道徳性発達理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/16 04:15 UTC 版)
「ローレンス・コールバーグ」の記事における「道徳性発達理論」の解説
詳細は「en:Kohlberg's stages of moral development」を参照 コールバーグが提起した「道徳性発達理論」は、人間の道徳的判断に注目し、その判断が下記のような3つのレベルと6つの段階をもつというものである。後の修正では、4 1 2 {\displaystyle {\frac {1}{2}}} 段階が設定された。 1.慣習以前のレベル 第一段階=罰と服従への志向 "警察に捕まらないならば、それはOKである" 罰の回避と力への絶対的服従がそれだけで価値あるものとなり、罰せられるか褒められるかという行為の結果のみが、その行為の善悪を決定する。 第二段階=道具主義的相対主義への志向 "彼はそれをやるべきだ、奥さんはいい人で美しいのだから" 正しい行為は、自分自身の、また場合によっては自己と他者相互の欲求や利益を満たすものとして捉えられる。具体的な物・行為の交換に際して、「公正」であることが問題とされはするが、それは単に物理的な相互の有用性という点から考えられてのことである。 2.慣習的レベル 第三段階=対人的同調あるいは「よい子」への志向 "彼は妻を愛しているから、それをやるべきだ" 善い行為とは、他者を喜ばせたり助けたりするものであって、他者に善いと認められる行為である。多数意見や「自然なふつうの」行為について紋切り型のイメージに従うことが多い。行為はしばしばその動機によって判断され、初めて「善意」が重要となる。 第四段階=「法と秩序」の維持への志向 "人を護ることは、財産を守ることよりも大事だ" 正しい行為とは、社会的権威や定められた規則を尊重しそれに従うこと、すでにある社会秩序を秩序そのもののために維持することである。 3.脱慣習的レベル 第五段階=社会契約的遵法への志向 "社会において人には生存権がある。彼女を失ったら私は顔向けできないだろう" ここでは、規則は、固定的なものでも権威によって押し付けられるものでもなく、そもそも自分たちのためにある、変更可能なものとして理解される。正しいことは、社会にはさまざまな価値観や見解が存在することを認めたうえで、社会契約的合意にしたがって行為するということである。 第六段階=普遍的な倫理的原理への志向 "人命には特別な固有の価値がある。彼女を失ったら私は私でいられない" 正しい行為とは、「良心」にのっとった行為である。良心は、論理的包括性、普遍性ある立場の互換性といった視点から構成される「倫理的原理」にしたがって、何が正しいかを判断する。ここでは、この原理にのっとって、法を超えて行為することができる。
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