渦巻銀河
渦状腕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 14:43 UTC 版)
銀河系の各渦状腕は(他の全ての渦巻銀河と同様に)対数螺旋を描いており、その角度は約12度である。銀河系には銀河中心から伸びた4本の渦状腕が存在すると考えられていて、それぞれ以下の名称が付けられている。 3kpc腕 (3kpc Arm)・ペルセウス腕 (Perseus Arm) じょうぎ腕 (Norma Arm)・はくちょう腕 (Cygnus Arm,Outer Arm) みなみじゅうじ腕 (Crux Arm)・たて腕 (Scutum Arm) りゅうこつ腕 (Carina Arm)・いて腕 (Sagittarius Arm) また、これ以外に二つの小さな腕や弧が存在する。代表的なものは以下の腕である。 オリオン腕(Orion Arm 太陽系が属する腕) 銀河系のディスク(銀河円盤)は古い恒星や球状星団からなる回転楕円体の銀河ハローに取り囲まれている。銀河ハローの直径は約25万 - 40万光年である。ディスク(銀河円盤)にはガスや塵が含まれ、いくつかの波長では見通すことができないが、銀河ハローにはそのような物質はほとんどない。ディスク(銀河円盤)のうち、特に物質密度の高い渦状腕の内部では活発な星形成が行なわれているが、銀河ハローでは星形成はほとんど見られない。散開星団も主にディスク(銀河円盤)に存在している。 銀河系の質量のほとんどは暗黒物質で、ダークハローを形成している。ダークハローは銀河中心に向かって密度が高くなっている。 21世紀初頭の発見によって、銀河系の構造についての知識は広がりつつあると共に誤った知識から正しい知識へと変わりつつある。2005年、アンドロメダ銀河 (M31) のディスクがそれまで考えられていたよりもずっと大きく広がっていることが発見され、銀河系のディスクもそれまでの推定より大きい可能性が高まっている。このことは、はくちょう腕がさらに外側に続いていることが発見されたことからも裏付けられている。また、いて座矮小楕円銀河の発見と同時に、銀河の「破片」からなる帯がいて座を中心として極軌道を描いて取り巻いていることが発見され、これはこの伴銀河が銀河系との相互作用によって分裂しつつある姿であることが明らかになっている。同様におおいぬ座矮小銀河の発見に伴って、この銀河と銀河系との相互作用で生じた銀河の小片がリングとなって銀河系のディスクを取り巻いているのも見つかっている。 2006年1月9日、プリンストン大学のMario Juric他はスローン・デジタル・スカイサーベイの北天のデータから、天の川の中に現在考えられている銀河系のモデルに合わない巨大な(満月の約5000倍の面積に広がっている)淡い構造を発見したと発表している。この構造は恒星の集団で、銀河系の渦状腕の面に対してほぼ垂直に広がっている。彼らはこの構造についての可能性の高い解釈として、矮小銀河が銀河系と合体しつつある姿ではないかとしている。この銀河は暫定的にVirgo Stellar Streamと名付けられ、地球から見ておとめ座の方向に約3万光年離れた位置に存在している。 2006年5月9日にはDaniel ZuckerとVasily Belokurovが、同様にスローン・デジタル・スカイサーベイの観測データからりょうけん座とうしかい座の位置に2個の矮小銀河を発見したと発表している。
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