JOTS II/III
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 16:03 UTC 版)
1984年、JOTS Iにリンク 11を統合し、C4Iシステムとして必須の4つめのC(コミュニケーション)を具備することとなった。これがJOTS IIであり、システム区分はAN/USQ-112Aとなった。また同年には、空母艦上において複数の戦術家によってより効率的に情報処理を行えるようネットワーク化されたシステムが構築され、これはJOTS IIIと呼称された。 JOTS IIでは戦術データ・リンク機能の追加のほか、従来より備えてきた機能についても全面的に改良されている。同システムで実行されるソフトウェアはバージョン1.15と称されており、基本的なプログラムは30万行のコードからなっている。ハードウェアの更新に伴ってマルチタスクに対応したこともあり、様々な特定の戦術状況分析を行うアプリケーションとしてTDA(Tactical decision aid)機能が追加された。これらのソフトウェアはUNIX系のシステムであれば実行できるようになっており、動作環境は主記憶装置32メガバイト、ハードディスクドライブ500メガバイト、処理能力7 MIPSとされた。実際のシステムにおいてはDTC-2が用いられることが多かった。これはSun-4/110のアメリカ海軍仕様であり、32ビットのSPARCを用いていた。 なおJOTSのソフトウェアは、ユーザインタフェースと4つの主要なプログラム(戦術データベース・マネージャ(TDBM)、地理情報データベース、通信機能、ウィザード)から構成されている。TDBMは、利用可能な情報を融合して、相関性のある目標データベースを構築する。通信機能としては衛星通信によるOTCIXSが標準的に使用されるほか、リンク 14を通じて受信した情報の自動入力や、専用装置を接続してリンク 11を使用することもできた。 JOTS IIは、1990年6月に「インディペンデンス」および「ジョーエット」で運用試験を受けたのち、折からの砂漠の盾作戦に伴って急ぎ200基以上が生産・配備された。この中には、ペルシア湾に展開していたオーストラリア海軍やカナダ海軍、オランダ海軍の艦艇も含まれていた。またイギリス海軍では軽空母を含む旗艦に搭載されていたほか、海上自衛隊でも、リムパック94に参加した「こんごう」に仮装備されたのを端緒として日米共同演習などで活用され、高く評価された。
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