ドリフト走行 モータースポーツとしてのドリフト

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 交通 > > 走行 > ドリフト走行の解説 > モータースポーツとしてのドリフト 

ドリフト走行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 02:38 UTC 版)

モータースポーツとしてのドリフト

近年ドリフト走行は、活動の場がストリートからサーキットへと移行しつつある流れの中でそれ自体が単独のモータースポーツカテゴリーの一つとして確立しつつある。

ストリートドリフトからアマチュアモータースポーツへ

遅くとも1990年代末期頃からは上述のようなストリートドリフト追放対策の強化、いわゆるサーキット走行会の普及・充実、ドリフト専用のコースを設置したサーキットの登場といった環境整備もあり、健全なアマチュアモータースポーツとしてクローズドコースでドリフトを楽しむ人も出てきた。これらのイベントや施設は、サーキット使用料などが掛かるため、決して安い参加費用ではないが、専門のドライバーによる模範演技や講習も開催され、プロドライバー・レーシングドライバーの指導を受けることができ、安全なサーキットで思う存分運転技術を試せるとあって、最近ではサーキット走行が主流になりつつある。

ただしサーキットでのドリフト走行にも問題はある。通常のスポーツ走行では発生しない派手なスキール音や、路面にブラックマークが残ってしまう問題(ドリフト用の滑りやすい非ハイグリップタイヤのゴムが路面に溶け残り、グリップを低下させてしまう)などが挙げられる。さらにドリフト走行と通常のスポーツ走行ではライン取りや走行パターンが異なるため、両者が同時に走行することが難しく危険と指摘する向きもある。前述の通り、サーキットによってはドリフト専用コースを設けている例もある。また、一般のスポーツ走行枠では、意図的なドリフト走行は禁止されることも多く、場合によってはドリフト専用の時間枠が設けられることもある。

D1GP開幕、プロモータースポーツへ

2001年からは全日本プロドリフト選手権(現・D1グランプリ)が開催されている。シリーズ制で行われており、お台場フジテレビ前特設サーキットや、アメリカGPも行われている。2006年からは下位カテゴリーとしてD1ストリートリーガル(現・D1ライツ)も発足している。

さらに2004年からはアメリカでもSCCA(スポーツカークラブ・オブ・アメリカ)の主催でフォーミュラ・ドリフト(通常は「フォーミュラD」と呼ばれることの方が多い)の名称でシリーズ戦がスタートしているほか、2008年現在ニュージーランドオーストラリアイギリスアイルランドなどでドリフト走行のシリーズが開催されている。2008年にはこれら各国のドリフト戦シリーズの上位入賞者を一堂に集め、レッドブルの主催で世界ドリフト選手権(en:Red Bull Drifting World Championship)が開催されるなど、ドリフト走行そのものをスポーツ興行とする動きは世界的に広がっている。

スポーツとしてのドリフト走行の最大の特徴は、他のモータースポーツが原則として全て「一定のコースをいかに速く走るかを競う」のに対し、「速さもさることながら、ドリフト走行中の姿勢など美しさを総合的に競う」採点競技である点にある。そのため競技者の優劣の判断は審判による判定により行われるのが一般的であり(D1GPなど一部機械式の採点を導入しているシリーズもある)、その意味で他のモータースポーツをスピードスケートに例えた場合のフィギュアスケートになぞらえられる[6]

ただしスポーツとしてのドリフト走行が確立してまだ日が浅いという事情から、今のところ審判の採点基準はシリーズによって大きく異なっている。ドリフト走行に関するモータースポーツライセンスも、現在は各地のシリーズ主催団体が個別に発行する状態が続いている。これに対し、2013年より日本自動車連盟(JAF)がドリフト競技を公認競技会の対象に追加するなど[7]、既存のモータースポーツ統括団体がドリフト競技を管轄下に収めようとする動きも見られつつある。

国際自動車連盟(FIA)も2017年に『FIA インターコンチネンタル・ドリフティング・カップ』を発足させたほか[8]2019年1月にはドリフト競技を専門に取り扱う「ドリフト委員会(Drifting Committee)」を設立(初代委員長には飯田章が就任した)[9]。同委員会では2020年3月にドリフト競技用車両の統一規格として「DC1」車両規定を採択しており[10]、将来的には競技レギュレーションも含めた統一規則の策定を目指している。


  1. ^ 『【歓喜】新TW280はヤバイです!』”. ⚡SHIBATA⚡社長のブログ. 2022年7月14日閲覧。
  2. ^ 暴走族のタイヤ痕に「器物損壊」適用 - レスポンス2005年7月25日
  3. ^ フェイントモーションも慣性ドリフトのひとつだが、方法として記載。
  4. ^ D1採点基準 D1 OFFICIAL WEBSITE、2021年3月9日
  5. ^ MotoGPのドリフトシーン動画 YouTube
  6. ^ ドリフト技術にファン熱狂「車でやるフィギュア」 - 日刊スポーツ・2017年9月30日
  7. ^ スピード行事競技開催規定付則:ドリフト競技開催要項 - 日本自動車連盟
  8. ^ 【ドリフト】峠が世界へ!FIAが認めたドリフト世界大会、東京で開催!ドリキンも「感無量」 - TopNews・2017年8月22日
  9. ^ THE NEW FIA DRIFTING COMMISSION MET FOR THE FIRST TIME IN PARIS - FIA・2019年1月29日
  10. ^ FIA世界モータースポーツ評議会、ドリフト車両の世界統一車両規則「DC1」を承認 - JAFモータースポーツ・2020年3月12日
  11. ^ 試乗記 横滑り防止装置(ESC)2 - 加藤久美子の乗ってナンボ - 朝日新聞
  12. ^ 「Rパフォーマンス トルクベクタリング」の解説動画が公開 - 8speed.net
  13. ^ 【乗るログ】トヨタRAV4“復活”の狙い 遊びに行きたくなる痛快なオフロード走破性 (3/4ページ) - SankeiBiz
  14. ^ 【自動車用語辞典:ステアリング「4輪操舵(4WS)」】前輪だけでなく後輪の舵も切れる操舵機構 - clicccar.com
  15. ^ RX-7などに搭載の「トーコントロールシステム」とは?なぜトーコンキャンセラーが必要なのか? - CarMe
  16. ^ これであなたも“ドリキン”になれる!? ランボルギーニの4WSに脱帽!──ウラカンEVO試乗記 - GQ Japan






ドリフト走行と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドリフト走行」の関連用語

ドリフト走行のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドリフト走行のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのドリフト走行 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS