裏技 呼称

裏技

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 04:59 UTC 版)

呼称

かつてゲーム雑誌には、読者から寄せられた裏技情報を掲載するコーナーがあったが、その呼称は雑誌によって異なる。『ファミ通』では「禁断の秘技」(きんだんのひぎ)、『ファミリーコンピュータMagazine』では「ウル技」(ウルテク、「ウルトラテクニック」の略)と呼称していた。

1985年3月に二見書房が出版した『ファミリーコンピュータ 人気ゲーム裏ワザ大全集』という名前のファミコンソフトのタイトルの冊子が存在したが、内容はゲーム攻略本で裏技要素はほとんどなかった[1]。次いで『ロードランナー』で主人公がハシゴにつかまっているときに片手だけ上げた状態で動かないでいると敵に触れてもミスにならないバグが判明したが、完成したROMカートリッジ内容を修正することはできず、ハドソン高橋名人が『月刊コロコロコミック』(小学館)編集部と話し合い、「表の技ではなく裏の技ということで紹介してみては」との結論に至った[2]

そして『コロコロコミック』でファミコンを担当していた編集者の利田浩一がプロレス用語でもあったという裏技を、編集会議で提案したところ採用された[3]。『コロコロコミック』1985年5月号でこの言葉が使われた特集記事が掲載され、先述の『ロードランナー』のバグが裏技といえるような紹介がなされた[1]。前述の「秘技」は同誌連載の『ゲームセンターあらし』『とどろけ!一番』『ゼロヨンQ太』などで多用されていたため目新しくなく使われず、同年代に裏本など非合法な裏モノが話題も上っていたことで禁じ手のイメージとして裏技という言葉の使用に影響、『裏ワザ大全集』と『コロコロ』での使用は両者無関係に行われたとみられている[1]。なお、1984年前後のプロレス関連メディアにはプロレス用語として裏技が使われていた例が見つからなかったとの指摘がある[1]

辞書では裏技を「開発者が意図しない」とする説明もあるが『ゼビウス』の隠しキャラクターのように意図して仕込んだり、「公式に明かされていない方法」とも説明されるがこれは攻略法も当てはまり、裏技を発見するよう仕向けられていることもある。中にはファミコン版『ドルアーガの塔』のエンディングに裏面への隠しコマンドが表示されるようにゲーム中で手順がわかる裏技もある[1]。概ね役立つものとして説明されているが『桃太郎伝説』の音楽鑑賞モードに入るパスワードや『スーパーマリオブラザーズ』のキンタマリオのように攻略とは無関係なこともある[1]

『ロードランナー』ではプログラムミスをそうではないことにするための言葉だったが、あるメーカーは進行不可能になる明らかなバグも裏技と言い張ったこともあった[2]。それゆえ、裏技が判明することはバグがあったことになるためメーカー側は使いにくい言葉だった[2]


注釈

  1. ^ ファミリーコンピュータ版『ドルアーガの塔』など。『ファイナルファンタジー』などでは、ある隠しコマンドがゲーム中に暗号メッセージとして存在しており、それを解読すれば利用することができた。
  2. ^ ファミリーコンピュータ版『ゼビウス』など。
  3. ^ ファミリーコンピュータ版『ドルアーガの塔』など。
  4. ^ スーパーマリオブラザーズ』など。
  5. ^ 「ミュージックモード」とも。隠されているものとしては、『ファイナルファンタジータクティクス』などがある。同様に「グラフィックモード」の用意されているゲームもある(『桃太郎伝説(FC版)』)。特に特殊な操作を行わなくとも、ゲーム本編を一度クリアする、などで可能になるものもある。
  6. ^ スーパーマリオブラザーズ』など。「隠し技」というより「誤仕様」とするほうが適切である可能性がある。
  7. ^ えりかとさとるの夢冒険』など。
  8. ^ ダービースタリオン96』、スーパーファミコン版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』など各種のパラメータを自由に変更できたりするものがある。後者は特定のアイテムを特定の順番に持つことにより、攻撃が全てクリティカルヒットする、モンスターが100%仲間になる、というデバッグコマンドである。
  9. ^ ファミリーコンピュータ版『スーパーマリオブラザーズ』、『メトロイド』など。
  10. ^ ファイナルファンタジーVI』では、「バニシュ」(物理攻撃を確実に回避するが魔法効果が確実に命中し、本来無効であるはずの魔法効果を有効にする魔法)を敵にかけた後、即死の魔法「デス」もしくは「デジョン」を唱えると、無条件で即死する。ファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』では、「逃げた回数」のフラグをオーバーフローさせることによって、以後プレイヤー側の攻撃が全てクリティカルヒットとなる技や、同様にオーバーフローにより、カジノにおいて大量のコインを非常に安価に入手できる技などが存在した(ただし『ドラクエIV』のオーバーフローは追加出荷版は修正済み)。
  11. ^ おいでよ どうぶつの森』、『ファイナルファンタジーIII』など。『ポケットモンスター 赤・緑』では同様に、本来あり得ないステータスのモンスターを仲間にすることが可能となっている。詳細は「けつばん」を参照。
  12. ^ ランシールで強制的に1人にされるイベント中に特定の行動を取ると、アイテムの増殖やステータスの改ざんなどが可能になる現象が発生する。
  13. ^ ドラゴンクエスト』など。
  14. ^ ファミリーコンピュータ版『ベースボール』では、ファミリーコンピュータ本体の拡張コネクタを金属の物体(ゼムクリップなど)でショートさせることにより、魔球を投げることができた。
  15. ^ スーパーマリオブラザーズ』におけるアンダーカバーでは、異様なステージを出現させることができる(「ワールド9」「256面」「スーパーマリオX」などと呼ばれることがある)。『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』の倉庫におけるコマンドバグなど。
  16. ^ ドラゴンボール3 悟空伝』など。
  17. ^ ファイナルファンタジーVII』では、イベントを飛ばしたりすることができる。また、『beatmaniaシリーズ』では、演奏中にやることで、音が一切流れず、ノーツの落下などが遅くなる。
  18. ^ ロックマンX5』などは、入れ替えた先のディスクのBGMを流してプレイすることができる。古くはPC版の『ザナドゥ』などでも、フロッピーディスクの入れ替えによる裏技が存在した。
  19. ^ なお、現在の据え置き型ゲーム機においては、ディスクを取り出した時点でゲームが終了するため、このようなショック技は使えない。
  20. ^ ゼルダの伝説』で階段状に並んだ障害物に下側から密着し、向こう側の敵に向かって横突きを繰り出すと、反撃を受けることなく安全に攻撃できる。
  21. ^ 真・女神転生シリーズ』の「その時点では強すぎる敵が現れるダンジョン」と「強敵ほど倒して得られる経験値が膨大化するシステム」を組み合わせたレベル上げ。
  22. ^ 威力が低く得点の高い技を当て続ける。
  23. ^ グラディウスII』のボスモアイに対して安全地帯から弾幕を貼って放置すると、吐き出されてくる雑魚敵のみを倒し続けることができる。
  24. ^ ファミコンのソフトでキャラの名前を濁点(゛)だけで付けると文字が七色に光って見える。当時のテレビとファミコン本体の画質の低さを利用した裏技であるためPCのエミュレータや、最新ハードへの移植版、配信版と高画質テレビによる組み合わせでの再現は困難。
  25. ^ ドラゴンクエストII 悪霊の神々』で5体以上のキャラが横並びすると、処理落ちによってキャラが点滅する。この状態でタイミングよく「はなす」コマンドを使うと透明人間と話しているように見える。
  26. ^ ファミコンなどの同時発音数の少ないゲーム機で、同じ効果音を絶え間なく鳴らし続けると、ハード的な発音数の上限を越えてしまい、BGMの一部の音が鳴らなくなる。
  27. ^ 『スーパーマリオブラザーズ』のマリオを画面上側に表示されたコインに跨がせると、マリオの股間が輝いて見えるという裏技「キンタマリオ」。
  28. ^ グーニーズ』で1プレイヤー用と2プレイヤー用のコントローラの十字キーをそれぞれ左右逆方向に入力すると、主人公がその場で足踏みする。
  29. ^ 『ファミリーコンピュータMagazine』のウル技コーナーでの扱いは最低ランクの「序の口技」程度である場合が多い。

出典

  1. ^ a b c d e f “【徹底検証】やる夫と学ぶ「裏技」という言葉の誕生。そこには昭和の男性諸君を“賢者”にした「禁断のメディア」の俗称が影響していた…!?”. 電ファミニコゲーマー (マレ): p. 1. (2017年6月16日). https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/170616 2020年4月25日閲覧。 
  2. ^ a b c “高橋名人が明かす「裏技」誕生秘話 私が「冒険島」になった理由”. ITmedia (アイティメディア): p. 5. (2019年11月29日). https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1911/30/news004_5.html 2020年5月25日閲覧。 
  3. ^ 渋谷直角 編『定本コロコロ爆伝!! 1977-2009 『コロコロコミック』全史』飛鳥新社、2009年、351頁。 
  4. ^ マーク・プレンスキー 著、藤本徹 訳『デジタルゲーム学習 シリアスゲーム導入・実践ガイド』東京電機大学出版局、2009年、127頁。 
  5. ^ 古嶋誉幸 (2020年12月28日). “本体温度を“ホットプレート”で調整するファミコン版『ドラクエ3』のRTA世界記録が更新。電源バグを活用し序盤から最強パーティを呼び出す”. 電ファミニコゲーマー (マレ). オリジナルの2021年7月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210726163333/https://news.denfaminicogamer.jp/news/201228e 2021年7月27日閲覧。 





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