メカゴジラの逆襲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 17:15 UTC 版)
スタッフ
- 製作:田中友幸
- 脚本:高山由紀子
- 音楽:伊福部昭
- 撮影:富岡素敬
- 美術:本多好文
- 録音:矢野口文雄
- 照明:高島利雄
- 編集:黒岩義民
- 監督助手:山下賢章、浅田英一[107]
- 協力製作:所健二
- 製作担当者:篠田啓助
- スチール:田中一清
- 整音:東宝録音センター
- 効果:東宝効果集団
- 現像:東京現像所
- 特殊技術
- 特技監督[11][注釈 23]:中野昭慶
- 監督:本多猪四郎
- 製作:東宝映像株式会社
- 配給:東宝株式会社
製作
主役であるゴジラの活躍シーンよりも、敵役であるメカゴジラ2とチタノザウルスが街を襲撃するシーンなどが目立っており、ゴジラは若干影が薄い存在となっている[18][27]。これらは当時、怪獣映画が斜陽期に差しかかっていたことを象徴している[注釈 24]。本作品が公開された1975年は洋画が邦画を興行収入で超えた年であり[54]、怪獣ブームも海外のSF映画の影響によって下火になり始める。一方、本作品では田中友幸が観客動員を増やそうと、大人向きに「初期のゴジラシリーズの雰囲気」を再度描くことを試みた[54]。そのため、リアリティを追求する本多が監督に復帰しており、サイボーグ少女・桂の人間としての感情と冷たい機械の挟間での葛藤が盛り込まれるなど、全体的に重い人間ドラマの部分を強調した作劇がなされた[出典 40][注釈 25]。特技監督の中野昭慶は、シリアスなSF映画としてのゴジラという点は、後の平成ゴジラシリーズの原型であったと評している[124]。
本多による特撮映画の監督は、『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』以来5年ぶりである[125][64][注釈 26]。中野によれば、当初は本多が監督する予定ではなかったが、原点回帰のために彼が起用されたという[101]。本多は本作品を最後に映画監督を引退し[16]、その後はゴルフ場にて再会した黒澤明の勧めで『影武者』以降の黒澤映画の演出補佐として、活躍の舞台を移すことになる。資料によっては、本作品を本多の遺作としている[出典 42]。本作品で初めて本多と組んだ特技監督の中野昭慶は、カメラアングルに細心の注意を払うなどかなり気を遣ったといい[128]、助監督の浅田英一は、スタッフの間には往年の本多作品のような重厚なゴジラ映画を作ろうという意識があったと証言している[107]。
脚本はシナリオ学校の学生を対象としたコンペによって高山由紀子のものが選ばれ[出典 43][注釈 27]、本作品はシリーズで初めて主要スタッフに女性が加わる作品となった[93][24][注釈 28]。高山によれば、コンペの時点でタイトルは決定していたという[93]。高山は、初期のゴジラをイメージしており、子供向けであることは意識していなかったと述べている[93]。高山が本作品の執筆にあたって参考としたのは、第1作『ゴジラ』のみであったという[47][131]。
本編班と特撮班に分けずに一班体制での制作が行われ、円谷組の特撮カメラマンだった富岡素敬が本編のカメラマンを兼任している。特撮面では、予算不足から前作ではほとんど描かれなかった都市破壊シーンが復活し[132][注釈 29]、本多の監督した巨大怪獣映画では恒例とされる群衆の避難シーンも描写された[出典 44]。特殊効果助手の関山和昭によれば、通常はビルの爆破シーンには石膏製のミニチュアを用いるが、本作品では数を稼ぐため半数近くが木製であるという[107]。
自衛隊の出動や怪獣との交戦シーンも復活したが、メーサー光線車などのいわゆる「超兵器」の類はほとんど登場しない。架空の兵器としては対チタノザウルス用の超音波発信器が登場するが、その搭載先は深海探査艇やヘリコプターなど、実在する機体またはそれをモデルとした機材となっている。
キャスティングでは、前作に引き続き平田昭彦が出演しているが、前作の宮島博士や第1作『ゴジラ』の芹沢博士とは対極に位置するマッドサイエンティスト的な役柄となっている[出典 45]。平田は公開当時47歳であったが、回想シーン以外では実年齢以上に老けたメイクを施している。娘役で共演した藍とも子によれば、役作り上笑えなかった彼女を気遣ってか「メイクが崩れるために自分も笑えない」と、冗談めかして話していたという[出典 46]。そのほかにも、前作から続投している俳優が多いが、いずれも別人の役である[32]。
劇中音楽は、第1作ほか数多くのゴジラシリーズ作品を担当した伊福部昭が担当し[出典 47]、第1作『ゴジラ』のメインタイトルに使用されたメロディが、編曲・再録音を経て本作品で再びゴジラのテーマ曲として使われている[出典 48]。これについて伊福部のファンサービスであると評する向きもあるが[135]、協力製作の所健二によれば、伊福部は過去の曲を流用することについて「手抜きをしたように思われる」として難色を示し、説得に苦慮したという[130]。
映像ソフト
- VHS 品番 TG1155[1]、TG4358[136][127]
- LD TLL2089[1]、TLL2229[127]
- DVDは前作『ゴジラ対メカゴジラ』とともに、『ゴジラ×メカゴジラ』の公開時期に合わせて2002年11月21日に発売された。字幕表示では、オリジナルの表現に含まれる差別用語の部分を使わないよう配慮され、真船博士の「私をキチガイ扱い……」という台詞が「私のことを信じず……」に変えられている。
- 2008年3月28日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIII」に収録されており、単品版も同時発売された。
- 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
- 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念」として期間限定の廉価版が発売された。
- 2016年6月15日、東宝DVD名作セレクション版発売。
- BDは2014年7月16日に発売された。
注釈
- ^ 資料によっては、「87分」と記述している[28]。
- ^ タイトルに「ゴジラ」の3文字こそ入っているものの、ゴジラ自身のことではない。
- ^ 資料によっては、メカゴジラのキャラクターがゴジラを超えてしまっていたと評している[33][45]。
- ^ ただし、特技監督の中野昭慶は制作段階で終了は決定していたとも証言しており、「怖いゴジラ」への回帰やラストシーンの夕日は終了を意識したものであったという[49]。
- ^ 書籍『Japan's Favorite Mon-Star: The Unauthorized Biography of "the Big G"』では、1978年夏に劇場公開が始まり、同年秋にテレビ放送が行われたと記述している[53]
- ^ 書籍『ゴジラ1954-1999超全集』では、劇場公開名からテレビ放映時に改題されたと記述している[4]。
- ^ 書籍『ゴジラ大百科』では、電子物理学にも通じた生物学者としている[60]。
- ^ 書籍『ゴジラ来襲』では、「芹沢博士のネガ」と評している[8]。
- ^ a b 資料によっては、村越次郎と表記している[68][69]。
- ^ 書籍『ゴジラ大百科』では、「病魔に冒されたミュータント」と記述している[77]。
- ^ その際、天城の基地を捨てて真船邸に拠点を移す。
- ^ このプロップは、2014年時点で2丁の現存が確認されている[87]。
- ^ 資料によっては、超音波発信装置と記述している[110]。
- ^ 資料によっては、「インターポールが開発した[108]」「恐龍対策本部が開発した[61]」と記述している。
- ^ 書籍『ゴジラ大百科』では、名称をムガール円盤と記述している[77]。
- ^ ミニチュアは、『日本沈没』で使用されたものをリペイントしている[64][107]。
- ^ 資料によっては、真船信三博士と表記している[40][14]。
- ^ 書籍『ゴジラ東宝チャンピオンまつりパーフェクション』では、あかつき1号乗員と記述している[14]。
- ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』では、あかつき技術者と記述している[40]。
- ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』ではあかつき技術者[40]、書籍『ゴジラ東宝チャンピオンまつりパーフェクション』では海洋開発研究所所員[14]と記述している。。
- ^ 書籍『ゴジラ東宝チャンピオンまつりパーフェクション』では、あかつき2号乗員と記述している[14]。
- ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』では、柱を撃つ防衛隊員と記述している[40]。
- ^ 当時のポスターでは「特撮監督」と表記。
- ^ 書籍『大ゴジラ図鑑』では、高度経済成長期が終わりを迎え、文明懐疑の象徴である怪獣は破壊の対象がなくなり、居場所を失っていったと評している[2]。
- ^ 書籍『ゴジラ大全集』では、物語がメカゴジラと桂に分断されたと評している[46]。
- ^ ゴジラ映画としては、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』以来6年ぶりである[出典 41]。
- ^ コンペは、協力製作の所健二とシナリオ・センター設立者の新井一が東京映画時代に知り合っていたことから、同センターで募集が行われた[130]。中野は、前作と同じテイストで制作するのは難しいだろうと考え、新しい人材を起用することを提案したという[124]。
- ^ 当時の女性脚本家は、ホームドラマを手掛けることが多かった[93]。
- ^ 脚本準備稿ではクライマックスの対決で東京が破壊される描写が存在したが、本編では予算や時間の都合から造成地での戦いとなった[93]。
出典
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出典(リンク)
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固有名詞の分類
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