鋳造技法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/08 09:21 UTC 版)
各像は蝋型鋳造の技法で製作されている。蝋型鋳造の製作過程は次のとおりである。まず、粘土で像の概形を作り、この中型の周囲に蜜蝋を被せて細部の造形を行う。蜜蝋とは、蜂蜜から取れる蝋に松脂などを加えたものである。この蜜蝋で作った像の外側をさらに外型の土で覆い、像の上部または底部に湯口(溶銅の流し込み口)を作る。鋳造時に中型と外型がずれないように、要所に中型と外型をつなぐ「型持」と呼ばれる金属片を挿入する。型を支えるため、中型内部に鉄製の芯を立てる場合もあり、鋳造後に鉄芯を残したままにしている像や、頭頂部に鉄芯を抜いた跡の穴が残る像もある。以上の型全体を熱すると、土型は焼き締まり、蜜蝋は溶けだしてその部分が空洞になる。この空洞に溶銅を流し込む。銅が冷却したら、外型の土をはずし、中型の土を掻き出す。中型の土の部分は、完成像では空洞となるが、小像の場合は中型の空洞がないムク鋳造の像もある。また、頭部のみムクで、首から下には空洞があるもの、台座部分のみに空洞があって像本体はムクであるものなど、像によってさまざまである。いわゆる止利式の像には頭部まで空洞とするものが多く、止利一派の技法の特色とみられる。鋳造後の像はタガネで表面を仕上げ、目鼻立ち、衣文、装身具などの細部を刻み出す。さらに鍍金を行って完成である。
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