青酸コーラ無差別殺人事件 事件の影響

青酸コーラ無差別殺人事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/18 00:18 UTC 版)

事件の影響

当時まだ、250mlリターナブルボトル自動販売機による販売は珍しくなかったが、この事件を契機に急速に数を減らし、有人店のセルフサービスとして数える程度が残った。

飲料製品の改良

このような事件を防ぐため、自動販売機で販売される飲料は、開封済みかどうかを一見して判別できる構造へと改良されていった。入りの飲料は、一度開けると戻せなくなるプルトップ式の構造へと変更され[3]、そういった250mLまたは350mLのストレート缶が自動販売機の主流となった。

瓶入りの飲料も、一度開封すると封印のためのリング状の部分がちぎれて落ちることで開封の有無が判別できる構造(スクリューキャップボトル)が採用され[3]、かつ缶用の自販機で扱える形状へと変更された。

再発防止の啓発

本事件を受けて、「その場で購入したもの以外の飲食物は決して拾い食いしない」よう呼びかける運動が起こった。

しかし、本事件の8年後、1985年昭和60年)には本事件と類似したパラコート連続毒殺事件が発生し、同様の手口によって12名が死亡した[3]

また、2019年令和元年)にも同じく劇物のパラコートが缶ビールに混入される事件が起きたが、購入者が飲む前に異変を発見したことで被害は防がれた[4]

備考

  • 1997年から1999年にかけ、講談社から発行された『週刊 日録20世紀』の33号(この号では、1977年が取り上げられた)において、最初の2つの事件(本項目での“第1の事件”と“第2の事件”がこれに該当)が取り上げられ、被害者の実名も紹介された。

事件を題材にした作品

  • 舞台『有栖川家の密やかな愉しみ』(楽劇座 / 作:関口純) - 不思議の国のアリスに登場する「eat me」「drink me」と本事件を関連づけて、コーラを飲んでしまった被害者の心の闇を描いている。
  • 漫画『ドーベルマン刑事』(原作:武論尊・作画:平松伸二) - 「大都会の孤独!!」「新婦警沙樹ちゃん」の両エピソードは、本事件を基にしたストーリーである。
  • 漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治) - コミックス第3巻「ゴキブリと両津の巻」(1977年初出)で、「今の世の中ぶっそうだ」とコーラやチョコを不審がって自分以外に毒見させようとするくだりがある。
  • テレビドラマ『特捜最前線』(東映) - 1978年11月8日放送の第84話「記憶のない毒殺魔!」が本事件を基にした話となっている。

  1. ^ “毒入りコーラ殺人 高輪 拾って飲み高校生急死 青酸混入 電話ボックスに放置”. 朝日新聞. (1977年1月4日) 
  2. ^ 青酸チョコ 毒混入手口も同じ 八重洲地下と神田駅『朝日新聞』1978年(昭和53年)4月18日朝刊、13版、23面
  3. ^ a b c “自販機に置かれた農薬入りドリンク、半年で12人殺害する/9月14日の話”. FLASH. (2021年9月14日). https://smart-flash.jp/sociopolitics/157530/ 2023年12月10日閲覧。 
  4. ^ “缶ビールに農薬成分 底に穴、秋田の自販機取り出し口に”. 朝日新聞. (2019年11月30日). https://www.asahi.com/articles/ASMCZ2QM3MCZUTIL001.html 2023年12月10日閲覧。 


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