DCAM3の仕様
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/05 22:09 UTC 版)
DCAM3は直径78ミリメートル、長さ80ミリメートルの円筒形で、質量は550グラム強となり、DCAM1、DCAM2の約2倍の質量となった。DCAM3の内部にはアナログカメラであるDCAM3-Aとアナログ通信系、デジタルカメラであるDCAM3-Dとデジタル通信系、そして共通電源としてリチウム電池6本が搭載されている。またアナログ通信系とデジタル通信系が完全に分離しているため、DCAM3本体からアナログ系アンテナとデジタル系アンテナの2本のアンテナが伸びている。 はやぶさ2本体も、DCAM3-Aからのアナログデータを受信するアンテナと、DCAM3-Dからのデジタルデータを受信するアンテナの、DCAM3からのデータ受信用に2つのアンテナが設置された。DCAM3からの画像データは圧縮等の処理の上、はやぶさ2本体のシステムに保存されるが、はやぶさ2から地球に送信されるデータは膨大であり、DCAM3からの画像データが全て送信されるまでにはかなりの時間を要する見込みである。そのためDCAM3による小惑星リュウグウへのSCI衝突実験の撮影が成功したかどうか判明するまでには時間がかかるものと見られている。 DCAM3-D搭載のデジタルカメラは2000×2000ピクセルのCMOSセンサを使用し、視野は74度×74度という広角かつF値が1.7以下と明るい光学系となっている。これは約1キロメートルという距離から爆発前のSCI、そして小惑星上での衝突状態、そして小惑星から放出されるイジェクタ(放出物)を詳細に観測するために、明るく広角かつ高い分解能が要求されたことによる。DCAM3-Dの空間分解能は、計画されているDCAM3から小惑星リュウグウまでの約1キロメートルの距離では、1ピクセルあたり数十センチメートルから1メートルである。また小惑星の衝突現象の観測という科学目的を果たすため、撮影時間もDCAM1、DCAM2よりも長時間の約1-2時間となっている。 アナログカメラ系であるDCAM3-A以外にも、DCAM3はDCAM1、DCAM2の設計を引き継いだ面がある。まず探査機本体への取り付け方法はDCAM1、DCAM2の片持ち梁による保持方法を採用し、円筒形をしたDCAM3の、下4分の1あたりを押さえるように保持している。はやぶさ2からの放出時にはバネで押し出しながら本体の端を弾いて回転を加え、姿勢を安定させながら、DCAM3の撮影対象である小惑星リュウグウ方向にカメラを向けるように放出される。またDCAM3の撮影計画はあらかじめはやぶさ2打ち上げ時にプログラムされており、探査機本体を通じてのプログラム書き換えが不可能であることもDCAM1、DCAM2の設計を引き継いでおり、実際の探査時に決定するのは、はやぶさ2からの分離のタイミングのみである。
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