1985年の全日本F3選手権 1985年の全日本F3選手権の概要

1985年の全日本F3選手権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 17:42 UTC 版)

1985年の全日本F3選手権
前年: 1984 翌年: 1986

シリーズチャンピオンは佐藤浩二が獲得した。

概要

前年に日本F3協会独自で1年前倒し導入されたウイングカー(グランド・エフェクト・カー)の禁止と、フラットボトム規定により旧型車の参戦を引き出すことに成功し、参加台数は2年引き続いて増加傾向となり1983年に陥ったF3参戦台数が10台前後まで減少する危機からは脱した。

ヨーロッパ各国のF3でもフラットボトム規定が発効された年となったため、イギリスのシャシーコンストラクターもそれに沿ったF3用新シャシーをこの年に標準を合わせ準備していた。ラルトは純フラットボトム設計の新車・RT30をリリースし、これをTeamルマンLe Garage COXが全日本F3でも投入する。開幕すると佐藤浩二による連続ポールポジション獲得でRT30の性能の高さはシーズン序盤から明らかになった[1]。前年チャンピオンとなった兵頭秀二(ハヤシ・330/トヨタ2T-G→3S-G)も2年連続チャンピオン獲得に意欲的で、 日産F3エンジンの開発担当2年目となる鈴木亜久里NISMOによるワークス体制で開幕戦優勝する好スタートを切り「そろそろタイトルを取りたい」と抱負を述べるなど、85年シーズンはこの3人によるタイトル争いとなった。ルーキーでは前年のFJ1600筑波シリーズチャンピオンの片山右京が全日本F3にステップアップし、日産系のハセミモータースポーツから支援を受けハヤシ製シャシーに日産・FJエンジンを搭載したマシンでF3にデビューした。

日本製のシャシーでは、第3戦鈴鹿から元童夢-零のボディ開発スタッフ・安藤元晴が独立し創設した「ファーストモールディング」が製作した国産初のオールカーボンファイバー製F3シャシー「コラージュ III」が全日本F3に参戦開始し、第5戦西日本では6位入賞する性能を見せた[2]

参戦エントラントが選択する搭載エンジンはトヨタエンジンが依然多数派で、開幕時にトヨタは2T-G型エンジンであったが、シーズン途中より新型3S-G型の導入が始まった。

チャンピオン争いは搭載エンジンで見るとフォルクスワーゲン・GXエンジンの佐藤、トヨタエンジンの兵頭、日産エンジンの鈴木亜久里と3メイカーによる争いとなり、最終戦を前に佐藤79ポイント、鈴木77ポイント、兵頭70ポイントという混戦になった。ここで佐藤は最終戦を独走で制し、終盤戦を連勝で締めくくる強さを発揮しシリーズ・チャンピオン獲得を果たした。創設以来これまで全てトヨタエンジンが王座を獲得してきた全日本F3で初となるフォルクスワーゲン・エンジンでのタイトル獲得でもあった[3]

鈴木亜久里は有効ポイント制のため最終戦では3位以内に入らなければポイントが加算されない状況で挑んでいたが、6位フィニッシュでポイントを加えることが出来ずランキング2位となり初タイトルを逃した。しかし同年途中に全日本F2のシートを得てスポット参戦でのデビューを果たし、7年間に及んだ全日本F3参戦を卒業することとなった。

最終戦・鈴鹿ではノバ・エンジニアリング森本晃生により全日本F3にレイナード製シャシーが初参戦し、翌年以後のラルト対レイナードのシャシー競争の第一歩となった。

エントリーリスト

車番 ドライバー[4] シャーシー エンジン タイヤ エントラント/チーム
1 兵頭秀二 ハヤシ・ストラーダ330 トヨタ・2T-G → 3S-G D ライジングサン TEAM KITAMURA
2 中嶋修 ハヤシ・330 東洋印刷 → イタリヤード
3 赤木広一 ラルト・RT30 トヨタ・2T-G → 3S-G LMスポーツ
5 佐藤浩二 ラルト・RT30 フォルクスワーゲン・GX B Le Garage COX Racing Team
6 篠田富美子 ラルト・RT3 フォルクスワーゲン・GX B
7 中山真 ハヤシ・ストラーダ330 フォルクスワーゲン・GX B
8 岡田晃生 ラルト・RT3 日産・FJ20 Y オロナミンC COXスピード神戸
9 五藤久豊 オスカー・T4改
10 石川昭彦 (Rd.2,6-7) マーチ・813 ぼくたちのスーパー Wini
10 水谷敬一 (Rd.3) マーチ・783 大明神 SPL
11 片山右京 ハヤシ・320 → 322 日産・FJ20 D オートルック ハセミモータースポーツ
12 森本晃生 (Rd.7) レイナード・853 LARK ノバ・エンジニアリング
15 中島禎史 (Rd.2-3) マーチ・793 CAR'S BAR 793 & スポーツ・ムー
15 田原浩一 (Rd.6-7) マーチ・793 テイクアウト マーチ
16 小川英毅 ハヤシ・320 関西中古車販売
17 山内忠大 ハヤシ・321 → 322 D
18 山田英二 マーチ・793 日産 TOMEI
19 佐野和志 マーチ・793
→ ラルト・RT3E/84 → RT30
日産・FJ20 B LARK IMPUL
20 山本郁二 (Rd.2) ステッラ・033 日産 D
21 南野正夫 マーチ・783 → 803改 Y オロナミンCマーチ
22 松井茂樹 (Rd.2) ステッラ・033 日産
23 鈴木亜久里 マーチ・793
→ ラルト・RT30
日産・FJ20 D Canon NISMO
24 近江太郎 ラルト・RT3E TEAM ROMAN
25 牧野博行 ラルト・RT1 トヨタ
26 松本喜孝 (Rd.4) オスカー・T1 ヒロ・クリスティ・ルブー
27 井倉淳一 マーチ・793
→ ラルト・RT3
D 佐川急便JUSCO COX神戸
28 太田憲治 マーチ・783改 B
30 江見和男 (Rd.1) ハヤシ・320 セントラルサプライ
30 鈴木忠義 (Rd.3) マーチ・783
31 穂坂正志 マーチ・783 BARDAHL JAPAN
32 鏑木尊義 (Rd.2,4) マーチ・803 クラリオン鏑木自動車
32 和田久 (Rd.1,3,6-7) マーチ・783 奥野SPEED
34 鈴木忠義 (Rd.1) マーチ・783
34 西山仁士 (Rd.7) ラルト・RT3 Red-MANX
37 山本郁二 (Rd.1,3-7) ステッラ・033 日産・FJ20
38 松井茂樹 (Rd.3-7) ステッラ・033 日産・FJ20
45 野中真喜雄 (Rd.3-7) コラージュ・45 III トヨタ ファーストモールディング
50 松本喜孝 (Rd.2) オスカー・T1 ヒロ・クリスティ・ルブー
56 亀田真嗣 (Rd.6-7) ラルト・RT1 マリノ・ピットイン

  1. ^ 国内F3選手権の歴史 1985 オートスポーツ No.709 12-16頁 三栄書房 1996年9月1日発行
  2. ^ 国内初のオールカーボンシャシーF3「COLLAGE III」 ファーストモールディング
  3. ^ Racing History 1985全日本F3選手権(Volkswagenエンジン)シリーズ優勝 コックス株式会社
  4. ^ F3シリーズエントリーリスト オートスポーツ 三栄書房 1985年12月15日号 53頁


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