諸外国における法制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 16:55 UTC 版)
「日本における死刑」の記事における「諸外国における法制」の解説
報道用語の「終身刑」を英語にすれば「Life imprisonment without parole」が充てがわれるべきであるが、日本の報道では、これまで「Life imprisonment」を直訳的に「終身刑」と翻訳してきたため、それが伝え広げられ、海外(特にヨーロッパ語圏)では「仮釈放の可能性のない無期刑」が一般的に採用されているとの風説が広まることにつながった。また、そのような中で、「Life imprisonment without parole」を直訳的に「仮釈放のない終身刑」と翻訳することと、海外の仮釈放などの情報を容易に取得できるようになった情報網の発達が相まって、海外には「仮釈放のある終身刑」という日本の無期刑とは「別概念」のものが存在するといった言説も拡大し、概念的な混乱は一段と広がることになった。 しかし、現実に海外の刑法典や仮釈放法典を見れば、「仮釈放の資格が認められる、最低の期間」は日本より長い場合が多いものの、比較的多数の国において、すべての無期刑の受刑者において仮釈放の可能性が認められており、たとえば、大韓民国刑法72条1項 は10年、ドイツ刑法57条a、オーストリア刑法46条5項 は15年、フランス刑法132-23条 は18年、ルーマニア刑法55条1項 は20年、ポーランド刑法78条3項、ロシア刑法79条5項、カナダ刑法745条1項、台湾刑法77条 は25年、イタリア刑法176条 は26年の経過によってそれぞれ仮釈放の可能性を認めている。一方で、中国や米国、オランダなどにおいては仮釈放のない無期刑制度が現に存在している。これら諸外国の状況について、法務省は国会答弁や比較法資料において、「諸外国を見ると仮釈放のない無期刑を採用している国は比較的少数にとどまっている」とかねてからしばし説明してきたが、この事実は現在でもあまり周知されていない状況にある。
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