租税根拠論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/27 14:51 UTC 版)
国民はなぜの納税の義務を負わないといけないのかを根拠づける考え方を租税根拠論と言う。近代には学理的に2つの租税根拠論が存在したが、これは他の法学分野(例.刑法学における古典学派と近代学派)における論争と同様に双方の一面的な主張であることに注意を要する。租税の根拠については、従来の議論に加えて、現代的には、一般的施策実施必要性(社会取引保証税(=消費税)等),個人および団体の行為活動の社会的影響(法人課税各種,自転車税(未実施),ペット税(未実施),モバイルホン税(未実施)等)を考察しなければならない。後者については、自転車の不注意運転による事故の増加,ペットの糞尿害・ペットの廃棄,スマートフォンによるさまざまな対人トラブルおよび事故の処理に関して、税金が少なからず使われている事実がある。 利益説(対価説) 租税を国家が財産所有者に与える利益の対価と考える説。国家の徴税権と市民の私有財産権を調和する理論。17世紀以降ブルジョワジーの市民的財政理論として台頭した。 義務説(犠牲説) 税有機的全体たる国家のために徴収されるものとして捉え、納税義務を個人の打算を超越した崇高な義務とする説。義務説はドイツ財政学(官房租税法律主義)・国家有機体説に基づき、19世紀のドイツで発達した。 この2つの説は福祉国家的な民主主義観を前提として、民主主義国家の主権者=国民は国家の維持に必要な経費を代表者が定めたところに従い自ら負担すべき、と考える民主主義的租税観に止揚した。 日本国憲法第30条は国民主権主義(納税者主権主義)と基本的人権尊重主義の両方を内包したうえで租税法律主義を意義づけたものであるから、日本国憲法は国民主権主義的な租税観を示しているといえる。
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