行列対数関数、行列指数関数による求め方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/19 15:33 UTC 版)
「行列の平方根」の記事における「行列対数関数、行列指数関数による求め方」の解説
実数 a > 0 {\displaystyle a>0} の平方根 a {\displaystyle {\sqrt {a}}} が exp ( 1 2 log ( a ) ) {\displaystyle \exp \left({\frac {1}{2}}\log(a)\right)} で求まることと同様に、 n次実数値正方行列 A {\displaystyle A} の全ての特性根の実数部分が正である場合、 行列対数関数を log ( A ) = log ( c ) I − Σ k = 1 ∞ 1 k ( I − 1 c A ) k {\displaystyle \log(A)=\log(c)I-\Sigma _{k=1}^{\infty }{\frac {1}{k}}\left(I-{\frac {1}{c}}A\right)^{k}} と定義し(cは任意の正数、級数が収束すれば c {\displaystyle c} に係らず同じ値に収束する) 行列指数関数を exp ( X ) = Σ k = 0 ∞ 1 k ! X k {\displaystyle \exp(X)=\Sigma _{k=0}^{\infty }{\frac {1}{k!}}X^{k}} と定義すれば( X {\displaystyle X} はn次実数値正方行列)、 2乗すると A {\displaystyle A} となり、かつ全ての特性根の実数部分が正となる行列 A {\displaystyle {\sqrt {A}}} は、 A = exp ( 1 2 log ( A ) ) {\displaystyle {\sqrt {A}}=\exp \left({\frac {1}{2}}\log(A)\right)} により計算でき、かつこの行列に一意に定まる。 この方法は、固有値を全て求める必要がないこと(「全ての特性根の実数部分が正」という条件は、特性根を全て求めなくても、十分条件がいくつか知られている)、収束計算が速いこと、対称行列に限らず一般の行列に利用可能であることなど、現実的かつ速い計算方法になっている。 また、行列の平方根に限らず、n乗根も同様に計算することができる。
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