建設発生土
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/01 06:13 UTC 版)
概要
建設発生土は字義通り、建設作業において基礎工事など全工程の比較的初期の段階で多く発生する、その計画における建設現場では使用用途がない土のことである。
上位概念である「建設副産物」には、コンクリート塊やアスファルト・コンクリート塊、建設汚泥、建設発生木材などの産業廃棄物、油などの特別管理産業廃棄物、除草で出る刈草などの一般廃棄物、そして廃棄物が分別されていない建設混合廃棄物などが廃棄物処理法や国土交通省によって分類定義されているが、建設発生土は廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しない。しかし、産業廃棄物に該当するものが混入している場合は、それを取り除かなければ産業廃棄物に該当する。
発生
土木工事や建築工事により構造物を造る場合、大抵の場合その工事の当初に地面を掘削することになる。そして構造物を造った後に土で埋め戻しを行う。この際、構造物を造ったために、埋め戻しをしても余剰の土砂が出ることになる。これが建設発生土である。
かつては敷地内で掘削した土砂は場外(当該敷地外)処分とし、次いで埋め戻しに用いる土として新規購入した山砂などを充てていた。土砂の搬出処分と新規購入の二重の経費を掛けていたことになる。このため、結果的には建設工事による余剰発生土が定量的に新規需要の量を上回り、埋立など他での需要に利用されたが、一方では新たな土砂が不足し、過剰な掘削による景観破壊やコンクリートへの海砂混入などが問題となってきた。近年では限りある資源としての土を有効に利用するために、現場で掘削した土砂をいったん場内または場外で保管し、改めてこれを埋め戻し再利用して余剰分だけを場外処分とするようになった。
分別
工事の現場で余剰になった土砂に混入物が混じってしまう場合があるが、この状態のままでは産業廃棄物混じりの土砂となり利用価値がない。例えば、山などを宅地造成した現場で伐木した木の根が土砂に混じっている状態、既設の構造物を撤去する過程でコンクリート殻や砕石が混入した場合などである。これらは分別し、個々の処分を行っている処理場へ搬出しなければならず、これを取り除いてはじめて建設発生土として有効利用することができるようになる。
- 第1種建設発生土(砂、礫及びこれらに準ずるもの)
- コーン指数 -
- 『礫質土[礫(G)、砂礫(GS)]』
- 『砂質土[砂(S)、礫質砂(SG)]』
- 『第1種改良土[人工材料[改良土(I)]』
- 注:同等の品質が確保できているもの。
- 第2種建設発生土(砂質土、礫質土及びこれらに準ずるもの)
- コーン指数 800以上
- 『礫質土[細粒分まじり礫(GF)]』
- 『砂質土[細粒分まじり砂(SF)]』
- 『第2種改良土[人工材料[改良土(I)]』
- 注:砂同等の品質が確保できているもの。
- 第3種建設発生土(通常の施工性が確保される粘性土及びこれに準ずるもの)
- コーン指数 400以上
- 『砂質土[細粒分まじり砂(SF)]』
- 『粘性土[シルト(M)、粘土(C)]』
- 『火山灰質粘性土[火山灰質粘性土(V)]』
- 『第3種改良土[人工材料[改良土(I)]』
- 注:砂同等の品質が確保できているもの。
- 注:含水比40%程度以下
- 第4種建設発生土(粘性土及びこれに準ずるもの(第3種建設発生土を除く))
- コーン指数 200以上
- 『砂質土[細粒分まじり砂(SF)]』
- 『粘性土[シルト(M)、粘土(C)]』
- 『火山灰質粘性土[火山灰質粘性土(V)]』
- 『有機質土[有機質土(O)]』
- 『第4種改良土[人工材料[改良土(I)]』注:砂同等の品質が確保できているもの。
- 注:含水比40 - 80%程度
- 泥土
- コーン指数 200未満
- 『砂質土[細粒分まじり砂(SF)]』
- 『粘性土[シルト(M)、粘土(C)]』
- 『火山灰質粘性土[火山灰質粘性土(V)]』
- 『有機質土[有機質土(O)]』
- 『高有機質土[高有機質土(Pt)]』
- 注:含水比80%以上
- ^ 発生土利用基準について(PDF) 国土交通省
- ^ 首都圏発生 建設残土が船で三重へ 事実上の「投棄」 毎日新聞 2018年11月16日
- ^ 自治体アンケ 残土「法規制必要」41% 「不要」の倍 毎日新聞 2018年10月21日
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