プーアル茶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/07 17:22 UTC 版)
原産地
普洱茶は雲南省の西双版納州、普洱市及び、臨滄市の3つが主な生産エリア。但し、これらの地域と国境を隣接する、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ王国にもお茶の老樹が残っており、同様の方法で普洱茶が生産されている。なお、普洱市は2007年4月8日に思茅市から改名された。
製法
加熱によって酸化発酵を緩めた緑茶を、コウジ菌で発酵させる「熟茶」と、経年により熟成させた「生茶」に大別される。但し、雲南省においては旧来の考え方が残り普洱茶と言えば「生茶」を好む向きもある。「熟茶」と「生茶」で比較するならば、いわゆる大手の飲料メーカーが買いつけるのは基本的に色のよく出る「熟茶」であり、そのため「熟茶」を輸出用と考える人もいる。香港・台湾では「熟茶」の需要も多く、日本でも普洱茶の知名度の広がりによって両者を選んで買う消費者も増えてきている。
尚、生茶の場合、加熱時に完全に酵素が失活していないため、その後天日乾燥をする際にさらなる酵素発酵が起こると考えられている。残存する酵素発酵を前提としているため、乾燥は必ず天日で行われる。ここで機械乾燥を行った場合、酵素が完全に失活するため、普洱茶ではなく緑茶になってしまう。
後発酵の方法によって、以下の2つに分けることができる。
- 生茶
- 緑茶を残存する酵素で発酵させた茶葉[1]。生産されてまだ日が浅い茶葉は、極めて緑茶に近い。しかし、年代を経るほどに、白茶様、烏龍茶様、紅茶様の香りとなり、最終的には普洱熟茶に近い香りと味わいになる。数十年を超えるようなビンテージ品は、希少価値の高さもあり、高価で取引される。日本で上質な生茶を入手するのは、極めて難しいものの、普洱茶の知名度が向上してきたこともあり、取り扱う業者が増えつつある。
- 熟茶
- 普洱生茶を多湿状態に置くことで、菌による発酵をさせて作られる。年代を経た茶葉の風味を短時間で量産できる方法として、1973年頃から生産されるようになった[注 1]。生茶に比べて色が濃く、暗褐色を呈す。一般的によく知られている普洱茶は熟茶である。
経年熟成により香りが変化するのは生茶であり、それに対して熟茶は経年による香りの変化はあまりない。熟茶の品質は使用する茶葉と発酵技術の優劣で決まる。菌による発酵時に有機酸が産出され、pHが酸性に偏るため、それによりお茶の味に変化が生じる。生茶の場合、熟成の進み具合により、味わいも香りも変化していくが、その変化は茶葉の置かれた環境により大きく左右される。尚、貯蔵における変化は、有機物の酸化熟成による香りの変化と、タンニンなどのポリフェノール類の酸化分解による舌触りの変化にとどまり、品質そのものは元々の茶葉に含まれるミネラルに依存するため、貯蔵期間とは全く関係がない。
効用
普洱茶を特徴付ける点は、多くの茶が老木から作られている点であり、ミネラル濃度が極めて高い。普洱茶を飲むと血圧が下がり、血液循環が良くなることが知られており、この効果は品質に比例する。故に、普洱茶を常飲した場合、血液循環の改善から快眠、お通じの改善、花粉症などのアレルギー体質の改善が見られる。
熟茶には脂肪分解作用があると考えられている。また、15年以上熟成させた茶葉を薬茶とされ、価格も更に高くなる上薬効効果が認められている。
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