熱力学の法則を回避した「永久機関もどき」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:56 UTC 版)
「永久機関」の記事における「熱力学の法則を回避した「永久機関もどき」」の解説
上述したように、熱力学の法則があるため、永久機関を作ることはできない。しかし、第一・第二法則とも、外部から何のエネルギーも受け取っていないという仮定のもとでのみ成立している。したがって外部からエネルギーが受け取れるという状況下では、「永久機関もどき」を作ることができる。例えば周囲の照明や熱、機械の中の気圧や化学変化など、観察者が認識しにくいものをエネルギー源として利用すると「一見何もエネルギーを供給していないように見える」ものを作ることはできる。例えば水飲み鳥は温度差をエネルギー源として利用しているが、観察者がそれを認識しにくい状況の場合、永久機関と誤解する場合があり得る。 真の意味での永久機関は実現不可能であることがすでに証明されているので、永久機関で特許を取得するのは事実上不可能である。このため以上のような抜け穴を利用した「永久機関もどき」が登場している。 1991年に発明家の中松義郎は、太陽電池とブラシレスモータで回転していると見られる装置「ドクター中松エンジン」を作り、熱力学第二法則に反さない永久機関であると主張したが、本人の説明通りだとしても動作には「宇宙エネルギー」なる外部からのエネルギーを要している。動作に摩耗と抵抗がないとされることも永久機関と呼ぶ根拠に挙げられており、いずれも永久機関という言葉が曲解して利用された例になった(中松義郎#ドクター中松エンジン参照)。 2008年に大阪のジェネパックスが発表した燃料電池「ウォーターエネルギーシステム」は、エネルギー供給なしに水だけで発電し、水が蒸発してなくなるまで発電を繰り返すと謳われていた。実際には金属を水に化学反応させて水素を生成しているため、原理上、反応が終われば水を入れても動作しなくなる。
※この「熱力学の法則を回避した「永久機関もどき」」の解説は、「永久機関」の解説の一部です。
「熱力学の法則を回避した「永久機関もどき」」を含む「永久機関」の記事については、「永久機関」の概要を参照ください。
- 熱力学の法則を回避した「永久機関もどき」のページへのリンク