砂糖・脂肪論争
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クイーン・エリザベス大学(Queen Elizabeth College)の栄養学教授、ジョン・ユドキン(John Yudkin)は、1972年に『Pure, White and Deadly』を出版した。ユドキンはこの本の中で、冠状動脈血栓症(Coronary Thrombosis)、虫歯、肥満、糖尿病、肝臓病、痛風、癌・・・これらの疾患に砂糖が関与していることを示す証拠を提示している。ユドキンはこの本の第一章を以下の結びの言葉で終えている。 「I hope that when you have read this book I shall have convinced you that sugar is really dangerous.」(「この本を読み終えたとき、読者の皆さんの中で『砂糖は間違いなく危険である』との確信が強まりますように」) 砂糖業界や加工食品の製造業者たちにとって、この本は到底受け入れがたいものであった。 キースは以下のように述べ、ユドキンをこき下ろした。 冠状動脈性心臓病(Coronary Heart Disease, CHD)を惹き起こす原因は砂糖にあるとし、その重大な影響について主張するユドキンには、理論的根拠も、実験に基づく証拠による裏付けも無いことは明白である。冠状動脈性心臓病を患っている人は砂糖を過剰摂取している、とする彼の主張はどこにも見当たらず、本人の主張よりも遥かに上質な方法論もしくは大規模な研究で反証されている。そして、ユドキンが提示した「証拠」は人口統計学(Population Statistics)と年次推移に基づいており、最も初歩的な批判的考察にも耐えきれないだろう。だが、宣伝活動は繰り返され続ける・・・。残念なことに、ユドキンによる見解は、とある商業的利益に訴えかけるものであり、信用を失っているこの主張の宣伝は、多くの国に住む一般大衆に向けて、周期的に何度も吹聴され続けるのだ。 ユドキンによる砂糖有害論に不信感を抱かせるキースの試みは奏功した。砂糖に対する警告は、1995年にユドキンが亡くなるまで真剣に受け止められることは無かった。ユドキンが示した砂糖の危険性とその証拠は、2013年1月に『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』(The British Medical Journal)で発表され、集中的に取り上げられた。 カリフォルニア大学の教授で神経内分泌学者、ロバート・ラスティグ(Robert Lustig)は、2009年に『Sugar:The BitterTruth』(『砂糖:受け入れがたい真実』)と題した講演を行った。この講演はカリフォルニア大学が動画にして公開している。ラスティグはユドキンによる主張を再確認し、キースによる冠状動脈性心疾患に対する砂糖と脂肪の回帰分析に対して「USSコールに生じた穴」(※2000年10月12日、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦『USS Cole』が自爆攻撃を受けた際に船体に開いた穴)と表現し、会場に向けて「(アンセル・キースの主張が虚偽であることを)私はすっぱ抜こうとしているのか?」と問うた。
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