たいよう‐でんち〔タイヤウ‐〕【太陽電池】
太陽電池
「また見つけた、何を、永遠を、海と溶け合う太陽を」。これは十九世紀のフランスの詩人、アルチュール・ランボーの有名な詩の一節。水の惑星『地球』を照らし続ける太陽は、人類にとって永遠の象徴でした。この地球に降り注ぐ太陽の光をエネルギーとして活用するために開発されたのが太陽電池。現在、石油を中心とした化石燃料や資源の枯渇が地球規模で叫ばれている中、太陽電池の重要性はますます高まってきました。太陽電池は二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギーであり、地球温暖化を防止する上でもその効果に期待が集まります。
太陽電池は1950年代にアメリカで開発され、その後日本のメーカーも量産技術を確立。現在では太陽電池の生産量は日本が833メガワット(05年)と世界トップで、全世界の生産量の約半分を占めます。日本はエネルギー資源の輸入に頼っている国だと言われることが多いですが、実は生産した太陽電池の半分以上を海外に提供していることを考えれば、「エネルギー輸出国」でもあるのです。ただ、太陽電池の導入量を見てみると05年にドイツが世界第一位となり、日本が長年のトップの座を明け渡しました。ドイツで急激に導入量が増えたのは、国の制度とも関係があります。ドイツでは「フィードイン・タリフ」と呼ばれる制度が施行され、太陽光で発電した電力などの再生可能エネルギーを通常の電気より割高で購入してもらえる仕組みが導入されました。この制度によって太陽電池の利用が一気に高まったと言われています。
もちろん、日本でも住宅や公共施設などで太陽電池が利用されています。太陽電池は通常の電力に比べ供給が不安定であると言われますが、一方で電力を使いたいその場で発電できるという優位さもあります。最近、街の中を歩いていて頻繁に見かけるようになってきた太陽電池搭載の街路灯は、そのメリットをいかした使い方です。昼間に太陽光で蓄電し、夜間に照明の電源として活用するわけですが、例えば電線が届かないような場所でも太陽電池は独立電源として活用できるのです。今、日本国内には1200万基の街路灯が設置されていると言われていますが、これが太陽電池を使ったものに代わればCO2排出量も大幅削減できます。これらの環境問題のほか、災害時の安定的な電力供給源としても期待が高まっており、太陽電池の利用は今後も一層広がっていきそうです。
(掲載日:2007/09/12)
太陽電池(セル)
太陽電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/20 07:35 UTC 版)
太陽電池(たいようでんち、英: solar cell)は、光起電力効果を利用して、光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する[1]電力機器である。主に、太陽光から電力を得る目的で使用される。"電池"と表現されるが、電力を蓄える蓄電機能は持っていない。タイプは大きく分けてシリコン系、化合物系、有機系がある。
- ^ 第2版,知恵蔵,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),化学辞典 第2版,百科事典マイペディア,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,精選版 日本国語大辞典,世界大百科事典. “太陽電池とは”. コトバンク. 2021年11月3日閲覧。
- ^ 太陽電池用シリコン素材の製造プロセス (生研リーフレット No.289)
- ^ EPIA, Solar Generation IV - 2007, P.43 Archived 2008年5月11日, at the Wayback Machine.
- ^ EPIA, Solar Generation IV - 2007, P.17 Archived 2008年5月11日, at the Wayback Machine.
- ^ 参照:開発例1・開発例2
- ^ 参照:解説1・解説2
- ^ HIT太陽電池モジュール(財団法人新エネルギー財団)
- ^ HIT太陽電池の特徴(三洋電機)
- ^ 球状太陽電池(京セミ株式会社)
- ^ 球状半導体(日経BP社)
- ^ 球状シリコン太陽電池の開発・製造 (日経ビジネス)日経ビジネスが描いた日本経済の40年
- ^ 電界効果を用いる新型高効率アモルファス太陽電池の開発(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
- ^ 低次元超構造のコンビナトリアル分子層エピタキシー(独立行政法人科学技術振興機構)
- ^ 太陽電池セルで世界最高変換効率35.8%を達成 ニュースリリース(2009年10月22日)
- ^ 例1例2
- ^ a b http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol07_07/p14.html
- ^ https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2008/pr20080716/pr20080716.html
- ^ 長岡高専
- ^ ソーラーフロンティア、CZTS太陽電池の変換効率で世界記録、IBMなどと共同研究
- ^ “Cadmium Use in Photovoltaics - Concerned Citizen”. NREL. 2011年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月15日閲覧。
- ^ en:Cadmium telluride photovoltaics参照
- ^ 例:“PR_solarpowerplant_RoteJahne.pdf”. www.juwi.de. 2007年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月15日閲覧。
- ^ “透明な太陽電池の試作に成功”. 産総研 (2003年6月25日). 2015年3月閲覧。
- ^ “透明なのに発電できる?”. 産総研. 2015年4月閲覧。
- ^ EPFL、色素増感太陽電池で変換効率15%を達成。二段階蒸着法で実現
- ^ ヘリアテック社が有機太陽電池においてセル効率13.2%の世界新記録を更新
- ^ 高効率ペロブスカイト型太陽電池の製造コストが大幅低減
- ^ ペロブスカイト型太陽電池の開発(科学技術振興機構(JST))
- ^ ペロブスカイト太陽電池で変換効率15.1%を実現(EETimes Japan 2021年09月14日)
- ^ 積水化学、ペロブスカイト太陽電池を2025年事業化へ (EETimes 2021年11月12日)
- ^ R・Turton著、川村 清監訳など『量子ドットへの誘い マイクロエレクトロニクスへの未来へ』1998年、シュプリンガー・フェアラーク東京、p47、ISBN 4-431-70780-8
- ^ 産業技術総合研究所太陽光発電研究センター「トコトンやさしい太陽電池の本」、日刊工業新聞社、ISBN 978-4-526-05795-3 P.78
- ^ 東北大、量子ドット太陽電池で世界最高効率-12.6%
- ^ E. Becquerel (1839). “Mémoire sur les effets électriques produits sous l'influence des rayons solaires”. Comptes Rendus 9: 561–567 .
- ^ R. Williams (1960). “Becquerel Photovoltaic Effect in Binary Compounds”. The Journal of Chemical Physics 32 (5): 1505–1514. Bibcode: 1960JChPh..32.1505W. doi:10.1063/1.1730950.
- ^ a b 太陽電池はどのように発明され、成長したのか、桑野幸徳、オーム社、平成23年8月、ISBN 978-4-274-50348-1
- ^ a b Pre-1900 Semiconductor Research and Semiconductor Device Applications, AI Khan, IEEE Conference on the History of Electronics, 2004 (PDF)
- ^ a b c John Perlin, The Silicon Solar Cell Turns 50 (PDF)
- ^ M.B.Prince (May 1955). “Silicon Solar Energy Converters”. Journal of Applied Physics 26 (5): 534. doi:10.1063/1.1722034.
- ^ Vanguard Project
- ^ 荒川裕則、「色素増感太陽電池」、シーエムシー出版、2001年、ISBN 978-4-88231-933-7
- ^ 特許庁によるまとめ
- ^ “特集|浮体型閉鎖水域浄化システム”. 特許研究室. 2019年3月3日閲覧。
- ^ Hla Hla Khaing, Yit Jian Liang, Nant Nyein Moe Htay, Jiang Fan (2014). “Characteristics of Different Solar PV Modules under Partial Shading”. Open Science Index, Energy and Power Engineering vol.8 (no.9): 1418-1422 .
- ^ “Which Solar Panel Type is Best? Mono-, Polycrystalline or Thin Film?” (英語). Energy Informative. 2019年3月14日閲覧。
- ^ 集光型太陽電池セルで世界最高変換効率43.5%を達成
- ^ 例1 例2
- ^ 例えば(浜川, & 桑野 1994, p. 167)
太陽電池
「太陽電池」の例文・使い方・用例・文例
- 太陽電池は太陽光線を電気に変える
- この車は太陽電池で動く
- 新しい機械は太陽電池で動く
- 太陽電池で動く自動車を望んでいる。
- 接続太陽電池の大きいアレイから成る電気装置
- 太陽電池という,太陽エネルギーを電気エネルギーに変える装置
- 太陽電池板
- アモルファスシリコンを使用した太陽電池
- 新しいカラフルな太陽電池
- 林原生物化学研究所は新しい太陽電池を開発した。
- それほど多くの色のバリエーションによって,太陽電池はさまざまなデザインで,そしてもっと楽しい用途にも使うことができる。
- 現在の太陽電池は電卓によく見られ,シリコンでできている。
- 新しい太陽電池には,チタンがさまざまな色のうちの1つに染められ,そして常温では蒸発しない粘度の高い液体と組み合わせられる。
- 新しい電池のエネルギー変換効率はまだシリコン太陽電池のものより低い。
- カラー太陽電池は窓や間仕切り,絵などにも使うことができる。
- そのため今度の試験では,新しい飛行船は電気を供給するために太陽電池と燃料電池を搭載し,飛行の持続時間を延ばす予定だ。
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,次世代太陽電池の実証試験を行うためにこの衛星を利用する予定だ。
- その次世代太陽電池は宇宙放射線に耐性がある。
- それらは,現在使われているシリコン太陽電池と比べ,より低いコストで発電する。
- 授業では,地球温暖化や太陽電池の内部の仕組み,リサイクルの重要性などの環境問題に焦点を当てる。
太陽電池と同じ種類の言葉
- 太陽電池のページへのリンク