課題と意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:44 UTC 版)
「維管束植物レッドリスト (環境省)」の記事における「課題と意義」の解説
レッドリストの作成にも携わった芹沢俊介(2003)は、植物I(維管束植物)レッドリストの問題点として以下の点を挙げている。 絶滅危惧IA類(CR)の数が564種(2000年版RDB)であるが、絶滅危惧IA類は10年後の絶滅確率が50%であるため、何も保護対策を取らなければ280種が絶滅する計算になり妥当性に疑問が残る。また、絶滅危惧IA類:IB類:II類=564:480:621でほぼ1:1:1であり、バランスが悪い点も指摘している。 個体数と減少率に関する調査結果が主観的であり、過小評価されている。 絶滅確率の計算手法が過大評価を導いている。 など。その一方で、主観的であったレッドリストの作成に、論理的一貫性をもたらした意義について評価している。 #絶滅確率の推定でも述べたように、維管束植物レッドリストにおけるカテゴリー評価は、いくつかの仮定に基づく正確性に疑問が残るものである。一方、この仮定に明確にした上で、すべての種について一定の基準を当てはめたことは評価できる。環境省の維管束植物レッドリストよりも前の1989年に作成された『我が国における保護上重要な植物種の現状』(1989年版RDB)では、895種の維管束植物が掲載されているが、その評価は定性的であり、ある程度研究者の主観に基づいている。ミゾコウジュとカワジシャが1989年版RDBでは絶滅危惧(絶滅寸前)で掲載されているが、環境省版レッドリストでは絶滅確率の推定に基づき、絶滅危惧よりもランクが低い準絶滅危惧と判定された。逆に1989年版RDBでは掲載されていないキキョウについては絶滅危惧II類に評価されている。これらは定性的な評価を排除し、客観的な情報に基づいたカテゴリー評価の結果であり、レッドリスト・レッドデータブックの透明性・客観性を高めた一例である。
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