水球 ファール

水球

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 15:30 UTC 版)

ファール

水球のファールは「オーディナリーファール」 「パーソナルファール」 「ブルータリティ」に大別される。

オーディナリーファール

オーディナリーファールとは攻防中に起こる軽微な反則である。何度犯してもよく、競技の特性上ディフェンスのチームが侵すことが多い。

なお、下記するオーディナリーファールの中で◎の付いた項目は、自陣ペナルティーエリア内では反則とならない。

ディフェンス時における主なオーディナリーファール

  • ボールを保持していない相手競技者の自由な行動・動作を妨害したり、阻止したりする行為。
  • ボールを保持していない相手競技者を押したり、その競技者から押して離れる行為。
  • 相手競技者の上を泳ぐ行為。

とても大雑把な表現になるが、ディフェンス競技者はボールを保持している相手競技者に対し、暴力行為以外何をしてもよいということである。

上記したオーディナリーファールをディフェンスチームが起こした際、レフェリーは「ピーッ」と1回笛を吹きファールを知らせる。

オフェンスチームはその地点・もしくはその地点より自陣寄りにおいて、相手競技者に妨害されることなくボールを投げることができる。これを「フリースロー」という。

なおフリースローは、敵陣ペナルティーラインより自陣寄りでファールが発生した時、味方へのパスなどシュート以外のプレーをしない場合に限り、直接シュートしてもよい。また、敵陣オフサイドライン内でのフリースローは、オフサイドラインより自陣寄りまで戻さなくてはならない。

オフェンス時における主なオーディナリーファール

  • 相手競技者の自由な行動・動作を妨害したり、阻止する行為。
  • 相手競技者を押したり、その競技者から押して離れる行為。
  • 相手競技者の上を泳ぐ行為。
  • 攻撃開始から30秒以内にシュートできなかったとき。
  • フリースロー・ゴールスロー・コーナースローを、不当に遅らせる行為。
  • ボールを水の中に沈める、もしくはそのような行為。
  • ◎ボールを両手で持つ、もしくはそのような行為。
  • ◎ボールを握り拳で扱う、もしくはそのような行為。
  • ボールが敵陣オフサイドライン以内にある場合を除き、敵陣オフサイドライン以内にいる競技者がボールにさわる行為。
  • 得点上優位なチームが攻めることなく時間を浪費する行為。
  • フリースローを1度以上動きを止めインプレーにすることなく直接シュートをしたとき。
  • フリースローを敵陣ペナルティーライン以内において直接シュートをしたとき。
  • ボールがフィールドの外に出た時。(詳しくは下記に記載)

オフェンスチームがオーディナリーファールを起こした時、レフェリーは「ピッ、ピー」と2回笛を吹きファールを知らせる。攻撃権は相手チームへ移り、そこからフリースローとなる。

コートからボールが出た時におけるオーディナリーファール

サイドライン
ボールがサイドラインより外に落ちた(着水もしくは着地)時は、ボールをコート内に戻しそこからフリースローとなる。
空中は判定の対象とされないので、手で持ったボールがサイドラインより外に出てもインプレーとみなされる。
最後に触った競技者のチームがオーディナリーファールしたという判定なので、攻撃権が移らないときは1回、攻撃権が移るときは2回、笛を鳴らされる。
なお攻撃権が移らない場合、30秒計はリセットされない。
ゴールライン
ゴールラインはラインにボールが触れた、もしくはラインを超えた時点で判定される。
空中も判定の対象とされるので、手で持ったボールがゴールラインより外に出た時はファールとなる。
ゴールラインを超えたとき、ボールが出た状況に応じてコーナースローかゴールスローに判定されるが、どちらでも30秒計はリセットされる。
コーナースロー
  • ディフェンスチームのGKに触れ、ゴールラインをボールが超えた時。
  • ディフェンスチーム競技者が、故意にゴールラインよりボールを出した時。
レフェリーは「ピッ、ピー」と2回笛を吹きコーナースローを知らせ、サイドラインの2 mコート内からフリースローとなる。
ゴールスロー
  • オフェンスチームがゴールラインからボールを出したとき。
  • オフェンスチームのシュートをディフェンスチームGK以外の競技者に触れ、ゴールラインからボールを出したとき。
レフェリーは「ピーッ!」と1回笛を吹きゴールスローを知らせ、ゴールライン中央からフリースローとなる。

その他のオーディナリーファール

  • ピリオド開始の際、開始の合図をする前にゴールラインを越えて前進する行為。ただし、相手側競技者がセンターボールを取りにこない場合は不利益を生じさせていないのでファールにはならない。
  • ピリオド開始の際、ゴールポストやその取り付け具、プールの側面ないし端に掴まったり、それらを押して出る行為。
  • ピリオド開始時、あるいは競技中に味方競技者を援助する行為
  • ◎競技場の底に立ち競技に積極的に参加する行為(足を付きボールを扱う、タックルするために底を蹴って飛び上がるなど)。

パーソナルファール

パーソナルファールは競技進行に大きな妨げとなるファールのことをいい、判定を受けた競技者は一定時間競技に参加できない。なおパーソナルファールは、その性質により「エクスクルージョンファール」 「ペナルティーファール」に分けられる。

エクスクルージョンファール

主なエクスクルージョンファールとは、

  • ボールを保持していない相手競技者を「捕らえる」「沈める」「引き戻す」などの行為。
  • オーディナリーファール中、ディフェンス競技者がオーディナリーファールを起こす行為。
  • フリースロー、ゴールスロー、コーナースローを妨害する行為。
  • 自陣のペナルティーエリア外において、相手競技者のパス・シュートを両手でブロックする行為。(結果的にブロックできなくても、そのような行為すべて含まれる)
  • ゴールラインを触る行為。
  • 退水競技者あるいは交代競技者がフィールドに入る行為(以降この行為を「入水」と表記)が、不適当な方法である時。
  • 相手競技者を殴る・蹴るなどの動作を、意図をもってしたとき。
  • 競技中の競技者がプールから出る、プールの昇降段や側面に立つ、座るなどの行為(レフェリーの許可があった場合を除く)。

などである。

レフェリーはファールが発生した際、笛を激しく吹き鳴らし、ファール者の番号を手で知らせる。反則をとられた競技者は、速やかに自陣ベンチの「再入水ゾーン」に入らなくてはいけない。これを「退水」という。

この退水競技者は、再入水ゾーン内に目で見えるように浮上し、

  • ファールを起こして正味20秒が経過する。
  • 退水側のチームが攻撃権を獲得する。

のいずれかがおこり、セクレタリーまたはレフェリーからの合図があった時、入水できる。

また、相手チームが得点した際は、セクレタリーまたはレフェリーからの合図なく入水できる。

同一競技者が1試合中パーソナルファールを3回すると「試合時間中退水」となる。「試合時間中退水」は、通常「永久退水」や略して「永退」と呼ばれるため、以降「永退」と表記する。

また、エクスクルージョンファールの中には、即永退となる極めて重いものもある。このジャッジをされた競技者はパーソナルファールの累積にかかわらず、その試合に出場することはできない。チームは「再入水ゾーン」に交代競技者を待機させ、レフェリーの指示もしくは得点後入水できる。

  • 容認できない言葉を発すること。
  • 乱暴なプレー、ファールに固執すること。
  • レフェリーまたはオフィシャルに対して服従を拒んだり、無礼な態度をとること。
  • 競技中、関係ない競技者がコートに入る行為。

上記のファールが発生した際、レフェリーは笛を激しく吹き鳴らし、ファール者の番号を手で知らせる。その後両手を頭の上で回し、競技者の交代を指示する。

ペナルティーファール

ペナルティーファールは、その反則がなければ得点がされたと予想されるファールが起きた際に判定される。レフェリーは「ピッピーッ」と2回笛を吹き、5本指を開きファールを知らせる。

  • 自陣のペナルティーライン以内において、相手の得点となりそうな攻撃を反則によって阻止する行為。
  • 自陣のペナルティーライン以内において、相手競技者のパス・シュートを両手でブロックする行為(結果的にブロックできなくても、そのような行為すべて含まれる)。
  • 退水競技者が故意に競技を妨害すること。
  • ゴールを沈めて、相手のシュートを防ぐ行為。
  • ボールを保有していないチームの監督がタイム・アウトを要求したり、チーム役員が得点を防ぐ目的の行為をした場合。
  • ボールを保有していないチームの退水競技者が、不正な入水をする行為(不正な入水をしたプレーヤーは再度退水させられ、相手側にペナルティースローが与えられる) 。

ペナルティーファール判定を受けた競技者は退水にはならないが、パーソナルファールが記録される。また、ペナルティーファールを誘発したチームには「ペナルティースロー」が与えられる。ペナルティースローとは、チームの誰か1人の競技者がゴールから5mの位置でボールを保持し、レフェリーの合図により動きを止めることなくシュートをすることである。その際、GKはゴールライン上の位置でそのシュートを阻止してもよい(前に出てきてはならない)。

  • 防御側GKがゴールライン上に正しく位置するようレフェリーに命ぜられても従わない時、GKのエクスクルージョンファールとなる。
  • ペナルティースローを規定された以外の方法で行うと、オフェンスのオーディナリーファールがとられる。
  • ペナルティースローの妨害をするとその選手は、即「永退」となる。

次の場合は、反則競技者は「永退」となり、その上相手チームにペナルティースローが与えられる。

  • 退水競技者あるいは交代競技者が、試合の最後1分以内、あるいは延長戦の2Pの最後の1分以内において不正に入水する行為。
  • 競技に参加することのできない競技者または交代競技者が入水する行為。
  • GKあるいはその他の防御側競技者が、得点を妨げる目的でゴールを沈めたら動かしたりする行為。

特別な状況においてのパーソナルファール

上記したルールは2006年9月15日(日本国内は2006年4月1日)より改正された新ルールであるが、それ以前はルールの盲点をついて試合を有利にする不正が行われていた。そのような不正行為を排除するための特別ルールがある。

  • 試合終了1分以下において、ペナルティースローが与えられた場合、ペナルティースローを与えられたチームの監督はフリースローからボールを30秒保持する権利を選択できる。
この場合その監督は30秒の保持権を選択することを直ちにレフェリーに伝えなければならない。タイムキーパーは30秒計をリセットする。

文章にすると解かりづらいが、なぜこのようなルールができたかをまとめてみる。

<旧ルール>

  1. 試合時間残り1分で1点負けているチームが、故意に不正なタイムアウトを取得する。
  2. ルール上、オフェンスチームのペナルティースロー。
  3. そのペナルティースローを止め、攻撃権を取得。
  4. その攻撃権を生かして得点し、同点となる。(残り時間が1分あるため、得点のチャンスが生まれる)

<新ルール>

  1. 試合時間残り1分で1点負けているチームが、故意に不正なタイムアウトを取得する。
  2. オフェンスチームは、新ルールを利用し、ペナルティースローか30秒計をリセットしてフリースローで再開するかを選択できる。
  3. フリースローを選択すれば、仮に攻撃が失敗しても攻撃に要した時間だけ残り時間が減っているため、同点となるチャンスが少なくなる。

ブルータリティ

悪意を持ち、殴る・蹴るなど野蛮な行為を犯す反則で、相手競技者のみだけでなく、レフェリー・オフィシャルなどに対し行われたときもブルータリティとなる。ファールを起こした際、レフェリーは笛を激しく吹き鳴らし、ファール者の番号を手で知らせる。そのあと頭の上で腕をクロスし、ブルータリティであることを伝える。ブルータリティも即「永退」であり、パーソナルファールの累積にかかわらずその試合に出場することはできない。

なお、競技は次のステップで進められる。

  1. この判定をうけた競技者は、即「永退」となる。
  2. また、ファール発生より4分間は競技者の交代は認められないため、競技は1人少ない状態で進められる。
  3. 4分が経過した時、オフィシャルの合図(黄色の旗)により交代競技者は入水できる。

なお競技中断中や、水中にいない競技者がブルータリティを犯した場合も適用される。


  1. ^ 例えば、黒色など。






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