現存する仕込み刀剣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 03:59 UTC 版)
正倉院には「杖刀(じょうとう)」と呼ばれる、杖の外観を模した拵え(外装)に刀身を収める直刀が2口(呉竹鞘御杖刀、漆塗鞘御杖刀)保管されている。この杖刀が、「刀剣を杖に偽装した」ものであるのか「刀剣の外装を杖のように仕立てて拵えた」ものであるのかは判然としていないが、「呉竹鞘御杖刀(くれたけのさやのごじょうとう)」の刀身は雲文や星宿文を金象嵌で表した、明らかに儀礼用とみられるものであることから、杖刀は「儀礼刀剣の外装を杖のように仕立てて拵えた」ものと考えられている。 「戒杖刀(かいじょうとう)」と号される、上杉謙信が上洛した際に、高野山で舜学坊清胤に教えを受けた際に携えていたと伝えられる仕込み杖が現代に伝わっている(重要美術品認定、上杉神社蔵)。この仕込み杖は、備前三郎国宗作の刀身(銘「国宗」)を流木を模して作られた杖様の拵えに収めたもので、全体を黒漆で塗り、柄頭に当たる部分には撞木に似た握りがあり、柄に当たる部分には浅葱色錦地に紫色平紐を平巻にした、杖と刀を両立させた高度な作りの仕込み杖となっている。 伊藤博文は廃刀令発布以後は兼定作の脇差を仕込み杖に拵え直して携帯していた。伊藤が満州のハルビン駅で暗殺された際にも、この仕込み杖を携帯していた。 この他、仕込み刀は戦前、特に明治初期に多く製作されたため、これらの著名な品の他にも現存しているものは多い。刀剣店にて販売されていることも珍しくはなく、特別な手続きなく購入は可能であるが、前述のように拵えに刀身を組み込んで「仕込み刀」として所持することは違法である。
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