水球 水球の概要

水球

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 15:30 UTC 版)

水球
(Water polo)
Greece (white) and Hungary (blue) play a water polo match at the World Junior Championships 2004 in Naples, Italy.
統括団体 世界水泳連盟
通称 Polo, wopo, waterfootball, poolball
Created 19世紀, Scotland, United Kingdom
特徴
身体接触 フルコンタクト
選手数 7 per side (6 field players and 1 goalkeeper)
男女混合 Separate competitions
カテゴリ 水上、チームスポーツ、ボール
競技場 Water polo pool or beach
実施状況
競技地域 Worldwide
オリンピック Part of the Summer Olympic programme since 1900; women's since 2000
ワールドゲームズ 女子: 1981
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19世紀後半にイギリスで考案され、1900年の第2回パリ大会より夏季オリンピックの種目となっている。また、1974年から1994年にかけて日本体育大学水球部が376連勝したことが知られている(スポーツ無敗記録一覧を参照)。

水球の歴史

水球の発祥

水球発祥の国はイギリスである。19世紀半ばにイングランド各地で公衆浴場(プール)が開設されると、そこを拠点とした水泳クラブがいくつも結成される。1860年以降、各クラブでは見世物として水上イベントが盛んに行われ、その中で、当時の駿馬の名前をつけた木製の頭付き樽にまたがってレースを行う「ウォーター・ダービー」などが開催され、人気を博した。フットボールも時として水中で行われたが、水中では足を使ってボールのコントロールが困難であるため、対峙する2チームは決められたポイント(主にボート)までボールをいかに運ぶかを競い合った。ボールを運ぶにあたっては、あらゆる手段が用いられ、水中での激しいボールの奪い合いが繰り広げられたようである。そしてこの水中で行うフットボールに関して、イングランドのMetropolitan Swimming Association(メトロポリタン水泳協会)が、1870年にFootball in the water(水中フットボール)の名称でルールを制定したのが水球の起源とされる。その後1888年、Amateur Swimming Association(アマチュア水泳連盟)によって、ほぼ現行と同様の水球競技規則が策定され、イングランドおよびスコットランドにおいて水球が盛んに行われるようになった。さらに1892年にはイギリスにおける統一ルールが制定され、イングランド対スコットランドの国際試合が行われるなど、競技として洗練されていく。「水球(Water Polo)」と呼ぶようになった経緯についての明確な記述はないが、当時競技に用いられたインド製のゴムボールをヒンズー語でプル (Pulu) と呼び,それが訛ってWater Poloになったとする説もある。

ヨーロッパおよびアメリカ大陸への普及

1888年、イギリスにおいて統一ルールが制定され、スポーツとして確立されたのを契機に、水球がイギリス国外へと伝播した。1888年、イングランドのクラブにおいて水球のプレイ経験をもつジョン・ロビンソン (John Robinson) がアメリカに渡り、はじめて水球を紹介している。数年遅れてロンドンで水球を学んだフリッツ・クニーゼ (Fritz Kniese) は1894年に祖国のドイツで水球を広め、1895年にはドーバー海峡を隔ててイギリスの隣国であるベルギーにも水球が紹介されている。同時期にフランスでも水球が行われるようになったが、組織化された形で発展するのは1898年になってからである。またハンガリーでは、イギリスの雑誌を見ていて水球に興味を持ったフュゼーレッシィ・アールパード (Füzéressy Árpád) が水球のルールブックとボールをハンガリーに導入し、1899年に初めハンガリーで水球の試合が行われた。この伝播は偶然に起きたのではなく、その背景には社会的あるいは地理的要因が関連し、いずれも水球発祥の地、イギリスと深いつながりを持つ人物を介して伝播して行った。しかしながら当時イギリスで行われていた水球そのものが導入されて、相似形として各国において発展していったのではない。各国の実情に合わせて、様々に形を変えながら、その土地柄に合わせて水球が根付いていったと言える。特にアメリカでは柔らかいゴムボールを用い、イギリスとは異なる独自のルールによる"Softball Water Polo"が発展した。当時、アメリカではこの水球が大変な人気を博すが、あまりにもプレーが粗暴で、試合のたびに選手に怪我人や失神者が続出したため、全米体育協会 (American Athletic Union: AAU) は1908年以降、水球競技を禁止スポーツに指定し、1920年のアントワープオリンピックまで代表チームを派遣することはなかった。

一方、フランスではベルギー国境の街で水球が盛んに行われるようになった。そして1900年のパリ万国博覧会の開催に合わせて、第2回パリオリンピックが開催され、団体種目として、そして球技として水球が初めて採用された。試合は、1900年8月11日 - 12日まで、セーヌ川の特設会場 (Basins d'Asnières Courbevoie) で行われ、マンチェスタークラブ (Manchester Osborne Club) のメンバーを代表とするイギリスが7対2でベルギーに勝利し、初代オリンピックチャンピオンの栄冠を手に入れた。

日本への普及

記録に残る日本で最も古い水球の試合は、1907(明治40)年8月5日に第二回関東連合游泳大会において東京高等師範学校(現・筑波大学)と第一高等学校(現・東京大学)が館山(千葉県)で行ったものとされる(東京高等師範学校友会誌、第14号、pp.116、1907)。1915(大正4)年には慶應義塾水泳部内にウォーター・ポロ・チームが結成され、同年8月15日には、神奈川県葉山海岸の会場に特設されたフィールドで横浜外人クラブと試合を行った。結果は、9対0の大差で慶應義塾が負けたが、これが日本国内で記録に残っている最初の国際試合となった。

1925(大正14)年には、大日本水上競技連盟の主催で10月10 - 12日の3日間に渡り「全日本選手権水上競技会」が開催され、ウォーター・ポロ競技が公式競技として初めて実施された。本大会には、慶應義塾(関東代表)、東京ウォーターポロ倶楽部(東海代表)、帝国水友会(近畿代表)の3つのチームが出場し、玉川プールで行われた。10月中旬とあって水温が低く過酷な条件での試合となったが、寒さによく耐えた東京ウォーターポロ倶楽部が優勝し、次いで慶應義塾、帝国水友会の順となった。

1932(昭和7)年6月にはロサンゼルスオリンピックに初めて日本がナショナルチームを派遣し、国際大会デビューを果たした。しかし現実は厳しく、オリンピック大会では5カ国が出場して日本は3試合を行ったが、対アメリカ合衆国戦 (0-10)、対ハンガリー戦 (0-18)、対ドイツ戦 (0-10) と惨敗し世界との差を見せ付けられた。

ビーチ水球

世界水泳連盟(World Aquatics)によって競技規則が定められ、2019年の世界水泳選手権で公開競技として実施された。

2023年に国内オリンピック委員会連合(ANOC)が主催するワールドビーチゲームズでは実施予定競技であり、世界水泳連盟が予選を実施、本戦出場国まで決まったが、ワールドビーチゲームズ大会が中止となってしまった。

2024年に世界水泳連盟主催で、World Aquatics Beach Water Polo World CupとWorld Aquatics U18 Beach Water Polo Cupが予定されている。

「ビーチ」と言うが砂浜(陸上)の競技ではなく、水深2m以上の自然の水域(海・湖)を区切ってフィールドを設定し実施する。2019世界水泳では屋外プールで実施された。屋外であるため、波・風・日射などの影響を受ける。

日本水泳連盟による国内競技規則は2024年現在未制定であり、国内で公式競技会が実施されたことも、日本代表チームを編成・派遣したこともない。

水球とビーチ水球の主な相違は次のとおり。(世界水泳連盟の競技規則より)

フィールドの広さ

水球  (ゴール間)20~30m × (幅)10~20m(男子)
    (ゴール間)20~25m × (幅)10~20m(女子)
ビーチ (ゴール間)15m × (幅)10~12.5m(男女とも)

ゴールの大きさ

水球  (幅)3m × (水面上)0.9m
ビーチ (幅)2.5m × (水面上)0.8m

人数

水球  1チーム7人(内GK1人)交代要員を含め最大13人
ビーチ 1チーム4人(内GK1人)交代要員を含め最大7人

試合時間

水球  8分 × 4ピリオド
ビーチ 5分 × 4ピリオド

  1. ^ 例えば、黒色など。






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