化学品の分類および表示に関する世界調和システム 歴史

化学品の分類および表示に関する世界調和システム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/11 17:38 UTC 版)

歴史

GHS策定の作業は化学物質の分類とラベルと安全データシート(SDS; GHS導入以前はMSDSと呼ばれた)を処理する国際的な調和システムが必要であるとの前提ではじまったが、この考え方は全く新しいものであるというわけではない。というのは、すでに輸送部門では物理危険と急性毒性については大部分実現しているからである。日本を除く主要国では、海上輸送、道路輸送、航空輸送、鉄道輸送の各輸送モードはすべて国際連合危険物輸送勧告に準拠して各国法を定め運用しており、日本においても陸上の輸送を除いて全てそれに準拠している。そこでは原則共通の分類基準に基づいて分類され、危険物がリスト化され、そのリスト又は基準に則った荷送人自身による分類(自主的な分類)に基づいて表示、輸送取扱い方法、及び、緊急時の対応が調和して策定されている。そこでこの経験をモデルにして、輸送取扱ばかりでなく、労働現場での取扱、消費者の取扱についても調和した方法を目指したのがGHSである。

したがって、GHSは「国連経済社会理事会の危険物輸送と化学品の分類と表示の国際調和システムに関する専門家委員会」(UNCETDG/GHS)で国連危険物輸送規則と伴に取り扱われており、輸送規則とGHSの間の整合性についての議論もなされている。

持続可能な開発に関する世界首脳サミットは2002年9月4日にヨハネスブルグで採択した行動計画23(c)において、2008年までにGHSという新しいシステムを完全に実施することを目指して、各国ができる限り早期にGHS を実施するよう奨励した。後に2003年7月25日の2003/64および2005年7月27日の決議2005/5において、国連経済社会理事会はまだ実施していない政府に対し、WSSDの実施計画にあるようにGHSを実施するために、行政手続きや法令を整備すること等により、必要な手段を講じるよう促した。国連経済社会理事会はまた、地域共同体、国連計画、特定の官庁やGHSを推進するその他の関係組織に対し、GHSを効果的にするために輸送安全、労働安全、消費者保護や環境保護に関する国際関連法令を修正することを求めた[注釈 1]

2003年に最初のバージョンが出され、それ以後、2005年に改訂1版、2007年に改訂2版、2009年に改訂3版、2011年に改訂4版と2年おきに改訂されている。2019年現在最新版は改訂7版である。


注釈

  1. ^ GHS序文から。

出典

  1. ^ GHS第4版 GHS関係省庁連絡会議翻訳 1.1.3.1.1
  2. ^ 化管法SDS制度(METI/経済産業省)”. www.meti.go.jp. 2018年8月2日閲覧。
  3. ^ 経済産業省 「政府向けGHS分類ガイダンス(平成22年度改定版)」
  4. ^ 国際連合 著、関係省庁連絡会議 訳『化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)』(PDF)(第6版)国際連合、2015年、41-110頁https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/ghs_text.html 
  5. ^ a b GHS関係省庁連絡会議3版の翻訳では explosivesの訳語として「火薬類」が当てられていたが、GHS4版では爆発物に改められた。
  6. ^ 国際連合 著、関係省庁連絡会議 訳『化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)』(PDF)(第6版)国際連合、2015年、111-214頁https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/ghs_text.html 
  7. ^ 環境省 保健・化学物質対策 - GHS 「GHSって何?」 閲覧2012-9-10
  8. ^ 経済産業省・化学物質管理 「第3.1章 急性毒性」 閲覧2012-9-10
  9. ^ 国際連合 著、関係省庁連絡会議 訳『化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)』(PDF)(第6版)国際連合、2015年、215-242頁https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/ghs_text.html 
  10. ^ 環境省 保健・化学物質対策 - GHS 「パンフレット」 閲覧2012-9-10





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