消防団員の任用及び保障
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 01:48 UTC 版)
その地域に住所を持つ人(および、その地域に勤務地を持つ人)が消防団員に応募することができる。 常備消防を設置する市町村では、消防団はほぼ地域の消防署と同一建物内に消防団本部を設けており、団員の募集は消防署ないし消防署の分署(出張所)などが行っている。常備消防を置かない市町村(一部事務組合・事務委託により、常備消防と消防団の設置者が異なる場合を含む)では役場内に本部が置かれ、団員の募集は、役場の担当課、団員が行う。応募希望者は、これら消防機関ないし近隣に居住する団員、自治体の消防団主管課などの対応により正式な団員となる。近年は消防団が独自にホームページを設ける例も増加し、インターネット上での相談・応募が可能な消防団もある。消防団員は地方公務員に属するが、競争試験や選考試験を受ける必要はなく、応募手続きを行えば、消防団長の任命により消防団員に任用され、居住地域の分団・部等に配属される。 一般的に消防団活動はあくまで奉仕精神をもって行うものであり、職業として成立するものではない。地域によっては常勤団員を置いている場合もあるが、あくまで消防本部がない地域(消防非常備地域)に限られる。消防団活動は奉仕活動としての性格を有するゆえに、その対価は給与・俸給ではなく報酬として支払われ、活動時に日額単位で一定金額の手当が与えられる(一日100円、一出動毎に7000円)。個々の消防団員に報酬が支払われない消防団も存在する。その金額はあくまで心づけとして通常は小額に留まるものであり、ある消防団では退職金を含めて年間2万数千円ほどである。予算の関係上、どれだけ活動参加しても一定回数の上限を超えた場合は無報酬で行うこともある。副業にはあたらない分、活動報酬はアルバイトの対価とは大きな差が生じる。また、実質的にほぼ消防団員としての年間報酬のうち、ほぼ同額が消防団運営費及び研修旅行費として納めさせる地域・分団もあり、一旦受領した報酬は団運営費として納めるという形が多い。2014年には、報酬分の地方交付税交付金を総務省から受領しながら団員に支払わず経費に流用している疑いのある団が多数あることが判明し、問題視した消防庁は未払いの団についてその名前を公表することを決めた。 団員には体力が求められるというイメージがあるが、屈強な肉体を持つ必要はない。あくまで地域住民としての活動の一環であり、体躯及び運動神経の優劣を問わず、個々人の能力に応じた活動をすれば十分とされている。 公務中に死傷したり、公務が原因で病症が出た場合は公務災害として一定の補償を受けることができる。活動に正当な理由なく参加しない頻度があまりに高い場合は、いわゆる「幽霊団員」として諭旨退職とするか、罷免するケースもままある。ただし、近年はサラリーマン団員も増加しており、その基準は緩い。正当な理由があり、事前に連絡をとることが可能な団員は出席率に関わらず優良団員として認識されるのが通常といえる。 消防団によっては条例や規約で定年を設けるところもあるが若年層の充足具合や地域コミュニティーの統率力、仕来りが団員勧誘に大きく影響しており、定年の年齢設定は30代〜70代と地域差が大きい。過去に定年を定めていても、団員不足のために定年制を廃止する消防団もある。
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