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レッドリスト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/12 09:44 UTC 版)

生物の群別によるレッドリスト指定種の割合。    は絶滅寸前、    は絶滅危惧、    は危急(2007 IUCN Red Listより)

レッドリストred listRL)とは、絶滅のおそれのある野生生物(動植物)のリスト。通常、または亜種変種の水準で記載され、絶滅の危険性の高さによるカテゴリー分けがなされている。「レッド」には警告の意味がある。

目次

概要

最初のレッドリストは、1966年に、国際的な自然保護団体である国際自然保護連合(IUCN)によって作成されたものである。その後、各国の所管政府機関(日本では環境省)や地方自治体(日本では主に都道府県)、学術団体(日本自然保護協会日本哺乳類学会等)などによって、同様のリストが独自に作成され、これらもレッドリストの名で呼ばれている。これらの多くは、IUCN 版のカテゴリーに準拠した形で作られている。

レッドリストを公表後、掲載種の生態、分布、現在の生育状況、絶滅の要因などのより詳細な情報を盛り込まれたレッドデータブックが作成される。

なお、日本においてはレッドリストやレッドデータブックに掲載された生物に対する法令等の規制はないが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)における希少野生動植物種の指定や環境アセスメントなどの野生生物の保護・保全における基礎資料として用いられる。

レッドリストとレッドデータブックの違い

IUCNや環境省などでは、レッドリストとレッドデータブックという2つの資料を作成・公表する。レッドリストは絶滅のおそれのある野生生物の名称(学名和名等現地名)、カテゴリー等の最低限の情報のみをリストするものであり、レッドデータブックよりも短期間で作成することができる。一方レッドデータブックには、レッドリストの内容に加え、形態、繁殖・採餌等の生態、分布、生育・生息環境、生育・生息状況、絶滅の要因、保全対策などのより詳細な情報が盛り込まれており、掲載種の基本的な情報を得ることができるようになっている。しかしながら、最新の知見を収集し、それらを取りまとめるため、作成に時間がかかるという欠点もある。例えば、環境省ではレッドリストの公表からレッドデータブックの作成までの期間を見ると、最も短い両生類爬虫類で2年半、最も時間が掛かった昆虫類で6年以上経過している。絶滅の危機に瀕している野生生物の状況は短期間で悪化することもある。そのため、いち早くレッドリストを確定・公表し、その後詳細な情報をとりまとめたレッドデータブックを作成するという2段階の作業をとっている。

この作成期間の差から、レッドリストとレッドデータブックで記載されている内容が変更されることもある。環境省の哺乳類では、1998年公表のレッドリストでは1亜種としていたニホンカワウソを、1998年発行のレッドデータブックでは本州以南個体群と北海道個体群の2つの亜種に分けている。また、維管束植物では、1997年公表のレッドリストで情報不足に評価された亜種変種)について可能な限り再評価し、2000年発行のレッドデータブックでは絶滅危惧(Threatened) に評価された種が266分類群も増加している。

レッドリストとレッドデータブックの作成期間が開いた場合、レッドデータブックの発刊後すぐに、見直されたレッドリストが公表されるという場合もある。環境省の甲殻類等とクモ形類多足類等のレッドデータブックは2006年2月に発行されたが、その年の12月に新しいレッドリストが公表されている。

なお、レッドリストとレッドデータブックの2段階に分けず、レッドデータブックとして1回のみ公表する場合もある。特に日本の地方自治体(都道府県など)ではその傾向にあるが、環境省(当時環境庁)が1991年(平成3年)に発行した『日本の絶滅のおそれのある野生生物』(動物版レッドデータブック)においても、先行してレッドリストを公表してはいない。

IUCNレッドリスト

IUCNレッドリストのカテゴリーと基準(Categories & Criteria)

1966年版(ver.1)
1966年に発表されたIUCNの最初のレッドリストで用いられたカテゴリーと基準である。カテゴリー区分は、絶滅 Extinct 、絶滅危惧 Endangered 、危急 Vulnerable 、希少 Rare の4つである。カテゴリーの基準は定性的で、主観的な色合いが強かった。
1966年版(Ver.1)によるカテゴリーは下記の通りである。
  • Extinct - 絶滅
  • Endangered - 絶滅危惧
  • Vulnerable - 危急
  • Rare - 希少
1994年版(ver.2.3)
定量的な数値基準を採用するためにカテゴリーと基準の全面改訂が行われ、1994年12月に数値基準を導入した新システムが採択された。その後のIUCNのレッドリストはこの1994年版のカテゴリーに従って作成されている。1996年10月発表の絶滅危惧動物のレッドリスト(1996 IUCN Red List of Threatened Animals (Baillie and Groombridge, 1996))が1994年版のカテゴリーと基準を用いた最初のIUCNレッドリストである。
1994年版(Ver.2.3)によるカテゴリーは下記の通りである。
  • Evaluated - 評価実施
    • Adequated data - 適当なデータあり
      • Extinct (EX) - 「絶滅
      • Extinct in the Wild (EW) - 「野生絶滅
      • Threatened - 「危惧」あるいは「絶滅のおそれのある状態」(絶滅危惧
        • Critically Endangered (CE) - 「絶滅寸前」(絶滅危惧IA類)
        • Endangered (EN) - 「絶滅危機」(絶滅危惧IB類)
        • Vulnerable (VU) - 「危急」(絶滅危惧II類)
      • Lower Risk (LR) - 「低リスク」
        • Lower Risk - Conservation Dependent (LR/cd) - 「保全対策依存」
        • Lower Risk - Near Threatened (LR/nt) - 「準絶滅危惧」(準絶滅危惧)
        • Lower Risk - Least Concern (LR/lc) - 「軽度懸念」
    • Data Deficient (DD) - 「データ不足」(情報不足)
  • Not Evaluated (NE) - 「未評価」
※「 」内はIUCN日本委員会が作成した「IUCNレッドリスト2000年(1994年レッドリストカテゴリーとその基準)」で示されている訳語。( )内は、環境省レッドリストの対応用語。
2001年版(ver.3.1)
2000年2月に、2001年版(Ver.3.1)カテゴリーと基準が採択された。2001年1月以降の評価はこの基準に従って行われている。しかし、1994年版に従ってすでに行われた全分類を2001年版に従って見直すことは、即時にできることではない。そのため、現在のIUCN版レッドリストでは、1994年版と2001年版が併用されており、"ver 2.3(1994)" あるいは "ver 3.1(2001)"と表示し、どのカテゴリーに従った評価なのかがわかるようになっている。
2001年版 (Ver.3.1) によるカテゴリーは下記の通りである。Lower Risk以下が変化している。
  • Evaluated - 評価
    • Adequated data - 適当なデータあり
      • Extinct (EX) - 絶滅
      • Extinct in the Wild (EW) - 野生絶滅
      • Threatened - 絶滅危惧種
        • Critically Endangered (CR) - 絶滅危惧IA類
        • Endangered (EN) - 絶滅危惧IB類
        • Vulnerable (VU) - 絶滅危惧II類
      • Near Threatened (NT) - 準絶滅危惧
      • Least Concern (LC) - 軽度懸念
    • Data Deficient (DD) - 情報不足
  • Not Evaluated (NE) - 未評価

IUCNレッドリスト

1966年版
IUCNの最初のレッドリストは、1966年版(ver.1)のカテゴリーに従い1966年に発表された。
1996年版
1996年10月に「1996 絶滅危惧動物に関するIUCNレッドリスト」("1996 IUCN Red List of Threatened Animals" (Baillie and Groombridge 1996))が発表された。1994年版(Ver.2.3)のカテゴリーに従って発表された最初のレッドリストである。
2006年版
2006年5月8日に「2006 絶滅危惧種に関するIUCNレッドリスト」("2006 IUCN Red List of Threatened Species")が発表された[1]。調査対象の40,168種のうち、絶滅のおそれのある種(Threatened)は16,118種、絶滅(Extinct)が784種、野生絶滅(Extinct in the Wild)が65種になった。カテゴリー基準は2001年版(Ver.3.1)と1994年版(Ver.2.3)が混在している。
2007年版
2007年9月12日に「2007 絶滅危惧種に関するIUCNレッドリスト」("2007 IUCN Red List of Threatened Species")が発表された[2]。絶滅のおそれのある種(Threatened)は1万6,306種で、2006年版よりも188種が増加した。
2008年版
2008年10月6日に「2008 絶滅危惧種に関するIUCNレッドリスト」("2008 IUCN Red List of Threatened Species")が発表された[3]。絶滅のおそれのある種(Threatened)は1万6,928種で、2007年版よりも622種が増加した。
2009年版
2009年11月3日に「2009 絶滅危惧種に関するIUCNレッドリスト」("2009 IUCN Red List of Threatened Species")が発表された[4]。絶滅のおそれのある種(Threatened)は1万7,291種で、2008年版よりも363種が増加した。
2010年版
2010年10月27日に「2010 絶滅危惧種に関するIUCNレッドリスト」("2010 IUCN Red List of Threatened Species")が発表された[5]。絶滅のおそれのある種(Threatened)は1万8,351種で、2009年版よりも1,060種が増加した。

[ヘルプ]
  1. ^ WWF-J「IUCNレッドリスト2006」発表
  2. ^ WWF-J「IUCNレッドリスト2007」発表
  3. ^ WWF-J 1万6,928種が絶滅の危機に 2008年版IUCNレッドリスト発表される
  4. ^ WWF-J 2009年版「レッドリスト」が発表されました
  5. ^ 産経ニュース 【COP10】絶滅おそれ3割超す 1060種増、IUCN発表
  6. ^ IUCN版との対応表
  7. ^ レッドデータブックカテゴリー(環境省、1997)
  8. ^ レッドリストカテゴリー(環境省、2007)(pdf)
  9. ^ 鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直し
  10. ^ 哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I及び植物IIのレッドリストの見直しについて
  11. ^ 水産庁編 『日本の希少な野生水生生物に関するデータブック』 財団法人自然環境研究センター、2000年、4頁。
  12. ^ 日本のレッドデータ検索 最新のレッドデータリスト・ブックの情報。
  13. ^ 我が国における保護上重要な植物種及び群落に関する研究委員会 種分化会編 『我が国における保護上重要な植物種の現状』 財団法人日本自然保護協会・財団法人世界自然保護基金日本委員会 発行、1989年。
  14. ^ 日本哺乳類学会編 『レッドデータ 日本の哺乳類』文一総合出版、1997年、ISBN 4-8299-2117-X。リストは日本哺乳類学会のホームページからも確認できる。


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