生活史 (生物)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/21 08:58 UTC 版)
植物の場合
生活史は、主として動物に対してつかわれる言葉であったが、植物に対しても使われる。どのように発芽し、どのように成長し、どのように繁殖してどれだけの種子を残すか、といった部分を考えれば、動物に対してと同じように考えることができる。草本であれば、一年生か多年生か、いつ発芽し、どのように葉を広げ、いつ、どのような花を咲かせ、どのような果実・種子を、どれだけ作るか、匍匐枝やムカゴでの増殖をするか、どのように越冬するかなどといった点が問題になる。
世代をまたがって考える場合
一般に生活史と言えば、ある生物の生まれてから死ぬまでのあり方をさすが、複数世代をまたいで考えなければならない場合もある。
たとえば社会性昆虫であるスズメバチの場合、女王バチは秋に生まれて冬を越し、春から営巣して働きバチを育て、やがて大きな集団となる。秋にはそれらはすべて死滅し、雄バチと翌年の女王バチだけが残る。このように集団での寿命を認められるような生物の場合には、その集団を単位として生活史を見る必要がある。同様のことは、群体を形成する生物にも当てはまる。
あるいはアブラムシは、春から夏にかけて、雌が単為生殖で雌を生むことで、何世代も繰り返して数を増やし、秋になると雄が出現し、交尾をして卵を生むというように、個々の世代は短く、年間に何世代もを繰り返しながら、季節によって異なった活動を行う。このような場合、1年間のこの生物の生活を世代をまたいでまとめて考えた方が分かりやすい。同様のことは、相変異や世代交代を行う生物の場合にもあり得る。
より広く考えれば、年間に複数世代を重ねる生物は、越冬をどのように行うかなどの問題を考えた場合、複数世代での生活史を考えなければならない。
より一般的な性質へ
これまで述べたような、生活史の言わば質的な特徴だけでなく、例えば何個の卵を産むか、その量の個体重量に対する比率はどうかといった、量的な問題は、当初はさほど問題にされなかった。これは、それを解釈する理論がなかったためでもある。現在では、生態学の理論的発展によって、繁殖戦略や生活史戦略といった名の元に、量的特徴をも含めた生活史のさまざまな面への探求が行われるようになっている。
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