薬剤感受性試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/09 21:04 UTC 版)
薬剤感受性試験とは抗菌薬に対する真正細菌の感受性を調べるために行われる試験であり、耐性菌の検出に用いられる基本的な試験である。
試験の種類
in vitroでの薬剤感受性試験は大別すると、希釈法と拡散法に分けられる[1]。
- 希釈法
- 希釈法は、さらに液体希釈法(さらにマイクロプレートを用いる微量法、試験管を使う試験管法に分類)と、寒天培地希釈法に分けられる。
- 液体希釈法も寒天培地希釈法も2倍段階希釈した薬剤(抗菌薬)を含む培地に一定量の菌を接種し、一定時間培養後にその発育の有無を観察し、薬剤に対する感受性を測定する。
- 特徴として、器材の値段が高い。精度が高い。希釈法では正確に、抗生物質が作用する濃度であるMIC値(最小発育阻止濃度)を測定できる。
- 拡散法
- 拡散法(または、ディスク拡散法、ディスク法)は一定量の菌を試験用の寒天培地(用いる試験により異なる)の表面に接種し、その上に一定量の薬剤(抗菌薬)を含む濾紙(ペーパーディスク)を置き、一定時間培養後、形成された発育阻止円の大きさから薬剤に対する感受性を測定する。拡散法は抗菌薬の検出にも応用される。
- 特徴として、経済性、迅速性や簡便性に優れる。一応、直接MICが測定できるディスク法の一種、特殊検査法もある。
菌の扱いについて
菌の取扱いについては、間接法と直接法がある[1]。
- 間接法
- 検査材料から感染症原因菌と考えられる目的の細菌を分離し、これを被検菌として、先述の希釈法と拡散法の薬剤感受性試験を行う。
- 直接法
- 感染症の原因細菌を含むと思われる材料を直接培地に接種する方法である。迅速に確認できるが、原因菌とは異なる菌も含まれるため、間接法と並行して行われる。
関連項目
出典
- ^ a b 第4章薬剤感受性試験(PDFファイル)農林水産省
- 東京大学医科学研究所学友会 『微生物学実習提要第2版』p83 1998年 丸善 ISBN 9784621044650
薬剤感受性試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 20:50 UTC 版)
ある微生物がある薬剤に対して感受性か耐性かを判断するには、薬剤感受性試験と呼ばれる微生物学的検査が用いられる。 細菌や真菌など培養可能な微生物については、検査する薬剤を一定の濃度になるよう加えた培地でその微生物が生育可能かどうかの検査(生育阻止試験)が行われる。それぞれ完全に生育阻止または殺菌が可能であった最低の濃度を、最小発育阻止濃度(英語: minimal inhibitory concentration, MIC)として、その微生物に対する薬剤の効果の指標とする。MICが小さいほど、薬剤の効果が高い、あるいはその微生物の感受性が高いことを表し、指標値よりもMICが大きければ、微生物のその薬剤に対する感受性が低い、すなわち薬剤耐性であることになる。 この他の病原体については、ウイルスでは薬剤を処理したときの培養細胞や実験動物に対する感染価の変化から耐性かどうかを実験室的に検査することが可能である。またヒトがん細胞については分離したがん細胞を用いて実験室的に検査することも可能であるが、実際に薬剤を投与した場合の治療の経過から薬剤耐性かどうかを臨床的に判断する場合も多い。これらの薬剤の効力については、通常、IC50(50%抑制濃度)やEC50(50%有効濃度)、ED50(50%有効投与量)などで表される。
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