アインシュタイン方程式 宇宙項

アインシュタイン方程式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 22:39 UTC 版)

宇宙項

アインシュタインの1916年のオリジナル論文には含まれておらず、アインシュタイン方程式は Gμν = κTμν の形で書かれていた。アインシュタインは、1917年の論文で方程式に「宇宙項」を加えて Gμν + Λgμν = κTμν の形に書き換えた。Λ宇宙定数を表す。宇宙項は、正負の符号によっては、重力に対する反重力(万有斥力)として機能する。

アインシュタインがこの項を導入した理由については諸説あるが、一般に有名なのは、彼自身が信じる静止宇宙モデルを実現するためという説である。1917年論文の宇宙モデルは重力と宇宙項による反重力とが釣り合う静止宇宙だった。当時、宇宙膨張は発見されていなかった。しかしこのモデルは不安定であり、僅かな摂動で膨張または収縮に転じる(静止宇宙とならない)性質を持つことが後にアレクサンドル・フリードマンにより示された。

1929年ハッブルが宇宙の膨張を観測的に示した後、1931年にはアインシュタイン自身により「人生最大の過ち」として消去された[注 3]。しかしながら、近年の宇宙のインフレーション理論や素粒子物理学との関連の中で、宇宙項(に相当する斥力)を再び導入して考えることが通常行われており、むしろ重要な意味を与えている場合がある。観測的宇宙論において、宇宙膨張を加速させている謎のエネルギーとして、ダークエネルギーが提案されている。ダークエネルギーは方程式上では宇宙項である。


注釈

  1. ^ アインシュタインの重力場方程式(じゅうりょくばのほうていしき、: Einstein's field equations;EFE)とも呼ばれる。
  2. ^ 4次元2階対称テンソルの各成分は4つの対角成分と12の非対角成分にわけられるが、非対角成分は対称性 Gμν = Gνμ (μν) により、独立な成分は12/2=6つとなるため、対角成分とあわせて10成分が独立である。
  3. ^ 「人生最大の過ち」という発言に関する諸説は、宇宙定数#否定を参照。

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