日本テレビ放送網麹町分室 概要

日本テレビ放送網麹町分室

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 00:52 UTC 版)

概要

1953年(昭和28年)8月28日、当地において日本で最初の民間放送によるテレビジョン放送を開始した。正面には、開局当初から1980年まで当地に建っていた電波塔1970年の東京タワーへの移設後も予備送信所として運用していた)のスーパーターンスタイルアンテナが南本館の入口にモニュメントとして飾られている。

北本館屋上鉄塔に設置されているお天気カメラは、汐留移転後の現在でも引き続き設置され(汐留移転と同時にハイビジョンカメラに改修)、都庁を始めとする新宿高層ビル群の眺望が特徴である。かつて当カメラの映像はスカイパーフェクTV!で放送を行っていた「CS★日テレ」で、CM時の差し替えとして使用されていたが、地上波での生放送ではそれ以来あまり使われる事はなくなった(都心の映像は、汐留や渋谷からのものが頻繁に使用されている)。

南本館地下には「再生真水プラント」が設けられ、同館建設時に館内の飲料用排水(飲料用の水道水として使用され、排出された水)を集め、殺菌・消毒の処理を行った上で真水化し、再び飲料水として使用するものである。これによって、館内での飲料水は飲みやすくおいしいと言われており、社員・関係者・タレントからも大変好評であった。また、これに伴い館内での排水処理は厳しく制限されており、一般水道用の流し台や排水路へは「薬品・洗剤類など」の排水が禁止されている他、トイレ用の水や美術用の水(非飲料水)とは配管(給排水経路)が厳密に分けられていた。

先に触れた「麹町分室周辺の別館群」のうち、四番町別館は麹町分室が本社であった時代は1階に中継車専用の車庫が置かれ、中継機材基地としても使われていた他、建物内には喫茶室「トレビの泉」や小規模番組収録用スタジオであった「Lスタジオ[11]などが併設されていた。

南本館は、東京メトロ有楽町線麹町駅6番出入口に直結しており、マイスタジオ前に出入口階段が、そこを下った地下の駅構内に南本館への入口があった。

『麹町分室』での番組制作は、収録番組と生放送番組で扱いが異なる。収録番組については各スタジオの副調整室に設置されていた収録機材を用いて収録し、編集所での編集を経て放送されていた(一般的な外部スタジオでの収録形態とほぼ同じ)。また生放送番組については、汐留本社・麹町分室間に映像の伝送を行うための光ファイバーは敷設されていたものの、麹町分室の各副調整室と汐留本社の主調整室とが直接接続されていなかったため、生放送で必要となるCMなどの各種制御信号のやりとりが出来なかったことから、汐留本社に麹町分室からの映像を受けるための副調整室(受けサブ)を用意する必要があった[12]。このため、麹町分室のスタジオを使用した生放送はあまり多くなかった。ちなみに、BS日本とCS日本の本社・送出マスターが麹町分室にあった頃は逆に『日本テレビタワー』で制作したBS・CSの番組を『麹町分室』に光ファイバー伝送して、それぞれのマスターを経由して放送されていた。

なお、『テレビ放送開始65周年 NHK×日テレ コラボデー』は、NHKと日本テレビが麹町分室のGスタジオにセットを並べて生放送番組を制作したため、日本テレビは上述の光ファイバー回線で、NHKは麴町分室に自社の中継車を派遣して各々の受けサブ(日本テレビ汐留本社とNHK放送センター)と接続していた。

また敷地内の北本館裏側に在った日本庭園では、V9時代の読売ジャイアンツ後楽園球場セントラル・リーグ優勝及び日本シリーズ優勝を達成した際に優勝祝賀会を開催していたこともあった。


  1. ^ 大林組百年史/この時代の工事 昭和58年~昭和61年ころ - 大林組公式ウェブサイト、2014年10月4日閲覧。
  2. ^ 登記上の商号は「にっぽん」だが、通常はコールネームに合わせて「にほん」と呼称される。
  3. ^ 日本テレビサービス会社概要 ※所在地について「東京都千代田区二番町14 日本テレビ麹町ビル南館10F」と記述。
  4. ^ インフォメーション・ディベロプメントのサイト内アクセスマップ ※同社システムサービスセンターの所在地について「東京都千代田区二番町 14番地 日本テレビ麹町ビル 西館」と記述。
  5. ^ アクセス - 日本テレビ麹町診療所ウェブサイト内 ※所在地について「東京都千代田区二番町14 日テレ麹町ビル南館1階」と記述。
  6. ^ 但し、放送の一部〈24時間テレビのチャレンジ企画など〉で使用の際に麹町と付加される事がある。
  7. ^ 生放送でも使用可能なため、本社の汐留移転後も生番組の制作が同所で幾度となく行われていたが、年月を経て同所での生放送番組収録は少なくなり、スタジオ運用を調整しつつ汐留本社のスタジオになるべく生番組を集約させる方向に進んでいた。
  8. ^ 日本テレビグループを統括する持株会社。2012年10月、従来の日本テレビ放送網(1952年10月28日設立)が新旧分割に伴い、社名・業態変更を行ったもの。
  9. ^ “ラジオ日本、東京・麹町に東京支社”. 毎日新聞 DIGITALトゥデイ. (2003年2月28日). オリジナルの2003年3月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20030303092637/http://www.mainichi.co.jp/digital/network/archive/200302/28/9.html 
  10. ^ 他に都営バスの橋63系統でも結ばれていた。なお、日テレ麹町ビルの最寄りバス停は「番町」、日テレタワーの最寄りバス停は「新橋駅前」である。
  11. ^ 当初は別の用途であった場所を改装してミニスタジオと副調整室が置かれた。当初はミニ番組や外部向け番組(日本テレビエンタープライズなどが関わった主にVPや外注番組など)の収録用として使用されていたが、日本テレビの平日編成が生番組主体へと変化していく中、スタジオ数が逼迫してきた事から『峰竜太のホンの昼メシ前』など午前10時台の生番組用スタジオとなった他、『進め!電波少年』『クチュリエで道楽』など日本テレビの番組収録主体へと運用形態が変化していった。
  12. ^ 日本テレビにおいては、生田スタジオから生放送する場合も、麹町分室と同じく汐留本社側にも受けサブを用意する必要があった。
  13. ^ 初代Gスタジオでの番組(24時間テレビ・第1回)の様子は、横浜市中区にある放送ライブラリーで視聴する事ができる。
  14. ^ a b 通常は後楽園ホールで収録されているが、一部放送回(主に『24時間テレビ』チャリティーSP等の生放送時や正月特番収録時)で使用。
  15. ^ 途中からカラーセンター内のHスタジオ→Jスタジオを使用していたが、『ドキュメント女ののど自慢』を行う水曜日のみ引き続きKスタジオを使用した。
  16. ^ この場やマイスタ前の歩道・駐車場で番組のロケや生中継も多く行われた。「ズームイン!!朝!」→「ズームイン!!SUPER」、「ジパングあさ6」、「ズームイン!!サタデー」のオープニング・エンディング、「NNNニュースプラス1」の木原実の気象予報コーナー、『進め!電波少年』のアポなしロケ「ユン・ピョウは本当に強いのか体を張って確かめたい」、「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」の新ロケコーナー開始時の企画説明時などで確認できる。
  17. ^ 番組自体は同年10月13日から1986年9月17日まで放送された。
  18. ^ a b c 流智美「プロレス史あの日、あの時<299> 1968年11月22日「大学紛争の影響でテレビ生中継がスタジオ収録!!」」『週刊プロレス』第1932号、ベースボール・マガジン社、2017年12月6日、48頁。 
  19. ^ 共同通信社 (2009年12月16日). “日テレ、都内で土地取得へ 再開発検討、231億円で”. 47NEWS. https://web.archive.org/web/20130629232730/http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121601000941.html 2012年9月14日閲覧。 
  20. ^ 日本テレビとしては、創業の地であるこの場所(千代田区二番町)への思い入れは強いと言われており、汐留への本社移転が決定するまではこの場所での本社建て替えも念頭に置いていたと言われている事から、日本テレビの本社機能を改めてこの地に戻すのではないかという推測・観測もある。
  21. ^ 日本テレビHD IR情報(2013年8月28日付)
  22. ^ (仮称)麹町新スタジオ棟建設プロジェクト 速報!今日の現場ニュース 2015年5月14日
  23. ^ C1-C3の各副調整室(エレベーターホールには「サブコン」と表記。C4スタジオには副調整室未設置)は、汐留本社の主調整室と(番町スタジオ内の回線室を経由して)接続されている。このため麹町分室時代とは異なり、汐留本社に受けサブを用意せず、番町スタジオの設備のみで生放送番組の制作が可能となった。
  24. ^ [日テレアップDate! (2018年9月30日放送回) の番組概要ページ - gooテレビ番組(関東版)]”. goo (2018年9月30日). 2018年9月30日閲覧。
  25. ^ a b 浅井秀樹 (2023年3月28日). “江戸時代の武家地・番町で“セレブの乱” 日テレ旧本社跡地の再開発で火花”. 週刊朝日. AERA dot. (アエラドット). 2023年3月31日閲覧。
  26. ^ a b 本間ほのみ、石平道典 (2023年3月30日). “東京のお屋敷街に高層ビル 日テレが計画、女子学院「企業は責任を」”. 朝日新聞. 2023年3月31日閲覧。
  27. ^ a b 本間ほのみ、石平道典 (2023年3月31日). “日テレ高層ビル計画、千代田区の審議会で採決見送り 東京の番町地区”. 朝日新聞. 2023年3月31日閲覧。






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