デ・フィネッティの定理 デ・フィネッティの定理の概要

デ・フィネッティの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/30 09:42 UTC 版)

交換可能なベルヌーイ変数の列の特別な場合として、独立同分布 (i.i.d.) なベルヌーイ列の「混合」した列がある。交換可能な列の個々の確率変数はそれら自身では i.i.d. ではなく、交換可能なだけだが、その根底には i.i.d. な確率変数の族が存在する。

したがって、列が交換可能であるために観測値が i.i.d. である必要はないが、その背景には一般には観測可能でない i.i.d. である量が存在する。交換可能な列は i.i.d. な列の混合であり、それは必ずしも i.i.d. ではない。

背景

ベイズ主義の統計学者はしばしば与えられたデータを条件とした確率変数の条件付き確率分布を求める。確率変数の交換可能性英語版はデ・フィネッティによって導入された。デ・フィネッティの定理は独立性と交換可能性の間の数学的関係を説明する[1]

確率変数 X の無限列

交換可能 (exchangeable) であるとは、任意の順序に置換した2つの有限の確率変数列 {Xi1, ..., Xin}, {Xj1, ..., Xjn} がいずれも同じ結合分布に従うことをいう。つまり、n を任意の有限な基数とし、i· 同士で互いに異なる有限列 i1, i2, ..., in および j 同士で互いに異なる j1, j2, ..., jn を用意したとき、2つの確率変数の列

が同一の結合分布に従う場合、確率変数 X は交換可能である。

同分布な列が独立であるならば、その列は交換可能である。しかしながら、その逆は成り立たない。交換可能だが独立でない確率変数の例としてポリアの壺モデル英語版が挙げられる。

定式化

確率変数 Xベルヌーイ分布に従い、その確率分布実数 p∈ (0, 1) を用いて Pr(X = 1) = p, Pr(X = 0) = 1 − p と表すことができる。

デ・フィネッティの定理は次のことを述べる:交換可能英語版な任意のベルヌーイ変数の無限列に対する確率分布は独立同分布 (i.i.d.) なベルヌーイ変数のの分布の混合分布であることを示す。混合とはこの場合、加重平均であることを意味する。ただし、有限であったり可算無限である(つまり離散的である)必要はなく、この加重平均は一般に積分として与えられる。

より正確には、次のように述べることができる。X1, X2, ... をベルヌーイ分布に従う確率変数 X の交換可能な無限列であるとする。また、区間 [0, 1] 上の確率分布 mm に従う確率変数 Y があるとする。ベルヌーイ列 X1, X2, ... の全体の、与えられた Y の下での条件付き確率分布は次のような性質を持つ。

  • X1, X2, ... は与えられた Y の下で条件付き独立英語版であり、
  • 任意の i ∈ {1, 2, ...} について、与えられた Y の下での Xi = 1 の条件付き確率は Y に等しい。

他の定式化

X1, X2, ... をベルヌーイ変数の交換可能な無限列とする。このときベルヌーイ列 X1, X2, ... は与えられた交換可能な(つまり、 X1, X2, ... に関して可測であり、添え字の有限の置換に対して不変な事象の)完全加法族の下で条件付き独立同分布である。




「デ・フィネッティの定理」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「デ・フィネッティの定理」の関連用語

デ・フィネッティの定理のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



デ・フィネッティの定理のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのデ・フィネッティの定理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS