久坂玄瑞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 06:14 UTC 版)
子孫
久坂玄瑞と妻の文との間に子はいない。そのため、小田村伊之助と先妻の寿(文の姉)との間の次男・粂次郎を養子とし、玄瑞の死後は粂次郎が久坂家を継いだ。しかし、玄瑞は京都で芸妓(辰路)との間に子をもうけており、玄瑞の死後に生まれていた。明治維新後に申し出があって認知され、この遺児・秀次郎が久坂家を継ぎ、大倉組の台湾基隆支社で勤務した。一方、粂次郎は実父の小田村伊之助改め楫取素彦のもとに戻り、楫取道明を名乗った。のちに道明は台湾で芝山巌事件に遭って殺害され、「六氏先生」の一人として祀られている。なお、道明の生母・寿の死後に素彦は文改め美和子と再婚している。
肖像画
今日よく知られる久坂玄瑞の肖像画は、上述の遺児・久坂秀次郎をモデルに描かれている。この肖像画は、福本義亮編『松下村塾の偉人 久坂玄瑞』(誠文堂、1934年。マツノ書店復刻、1978年)の口絵に掲載された。出典は『日本百傑伝』とするが確認できず、原図も不明である。福本は秀次郎を経済的に援助し、久坂家関係資料を譲り受けたとされ、なんらかの事情があるとも推察される。しかし、松下村塾最後の生き残りだった渡辺蒿蔵に真偽を確かめると、玄瑞ではないと断定したという。一方、渡辺は先述の福本の著書に題言を載せている。このように成立背景は不透明であるものの、久坂玄瑞の容貌を伝える唯一の肖像画であることに変わりはない[45]。
脚注
参考文献
- 古川薫『花冠の志士―久坂玄瑞伝』文藝春秋、1979年。文春文庫、新版・2014年
- 古川薫『吉田松陰とその門下』PHP文庫、1988年
- 立石優『久坂玄瑞』PHP文庫、2015年
- 長文連『奇兵隊 死士・久坂玄瑞』三一新書、1965年
- 武田勘治『久坂玄瑞』マツノ書店・復刻、1998年
- 池田諭『高杉晋作と久坂玄瑞―変革期の青年像』大和書房、初版1966年、新版2015年ほか
- 和田健爾『久坂玄瑞の精神』京文社、1943年
- 飛鳥井雅道『坂本龍馬』講談社学術文庫、2002年
- 市井三郎『思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学』講談社学術文庫、2004年。元版は講談社現代新書
- 田郷虎雄『久坂玄瑞の妻』新版・中経出版、河出文庫、各・2014年。元版は1943年
- 小川煙村『勤王芸者』マツノ書店・復刻、1996年
- 『図解 幕末・維新』新星出版社、2009年
関連文献
- 林田愼之助、亀田一邦『日本の思想家50 高杉晋作 久坂玄瑞』明徳出版社、2012年
- 林田愼之助、亀田一邦『久坂玄瑞全訳詩集 久坂天籟詩文稿併録』明徳出版社、2019年
- 一坂太郎 『久坂玄瑞 志気凡ならず、何卒大成致せかし』 ミネルヴァ書房<ミネルヴァ日本評伝選>、2019年
- 『久坂玄瑞全集』全1巻、マツノ書店・復刻、1978年、再版1992年
- 妻木忠太編『久坂玄瑞文書』復刻・1983年
- 『吉田松陰全集』全10巻・別巻、山口県教育会編。元版・岩波書店、復刻・大和書房。新版・マツノ書店
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- ^ 『花冠の志士-久坂玄瑞伝-』 p.5
- ^ 武田『久坂玄瑞』 p.14
- ^ 武田『久坂玄瑞』 p.17
- ^ 『花冠の志士-久坂玄瑞伝-』 p.16
- ^ 立石『久坂玄瑞』 p.44
- ^ 立石『久坂玄瑞』 p.46
- ^ 武田『久坂玄瑞』 p.30
- ^ 武田『久坂玄瑞』 p.32
- ^ 武田『久坂玄瑞』 pp.33-35
- ^ 武田『久坂玄瑞』 p.35
- ^ 武田『久坂玄瑞』 pp.37-38
- ^ 『花冠の志士-久坂玄瑞伝-』 pp.36-37
- ^ 立石『久坂玄瑞』 pp.76-77
- ^ 武田『久坂玄瑞』 pp.46-47
- ^ 武田『久坂玄瑞』 pp.163-175
- ^ 武田『久坂玄瑞』 pp.196-199
- ^ 『思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学』 p.165
- ^ 『日本の思想家50 高杉晋作 久坂玄瑞』 pp.237-244
- ^ 『思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学』 pp.165-171
- ^ 『思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学』 pp.166-167
- ^ 『花冠の志士-久坂玄瑞伝-』 pp.168-169
- ^ 『思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学』 p.170
- ^ 長文連『奇兵隊』 p.56
- ^ 長文連『奇兵隊』 pp.15-16
- ^ 長文連『奇兵隊』 pp.83-84
- ^ 長文連『奇兵隊』 p.110
- ^ 長文連『奇兵隊』 p.91
- ^ 長文連『奇兵隊』 pp.85-88,102-104
- ^ 『思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学』 p.175
- ^ 武田『久坂玄瑞』 p.328
- ^ 『思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学』 p.176
- ^ 「文妹の久坂氏へ嫁ぐに贈る言」安政4年(1857年)12月5日
- ^ 『松陰とその門下』
- ^ 「久坂玄瑞の壮行を祝して」安政5年(1858年)2月
- ^ 「高杉晋作の上京にあたっての壮行の辞」安政5年(1858年)7月
- ^ 「久坂實甫遺稿」
- ^ 頭山満『英雄を語る』時代社、1942年
- ^ 「明治維新後、木戸孝允に対して」
- ^ 頭山満『英雄を語る』
- ^ 「時勢論」
- ^ 『吉田松陰全集 第12巻』マツノ書店版
- ^ a b 『勤王芸者 維新情史』
- ^ 飛鳥井『坂本龍馬』 140-141ページ、147-148ページ
- ^ 『幕末・維新』 105ページ
- ^ 『山口県立山口博物館研究報告 第43号』 2017年3月30日、p.52。
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