばれることもあるが、その場合、8ミリフィルムを意味していることもある。現在ではMiniDVへの世代交代、さらには記録メディアが磁気テープからDVDHDDSDメモリーカードSSDへと変遷したことによって「8ミリ」という略称自体がほとんど使われなくなっている。

フォーマット概要

  • 記録方式:ヘリカルスキャン方式
  • 記録ヘッド数:2(標準), 4(小型)
  • ヘッドドラム径:40mm (巻きつけ角190°), 26.7mm(巻きつけ角292°)[2]
  • ヘッドドラム回転数:約30Hz(正確には NTSCに準じ 29.97fpsに対応する 29.97Hz) (約1800rpm)
  • テープ幅:8mm
  • テープ送り速度:14.345mm/s (SP), 7.176mm/s(LP)
  • 記録トラック幅:20.5μm (SP), 10.2μm(LP)
  • 信号方式:
    • 映像
      • 輝度信号:周波数変調(FM)
        • 8mm:シンクチップ:4.2MHz/白ピーク:5.4MHz
        • Hi8:シンクチップ:5.7MHz/白ピーク:7.7MHz
      • 色差信号: 低域変換PI 743.444kHz
    • 音声
      • 音声信号1:2チャンネルAFM記録
        • 映像信号に周波数多重。規格化当初はモノラルだったが、のちにステレオ化された。ステレオ化に際しては、従来のモノラル機と互換性を取るため、従来のAFM信号(L+R、1.5MHz)の上位周波数(1.7MHz)にL-Rの信号を加えたものになっている。
      • 音声信号2(オプショナル):2チャンネルPCMデジタル記録(ビデオトラック端部に時間軸圧縮記録)、サンプリング周波数31.5kHz、非直線8ビット量子化
        • AFMがステレオ化したことにより、民生用のビデオカメラではほとんど使用されていない。DAT並みの音声とした16ビット規格も発表されたが、結局対応製品は発売されなかった。
        • 映像と別領域のため、アフレコによる差し替えが可能。業務用機では音声トラックを残して映像を差し替える機能もあった。
      • 音声信号3(オプショナル): 1チャンネル固定ヘッド記録[3][4]
        • AFMステレオで必要十分だったため、音声用固定ヘッドは民生用では使用されていない。
    • タイムコード
      • オプション規格でテープに直接録画時間を記録するタイムコードが2種類用意されている。
        • 民生用タイムコード
          • フレーム単位でタイムコードを挿入し、編集時の編集点指定精度を上げるようにしている。ハンディカムのCCD-V800で初めて採用された。
        • 業務用機器タイムコード
          • 民生用とは別のタイムコードで、民生用同様編集点指定制度を上げるためにフレーム単位のタイムコードが用意されている。ドロップフレーム。このタイムコードは録画済みのテープに事後で挿入ができるため、タイムコードのないビデオで録画したテープも編集精度を上げて編集することが可能になる。
  • カムコーダでの使用が前提だったことから、つなぎ撮りがきれいに行なえるFEヘッドの採用が必須とされたため、固定消去ヘッドは全ての機種で使用されていない。

  1. ^ 戦後日本のイノベーション100選 安定成長期 家庭用カムコーダ”. koueki.jiii.or.jp. 2020年5月13日閲覧。
  2. ^ 平井純 (1995). “8mmビデオの製品開発と方法”. 精密工学会誌 61 (1): 29 - 34. doi:10.2493/jjspe.61.29. 
  3. ^ 弓手康史 (1984). “8ミリビデオについて(2) : オーディオ技術を中心に”. テレビジョン学会技術報告 7 (40): 7 - 10. doi:10.11485/tvtr.7.40_7. 
  4. ^ 平田渥美, 長岡義礼 (1986). “5-2 記録再生機器”. テレビジョン学会誌 40 (7): 625 - 629. doi:10.3169/itej1978.40.625. 
  5. ^ 産業技術史資料データベース”. sts.kahaku.go.jp. 2020年5月13日閲覧。
  6. ^ Sony Japan | Sony History 第2章 規格戦争に巻き込まれた秘蔵っ子”. www.sony.co.jp. 2020年5月13日閲覧。
  7. ^ ソニー、8mmビデオカセットレコーダ出荷を9月に終了 AV Watch(2011年7月21日)


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