クモラン クモランの概要

クモラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/20 03:45 UTC 版)

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クモラン
クモラン(和歌山県田辺市・2018年7月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: ラン目 Orchidales
: ラン科 Orchidaceae
: クモラン属 Taeniophyllum
: クモラン T. glandulosum
学名
Taeniophyllum glandulosum Blume
和名
クモラン(蜘蛛蘭)

特徴

はごく短縮して、根は茎から放射状に出る。は長さが2-3cmで、ほとんど枝分かれせず、樹皮に密着する。やや偏平になっており、白っぽい緑色をしている。葉は全くない。光合成は根が行なっている。

初夏に花が咲く。花は中心部から立ち上がる1cmにも満たない花茎上につき、緑色で2mm程の長さしかないため、全く目立たず、よく見ないとあるのかどうかも分からない。果実はもう少し大きくなる。

名前は根を広げている様子を虫のクモに見立てたものである。日本では関東以西の本州から琉球列島まで分布する。国外では朝鮮、中国からヒマラヤ、マレーシアにかけて分布する。樹木に根を広げて着生する。往々にして多数が集まる。細い枝の場合、その表面がこの植物の根で覆われているような場合も見かける。必ずしも森林でなくてもよく、山間部では集落の中の木にも見ることがある。ウメの木には特によく見かける。

利用

ラン科の植物や着生植物には観賞用に栽培されるものが多い。両方を兼ねているものはなおさらである。このクモランの場合もこれに当たるが、この種の場合、はっきり言って鑑賞価値は皆無に近い。花は地味というより、見えないし、姿は確かにユニークではあるが、目立たない。むしろほかの着生ランの葉が枯れた姿に近い。それでも単に着生ランというだけで栽培したがる人間もいる。

しかし、この種は着生場所から引き離した場合、絶対と言ってよいほど再活着しない。一説によると樹皮に棲む菌類と共生関係にあるともいう。そのため採集するなら枝ごと切り取るしかないが、切り落とした枝は湿った状態に置くとすぐ腐ってしまうため、持ち帰ったとしても長期栽培はできない。種子を庭木に擦り付けたところ、発芽した例がある。

ただ、とにかく目立たないためにそもそもなかなか発見されない。したがって採集圧は他の着生ランほどではないと見られるが、それでも個体数は減っている。これはむしろ、生育環境の悪化によるであろう。道路が拡張されたり、周囲の森林が切り開かれるなどすると、たちまち見えなくなってしまう例がある。生育環境の乾燥の影響が大きいようである。

参考文献

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本I 単子葉植物』,(1982),平凡社



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